● 労働時間の管理がむずかしくなった
ブルーカラー層の労働時間の管理は、かなり厳格に行われています。やや窮屈なくらいです。これに対して、ホワイトカラー層のそれは、ご承知のごとく、今、裁定労働時間制、あるいは、ホワイトカラー・エグゼンプションをめぐる議論にみられるように「自由化」の方向へ向けて舵をきろうとしています。
システム設計の仕事、それもそのリーダーの仕事が典型例だと思いますが、時間とは無関係に寝ても覚めても仕事のことを考えているようになります。時間がきたから、頭を切り換えて他のことへ、とは簡単にいかないのが、この種の頭脳労働の際立った特徴です。だったら、仕事の実態に合わせてしまおう、というのが、こうした議論の一方ではあります。
しかし、一方では、そんなことをされたら、心身がもたないからやめてくれーという悲鳴にも近い声も強くあります。私は、後者の声を強く支持したいと思います。勤勉さをベースにした勤労観と集団主義とで仕事が回っている日本の企業では、心身の病にかかる人々を増やすことになるのは必至からです。その兆しは、自殺者、うつ病患者の増加に現れているのは、ご承知の通りです。