●カウンセリング(counseling)
定義的に言うなら、「カウンセラーとクライアント(相談者)とが、もっぱら言葉を介したコミュニケーションによって、クライアントの心の悩みを聞き、それへの対処を考えることで、心の回復を計る営み」となる。
医者とは違って、クライアントへの物理的な処方はしないし、できない。あくまで、言葉的なコミュニケーションだけでクラアントの心の回復を支援する。
カウンセリングのねらいは、その段階によってことなるが、次の2つになる。
一つは、自分自身で自分の心の傷(悩み)を知ることができるようにすること。身体の病気でもそうだが、なんでそんな状態になってしまったのかがわからない不安を抱えているのは、そのこと自体がさらなる悩みを生み出してしまう。不安の因って来る原因をカウンセラーと共に探る営みがまず必要となる。
2つは、クライアントが自分で自分の心がコントロールできるように支援すること。心のコントロール不全は、とりわけ感情の領域では誰にでも頻繁に起こる。それだけに、その自己コントロールの方策を誰もがそれなりに体験的に身につけていて危機的な状況にならないようにしている。クライエントは、その自己統制力を一時的に喪失して感情に流されて日常生活に支障をきたしている。これを回復させるのを助けるのである。そのためにのさまざまな心理療法や方策が考案されている。最近は、認知行動療法に強い関心が寄せられている。
カウンセリング・ブームと呼ぶには、いささか不謹慎であるが、学校、企業、病院などでの相談の必要性の高まりから、臨床心理士の資格試験制度も発足し、さらに国家資格としての「公認心理師」制度もスタートする。今、カウンセリングへの関心が強くなっている。