緊急事態への対処
普通の人々が突然、緊急事態に遭遇した時の状況認識を妥当なものにするには、こんな心構えが有効である。
1)あわてない
時間切迫は、人をあわてさせる。事態の進行速度のほうが人の行為の速度よりも速すぎてギャップが大きくなると、それを埋めようとしてあわてる。限界を超えて行為のスピードをあげるので、ミスしがちである。あわてないためには、自分の行為を実況中継するような気持ちで言葉にしてみるとよい。言葉が行為を調整してくれるからである。
2)大局的、多角的に考えるようにする
思い込みによる誤った状況認識を避けるためには、情報的に自閉しないことである。事態を鳥瞰図的に眺めてみる、一歩引いて観察してみる、観点を変えてみる、などなど。
3)思いを口に出して周囲と情報交流を活発にする
思い込みは頭の中で起こる。それをできるだけ口に出すことによって、周囲からのチェックを受けられるようにする。さらに口に出すことの効果は、自問自答による自己チェックをも期待できる。
4)いろいろの人の意見に耳を傾ける
「緊急事態で役立つのは普段は役に立たない人」という冗談がある。それは、事態に巻き込まれていないフレッシュ・アイを持った人の意見を聞けという忠告でもある。思い込みエラーを防ぐには、周囲から新鮮な目で見えることを素直に言ってもらえる環境が必要なのだ。(K)