対面する相手に対して視線をどうするかは、結構、面倒です。
真っ向から相手の目を見ながらの対話はお互いに疲れます。対話の内容に合わせて適当に視線をはずしながらの対話になります。
日本人は、この視線の交わりにこだわりがあるようです。お互いに凝視することは、礼儀にもとるとまでは言いませんが、やや特別のようです。
状況が敵対的な時なら、凝視は攻撃のサインになりますし、親密な時なら、好意のサインになります。これ以外では、あまりお互い凝視はしないのが日本の視線文化のようです。
だからこそ、視線配りは、日本人には結構、面倒な作法と言えるかもしれません。
「目通り、乳通り、肩通り」という視線配りの作法が古くからあるそうです。目と乳と肩で作る四角の範囲で視線をゆったりと動かせ、ということです(「日本を知る辞典」社会思想社)。