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心理安全工学 注意管理不全

2007-10-23 | Weblog
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海保著「ミスに強くなる」中央労働災害防止協会新書
0海保 リレー連載; ヒューマンエラーを事故につなげないための心理安全工学

○第5回 注意管理不全とヒューマンエラーと事故防止  

注意不足とエラー、事故との関係はよく知られている。しかし、単なる注意の不足だけで事を済ましてしまっては事の本質を見逃すことになる。注意の特性を踏まえた注意管理の方策を考える必要がある。

●注意をきちんと管理していなかったから----注意管理不全  
失敗の中で、不当なくらいに責められるのは、「たるみ」によるものである。「たるみ事故」という言葉さえある。  
たるみとは、注意を注いで仕事すべきときに、十分な、あるいは適切な注意を注がないことである。具体的には次の2つ。  
・ぼんやり---注意の全般的な低下  
・あきる---注意の時間的劣化  
「ぼんやり」も「あきる」も、ごく自然な現象である。それだけに、誰もが自分で管理できそうなものだが、なかなか難しい。休憩を入れたり、バックグラウンド・ミュージックなどによる注意活性化の手段を取り入れることが必要である。  なお、たるみではないが、その他に注意の不適切な配分による失敗として、次の2つがよく知られている。  
・慌てる---注意の配分遅れ  
・とらわれ---注意の固着  
いずれも、うっかりミスをしやすい。ミスが失敗に直結する場では厳禁である。

****クイズ5-1「うっかりミスを体験する」 次の作業をできるだけ速くやってみよ。 (1)「お」あるいは「類」と文字をできるだけ速くたくさん書いてみよ。 (2)「A」から順に、アルファベットの読みをひらがなで書いてみよ。 *************  (1)の作業をやると、ついうっかり「あ」を書いてしまわなかったであろうか。書字スリップと呼ばれる現象で、東北大学の仁平義明教授によって見つけられてものである。  (2)の作業をやると、ついアルファベットを書いてしまったり、カタカナを書いてしまったりしたはずである。  いずれも、通常はやらないことをやるように指示されたため、その作業をしている裏でもう一つの作業が暗黙裏に進行していて、それが、注意管理が十分になされない隙をねらって、表面に出てきたものである。  

頭のなかで2つの仕事が葛藤する(認知的葛藤を起こす)ような場合には、注意がよほどきちんと向けられていないと、ミスが起こってしまう。  クイズのような作業では、単純作業を急いでやらせる---あわてさせる---、いつもとはまったく違った作業をさせることで、あえて「きんちと」注意が管理できないような状況を作り出しているである。  

たるみが人の注意の本性であるにもかかわらず---というより、それだからこそというべきか---それによる失敗は文句なく責められる。そして、ひたすら謝ることになる。  たるみが人の本性といったが、それを示す現象には事欠かない。たとえば、行為のマクロ化。  慣れないときは、一つ一つの行為をPDS(計画-実行-評価)サイクルに従ってきちんと時間をかけて意識的にやっていたのに、慣れるに従って、下のほうのPDSサイクルはどんどん上のPDSサイクルにまとめてしまい(マクロ化してしまい)、結果として、10の意識的な注意努力を3に減らしてしまう。結果として心理的には楽になる。  

車の運転を考えてみてほしい。初心者段階での運転後のあの疲れ。熟達するにつれて、運転後の疲れは、ほどよい快感にさえなるくらいに減少する。注意努力が不要だからである。  行為のマクロ化はしばしば失敗につながる。マクロ化された一連の行為を何か拍子で一部飛ばしてしまったにもかかわらず、そのことに気がつかないで、事故になっていまった。  信号の指さし呼称による確認作業。確認の作業そのものがマクロ化してしまっていて、一つ一つの行為がきちんと意識化されない。信号の確認をしたつもりで実は、ついうっかり(確認エラー)というようなケースである。  
あるいは、習慣的動作の自動化。  
朝起きて歯を磨き、髭をそり、----といった一連の動作を意識的にやっていては身がもたない。あたかも自動機械がやってくれているかのように進むからこその毎日の習慣的動作である。ここでは、注意努力はまったく不要である。  ここでも、子どもが突然泣き出して習慣的な一連の動作が中断され、歯磨きまでしてあとのひげそりはついうっかり忘れてしまった(省略エラー)というようなことが起こる。   たるみの欲求(?)は、しかし、創造的な工夫につながる。文明の歴史は、見方によっては、なんとか怠けたい、楽をしたいという強い欲求が作り出してきたとも言える。  問題は、そこに自分のたるみが失敗という形で人に迷惑や損害を与えるリスク(危険性)を、構造的に抱え込んでいることにある。  かくして、あることをするときに、どれくらいのリスクがあるか(リスク・テーキング)を考えながらするということも必要になる。誰もが保険屋というわけである。  しんどいことであるが、人生そのものが綱渡りと達観するしかない。  ところで、たるみが人の本性であるだけに、失敗の原因としてたるみを挙げるのが一番わかりやすいし納得されやすい。失敗の当事者でも「あなたのたるみが原因」と言われれば、そうかなーと思ってしまう。  しかし、それが、しばしば、より重要な本当の原因を見えなくしてしまうこともあるので、要注意である。  

いずれにしても、たるみが人の本性だとすると、それによる失敗は起こって当たり前という前提で、その本性を踏まえた状況管理や環境の設計をすることが肝心となる。

次期策の編集本のラインナップ決定

2007-10-23 | 心の体験的日記
電子メールの依頼が終わった
あとは返事を寝て待てばよい。
本当に本の編集が楽になった。
執筆者の情報収集も、ネットですむ。
これなら、何冊でも編集本が作れる。

写真 東京成徳大学 駐車場からの夕日

高校4年生

2007-10-23 | 教育
50%超えもの大学進学率の中で、「大人になろうとしないふがいない若者」がどれくらいの割合を占めるのかはわからないが、大学がそうした若者の収容?機関としての役割を一部期待されていることは間違いない。今後、進学率があがればその期待はもっと強まる。しかし、今の日本の大学教育によって、「大人として自律した成人」へときっちと成長して世に送り出せるかどうか。はなはだ心もとない。
 大学教育の中心になっている学問を学ぶことは、そうした成長への強力な力になっているはずとの思いが大多数の大学教員の中にはあるし、それが大学教員の仕事上の誇りでもあるし、使命感のもとでもある。
 「しかし」である。最近、そのことが学生に伝わっているとは思えないことばかりに遭遇することが多い。学問以外のもの、たとえば、実務や徳育といったものでの教育内容を構築することもありではないかと、ひそかに思ったりしている。彼らを大学生と考えるのではなく「高校4年生」として遇すればよいとの話も耳にする。

アクセス数解析

2007-10-23 | Weblog
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ip数、週間最高値
V字回復の兆しか

予測の心理学

2007-10-23 | 認知心理学
予測   
現在を越えて考える
******ポイント
1)今現在には過去も未来もあることを知る。
2)今現在の仕事を過去と未来から眺める
3)予測のギャップの中に創発の芽を見つけ  る ******************************
●時間と空間を超える  我々は豊かな文明と豊潤な思惟世界のおかげで、「今この場」からの制約を逃れて、時間と空間を自在に「動き回る」ことができるようになった。五年先、10年先の自分を考えられるし、アフリカの奥地にも宇宙にも行った気になれる。  これを支えるのが、予測という知的活動である。  

●過去、現在、未来から予測する  さて、その予測には大きく3タイプがある。  最もよく行なわれる予測の仕方は、過去を外挿することである。過去ベースの予測である。失敗することは少ないが、前例主義に陥ってしまい、新しい状況の変化に対応できないことがある。  もう一つは、現在の中に将来を見つけるタイプの予測がある。現在ベースの予測である。商品開発やイベント企画などでは必須とされる予測である。もっぱら個人の感性に依存するので、失敗のリスクが高いが、当たると大きい。  さらに、未来ベースの予測もある。サイエンス・フィクションのような世界を究極の目標において、それに到達するまでの未来を予測するものである。大きな目標があるだけに、予測に系統性を持たせることができるが、画餅に帰すことが多い。

●青年の時間展望の特徴に学ぶ  一つの仕事をするときに、この3つのベースに基づいた予測の一貫性の有無を問うてみると仕事の質があがる。  やや唐突な話になるが、人の青年期には、これら3つの予測の間に激しいギャップが生ずる。不可能な未来を思い描き、それを実現する力量のなさを嘆き、そんな自分を育てた親へ反抗する。これを時間展望の混乱と言う。  多くの青年はその予測ギャップを克服して、安定した成人期へと移行していくが、そのギャップを克服できないまま心を病んでしまう人も多い。

●予測を仕事に活かす  この青年期のメンタリティ(心性)と振舞いには、仕事の上での予測の活かし方のヒントがある。  一つは、現在の中には、過去も未来もあることを認識することである。青年はそのことに気がついたからそこ悩む。その悩みが飛躍へのばねになっている。  2つは、過去と現在と未来の一貫性をとることである。  青年はギャップのあまりの大きさに気づき呆然自失してしまい、そのつらさゆえに、刹那的になって身を滅ぼしてしまうこともある。  仕事でも、過去から未来への時間の流れの中で位置づけることができれば、自分も周囲も納得させる大義名分もみつかり、創発の芽をみつけることもできる。

********************** 絵 ****** 図解「現在には過去も未来もある」 図 別添 「解説」 現在を、未来を展望しながら点検し行動するなら、革新的な生き方になる。過去に思いをはせ、その延長として現在をみるなら、保守的な生き方になる。いずれかに固着した予測しかできないと、生き方としては危ない。 ***************************** 図解「青年期は過去と未来がどっと押し寄せくる」 図 別添 「解説」 この図は、エリクソンが描いた、人の心の一生(ライフサイクル)である。青年期には、自分は一体何者(自我同一性)かを確認しようとして、過去を振り返り、さらに、未来を展望する。その苦しい確認作業の中から成人への道を切り開いていく。 ************ クイズ「あなたの時間的展望の混乱を測る」 次の項目に「はい」「どちらでもない」「いいえ」のいずれかで答えてください。 1)その日のうちにすべきことを翌日まで延  ばすことがある 2)なんでも物事をはじめるのがおっくう 3)ひとかどの人間になろうとする希望を失  いそうになる 4)待たされるといらいらする 「解説」  これは砂田良一氏が作成した自我同一性混乱尺度の一部を借用したものである。「はい」の答えの多いほど、過去、現在、未来の時間の流れがスムーズに認識されていないことになる。青年期はこの得点が高くなる。


事典は要らない

2007-10-23 | 心理学辞典
学園祭でフリーマーケットをするとのこと
出品の寄付を、という
そこで、書斎や研究室を眺めていたら
ほとんど使わない国語辞典、英和辞典がぞろぞろ
今、電子辞書になっているので、この大きい図体の本はもはや
用済み。
4冊出すことにした。

子どもを集中させるには

2007-10-23 | 教育
東京成徳大学
人文学部 福祉心理学科長
海保博之さん

認知心理学者。実生活での頭の働きの最適化に関心を持つ。注意集中の管理やヒューマンエラー防止などを研究。著書に『集中力を高めるトレーニング』(あさ出版)「学習力トレーニング」(岩波ジュニア新書)など。

どうやって
子どもを
集中させる?

[低学年]の場合
(キャッチ)
変化するもの、大きいもの、
目立つものを教材に
(ネーム)
仕掛けのある面白い教材は、子どもが集中しやすく、集中の持続性も高い。ただしそれに慣れてしまうと、後になってそういう仕掛けがないと勉強しないということにもなりかねないので、だんだん、そういう仕掛けをおだやかなものにしていく必要はある。

(キャッチ)
好きなこと、楽しいことを
学びにつなげる
(ネーム)
知的好奇心を育てるためにも、低学年のうちは好きなことをたっぷりさせてあげたい。虫が好きなら昆虫図鑑を与える、星が好きなら夜空を見上げて星座について語る、といった形で学びにつなげると子どもは自然に集中できる。

[高学年]の場合
(キャッチ)
適度な刺激のある環境の中で勉強させる。
(ネーム)
音のしない静かな部屋では、かえって集中力や持続力が低下することがある。リビングなど少し騒がしい場所でも、いつも同じ環境であれば、その生活音が適度な刺激となり集中力を高めてくれる。

(キャッチ)
目標を設定させ、
自分の心をコントロールする術を学ばせる
(ネーム)
いつまでに何をするかといった学習目標を子どもが自分で立てることができるようになると、集中力をコントロールする力が付く。カレンダーに書き込むなどして、目で見えるようにして子どもと一緒に確認するとよい。