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「ミスに強くなる心の訓練」3章 考え違いを防ぐ 

2019-07-03 | 安全、安心、

3章 考え違いを防ぐ  24p

3ー1)考えるのさまざま
●考えるからこそ人間なのだ
●論理的に考える
●直感的に考える
●感情的に考える

3ー2)ミスの原因分析のための思考術
●思考をクリティカルに吟味する
●思考の固着に要注意
●事が起こった後での推論は誤りやすい

3ー3)ミスから立ち直るための思考術
●ミスをすると
●ミスから立ち直る思考術

ヒヤリハットの心理学(4)
「即断即決したときは、多彩なチェックの網を用意しておく」



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章扉の一言
「考える前のひと呼吸」

「考えてはやり、やっては考える。これが仕事を覚える王道」

*****
●概要
 人間の最も高次の知的活動である思考には、コンピュータのような厳格で信頼性の高い側面もある一方では、独断、偏見、思い込みなどなど「高次」とはほど遠い側面もある。後者はとりわけ、ミスに深く関係している。高次であるだけに、メタ認知力に依存した意識的な自己管理が最も可能な領域である。ミスの原因分析とミスによる落ち込みからの回復という、異質な2つの領域での思考の仕方について考えてみる。
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3ー1)考えるのさまざま

●考えるからこそ人間なのだ
 「人はかよわい葦(あし)だが、考える葦でもある」(パスカル)
 「我思う。ゆえに我あり」(デカルト)
 考えるからこそ人の人たるゆえんがあることは、こうした箴言(しんげん)、名言からもうかがい知ることができる。
 思考は、現実から離れて頭の中の仮想世界で自由自在に展開できる。宇宙の果てに思いをはせることもできるし、これから起こるであろうことを予測してみることもできる。
 ノーベル賞に値する理論的な発見ができるのも、思考のおかげである。一方、ありもしない妄想に悩まされてしまうのも、思考のためである。
 いずれにしても、思考が仮想世界の中だけで自閉的に展開されているなら、それは、ミスとは無縁である。
 しかし、仮想世界での自由自在な思考も、人が現実とのかかわりの中で生きている限り、その結果については、厳しい「現実による妥当性チェック」と「論理による真理性チェック」を受けることになる。
 真理性チェックとは、「1+1=2か」「人は死ぬが正しいとするなら、死ぬのは人だけか」は、その真偽が論理的に正しいかどうかである。これはいつでもどこでも同じ結論が出る。
 しかし、現実による妥当性チェックは、やややっかいである。
 正解のない問題は、現実世界には溢れかえっている。「事故を減らすにはどうしたらよいか」「安全にかけるコストはどれくらいまでなら経営的に可能か」「どうすれ効果的な安全研修ができるか」などなど。これが唯一という解答はない。それぞれの現実の制約の中でよりましなことを考えて実行してみて、ましになっているかどうかを時折、チェックしてみるしかない。これが妥当性チェックである。
 いずれのチェックも、現実にはなかなか思い通りにはいかないことが多い。
 「理屈ではそうだが、現実はそうはいかない」の殺し文句にもあるように、真理性チェックと妥当性チェックとが時には葛藤してしまうこともあったり、そもそもそれぞれのチェック機構がうまく働かないこともある。そこに、ミスとのかかわりが出てくる。
 本章では、ミスの原因分析、さらにミスからの立ち直りを想定して、思考をどのように展開するのがよいかを考えてみる。
 その前に、人の思考の特性のいくつか素描しておく。

●論理的に考える
 思考の代表格が、論理的思考である。演繹論理と帰納論理とがある。
 演繹論理とは、一般的な原理から、規則に従って正しい結論を導き出すものである。たとえば、条件命題というのがある。
  命題(1):直角三角形なら、三角形である(前件pー>後件        q)
  逆;三角形なら、直角三角形である(qー>p)
  対偶;三角形でないなら、直角三角形ではない(〜qー>〜p)
  裏;直角三角形でないなら、三角形ではない(〜pー>〜q)
 命題から推論できる3つのパターンを作ってみたものであるが、この中でいつも正しいのは、対偶だけである。逆と裏は、いつも正しいわけではない。

図3ー1 条件命題推論の構図 ppt 済み

 では命題(1)と同じ推論を別の具体的な場面でやってみる。
  命題(2);手順を守っていれば、事故は起きない
  逆;事故が起きないなら、手順は守っている
  対偶;事故が起きれば、手順を守っていない
  裏;手順を守らなければ、事故が起きる
 今度は、推論の真実性がかなりあやふやになってくるのを実感するはずである。逆が真のように錯覚するのを後件肯定の錯誤、裏が真のように錯覚するのを前件否定の錯誤と呼ばれて、しばしば、誤ってしまうことが知られている。
 「論理的に破綻している」というセリフ(真理性チェック)は、演繹推論には、真実に到達するための明確な推論規則があることが前提になっている。しかし、命題(2)のように、現実的な場面で演繹論理を展開すると、論理的に正しいかどうかの判断がにぶってしまうことがある。どうしてか。
 一つは、命題そのものが「現実的には」無理があるからである。「手順を守っていても、別の原因で、事故になってしまう」ことはざらにあることを思い出してしまうと、逆も裏も対偶も正しそうにみえてしまう。これが、推論の真実性チェックを鈍らせてしまう。 さらに、現実的には、逆も裏も正しいことがいくらでもあるので、妥当性チェックにかかると、正しそうに思えてしまうのである。
 ためしに、次のような命題でチェックしてみてほしい。
 命題(3)「私はあなたが好きだから(p)、結婚したい(q)」

 帰納論理とは、個別的な事例や結論を積み重さねることによって、より一般的な結論を引き出すものである。
 たとえば、交通事故の事例を分析して統計をとってみると、夜間の高齢者ドライバーによる事故が多いことがわかったと、いうようなケース。
 帰納推論には、どれくらいの事例やデータを集めれば、それは一般的な結論(真実)として妥当なのかという問題が常につきまとう。
 それを解消するための方策の一つが、実験による因果分析、つまり、実験室で、原因を操作して結果が起こるかを再現してみることである。シミュレーターで夜間運転事態を作り、高齢者と若年者とを使って実験してみるのである。
 しかし、そもそも実験的な検証ができない時もあるし、ここでも1回だけの実験的検証で充分かどうかの問題がやはりつきまとう。

 あれやこれや問題はあるが、それでも、論理的な思考は、有無を言わせない強力な道具ではある。今、なぜかロジカル・シンキングの本がたくさん出回っている。結構なことである。

●直感的に考える
 実は、人が論理的に考えることはあまりない。学校での数学の勉強や自然科学の実験事態といった特別な時である。
 日常生活や仕事の中で展開される思考は、むしろ、直感的なものである。
 ・右に行けば目的地につきそう
 ・第一バルブがおかしいのかも
 ・こうすれば解けそう
 こうした直感思考は、ヒューリスティックス(heuristics)と呼ばれている。
 その特徴は、認知資源(注意、知識)をあまり使わないことである。目の前にある顕著な手がかりよって活性化された知識だけを使って「安易に」考えてしまう。したがって、誤った推論をしてしまうリスクがかなり高くなる。ヒューリスティックスの典型的な誤りの例を表ー1に紹介しておく。

表3ー1 ヒューリスティックスの典型的な誤りの例 pptすみ

 それにもかかわらず、直感的な思考をしてしまうのは、そうせざるを得ない現実があるからである。
 頭の中だけでの思考ならどれほど時間をかけても何も問題ないが、現実には厳しい時間の制約がある。現場の時間進行と思考の時間進行とが同期しないと、せっかくの思考結果もまったく無駄になってしまう。
 そこで、とりあえずの判断をして、現実とかかわってみる。それでうまくいかなければ、別の直感思考を展開するか、事態を止めることができるならそうしておいて、熟慮思考をしてみる。
 現場で使われる思考の方略としては、確かに有効である。

●感情的に考える
 思考に限らない。知覚にしても記憶にしても、日常的には、感情成分が陰に陽に認知機能に深浅はあっても微妙にかかわっている。事例には事欠かない。
 ・空腹だった。やたらレストランの広告が目に付く(力動的知覚)
 ・合格者の掲示板に自分の番号を発見した時の光景をまざまざと  思い出せる(フラッシュバルブ記憶)
 ・悲しい時には悲しいことが、うれしい時はうれしいことが思い  出される(気分一致効果)
 いわゆる感情思考には、瞬間的で強烈なものと(熱い認知)、比較的ゆったりした穏やかなもの(温かい認知)とがある。
 瞬間的な感情思考は、情報処理のマクロモデル(図2ー4参照)の上部のパスを通して実行される。環境の中にある特異な刺激だけが検出されて、それが感情を喚起し、後に続く思考活動に影響を与える。
 こうした思考が展開されるのは、大げさに言うなら、生存にかかわる状況においてである。
 たとえば、目の前に熊が突然出現した。びっくり仰天してともかく、熊からで逃げる。
 こうした瞬間的な感情思考は、リスクは高いが、効率(リターン)も大きいのが特徴である。
 もう一つの感情思考は、比較的長時間にわたって感情が思考をガイドするものである。
 たとえば、ストレス状態にある時は、どうしてもネガティブに物事を考えがちになる。逆に、気分が上向いている時には、考えがポジティブになる。
 いずれも、「まっとうな」思考ではないので、そこから脱却するのが望ましいのだが、なかなか難しい。ストレス・マネージメントあるいは感情管理の技術が要求されることになる。これについては、次章で考えてみる。

3ー2)ミスの原因分析のための思考術

●思考をクリティカルに吟味する
 序章で取り上げたメタ認知を使って、思考の最適化をはかることを勧めるのが、クリティカル・シンキング(批判的思考)である。
 考えた結果について、それが真実か、あるいは、妥当かをメタ認知を使って吟味するのである。
 たとえば、「線路に置いてあった工具をはね飛ばして列車が脱線したという事実があったとき、この列車の脱線の原因は?と問われたらあなたはどう答えるか」。
 「作業員がうっかりしまい忘れた工具が原因」と結論づけて終わりだとすると、クリティカル思考にはならない。これは、ヒューリスティックス思考である。その時その場で直感的に推論すれば、「工具--脱線させる原因になる--作業に使う--しまい忘れ」となるのは当然かもしれない。
 しかし、「その工具が、脱線させる原因にはなりえないほど小さいものだったら」とか、「その工具で線路に対してするべき仕事がしてなかったら」とか、「列車の速度はどうだったのか」というように、さらに思いをめぐらしてみると、クリティカル思考へとつながる。
 「論理的に考える」の項で、真理性チェックと妥当性チェックの話をした。クリティカル思考とは、人の思考の特性、とりわけ思考の誤りの特性のチェックを自分でおこなうための視点と心構えとやり方を提供してくれる。
 とりわけ大事なのは、妥当性チェックである。
 それをより妥当なものにするには、一つには、「広範かつ深く」ではないかと思う。いろいろの可能性を考慮に入れること、そして、絞り込んだ選択肢についてより深く考えてみることである。序章で紹介した「なぜなぜ分析」は、それを具体化したものと言えよう。
 もう一つは、現実との照合である。論理展開における逆や裏は、必ずしもいつも真ではないが、現実の中で吟味してみると、妥当かどうかがただちにわかることがある。ただし、論理的にはいつも真実とは言えないケースには充分過ぎるほどのチェックが必要であるが。
 最後に、クリティカル思考ができるようにになるための6つの心がけを道田・宮元の本(「クリティカル進化論」北大路書房)から抜き出しておく。この本は、4コマ漫画入りで、クリシン(と略すこともあるらしい)が平易に解説されていて役立つ。
1)ものごとを疑う
2)思考の落とし穴を知る
3)柔軟に考える
4)客観的になる
5)単純化しない
6)あいまいさに耐える

●思考の固着に要注意
 思考の固着とは、思考の方略も結論もいつもワンパターン、しかもそれが正しいものと信じ込んでしまうというものである。
 クリティカル思考とは正反対の思考の悪い癖であるが、人のヒューリスティック思考に内在する構造的な癖とも言えるところがあるので、充分な注意が必要である。
 思考の固着は、外部条件と内部条件とが微妙に影響しあって発生する。
○その1;思考を駆動する手がかりが顕著なため限定された状況認識しかできない。
 たとえば、「工具」があまりに際立っているため、他の可能性に目がいかなくなってしまうようなケースである。また、「工具の置き忘れ事故」についての限定された知識から抜け出られない。
○その2;速く答えが求められるため、一つの選択肢にしか目を向ける余裕がない。
 事態が急速に進展してしまう状況では、今どうするが最重要課題になる。時間プレッシャーが強いとその時思いついた解答にしがみつくことで安心してしまいがちである。
○その3;同じ思考方略ばかり使っている。
 同じ状況での仕事は同じ考え方ばかりを使うことになる。状況が変化しても、前の状況の一部、あるいはそれに類似した状況があると、それまでうまくいっていた思考方略だけを使ってしまう。
○その4;その時活性化している知識しか使わない。
 状況がきちんとつかめないとき、ちょっした手がかりに触発されて活性化した知識だけを使って状況を解釈する仮説(メンタルモデル)を立てて、その枠組の中でしか状況を解釈しない。かくして、思い込みエラーが発生することになる。

 このように、思考の固着が人の癖であることの認識をきちんと持つことがまずは大切になる。
 その上で、思考の固着から抜け出るための具体的な方策を取ることになる。4つほど挙げておく。
1)クリティカル思考をする
 時間的に余裕がある時には、有効である。
2)現場を一時的に離脱してみる
 手がかり固着から逃れるには、一時的に現場から物理的に離れてみることも有効である。1mの距離では見えなかったものが、5m離れると見えることもある。
3)一時的に判断停止(エポケ)、行為停止をしてみる
 何が何やらわけがわからない状態のときには、思い付きのへたな状況対応をすると、ますます状況が悪くなることがある。そんなときは、一時的にともかく何もしない、何も考えないという方策もあってよい。
4)人の助けを借りる
 思考は自分の頭の中で起こる。だから固着も起こる。そこで、周囲に仲間がいるなら、自分の思考結果を口に出して相談してみる。共同思考である。

●事が起こった後での推論は誤りやすい
 ミスの原因分析は、時間を逆にさかのぼることになるので、逆問題と呼ばれている。
 逆問題は一般に誤りやすいことが知られている。その理由は、2つある。
 一つは、結果を引き起こす原因は、単一ではないことが多いのだが、ついそのことを忘れてしまう。
 電車の脱線も、工具の置き忘れ、保守の不徹底、列車のスピードのいずれか、あるいはすべてか。さらに、仮に置き忘れ工具が直接の原因だったとしても、なぜ、工具の置き忘れが起こったかまで追求していくことが必要となる。その複雑さに人の思考が追いつけなくなり、つい簡単推論をしておしまいにしてしまいがちになる。
 2つは、後知恵のバイアスにさらされがちなことである。
 結果を知ると、それが起こって当然と思ってしまう傾向のことを後知恵バイアスという。それ自体は悪いわけではないが、それに付随して起こる思考停止が怖い。
 解説者の解説にしばしば後知恵バイアスの例を見ることができる。「こういう事故は起こるべくして起こった」なぜなら「工具の置き忘れがしばしば発生していたからだ」といった解説である。
 あるいは、地震の予兆神話。大きな地震が起こるたびに、ナマズが騒いだ、見たこともない雲が出た、井戸水が枯れたなどなど。それが真実なら、とっくに地震予知ができているはずなのだが、いっこうにその気配はない。
 余談になるが、人は後づけ因果推論が好きなのである。結果が重大であるほど、その原因を即座に何かに求める傾向がある。
 ・失敗したら(結果)、努力が足りなかった(原因)から
 ・引き込もりがいると、親の育て方が問題
 ・車事故がおこると、運転手が悪い
 その時思いつく原因を持ち出して自分なりに納得しておしまいにしようとする強い傾向がある。原因不明のまま頭の中であれこれ考えてみるのを嫌う。あいまいさ耐性がないのである。
 
 こうした困難を克服して、事故原因の解明をすることになる。一人の力では限界がある。多彩な人々がチームを組んで集団思考のよいところを活用して解明にあたることになる。
 最終的には、逆問題の解決バイアスから逃れるために、可能なら実験によって順問題として再現してみるのが理想的である。

3ー3)ミスから立ち直るための思考術

●ミスをすると
 ミスをすると、どんな気持ちになるのであろうか。おもいつくままに挙げてみると、結構、複雑な気持ちになる様子がみえてくる。
 まず、階段でつまずいて転んだような時。
 自分の怪我の有無や洋服のよごれの有無などより何より、周囲の人に見られていないかどうかのほうに気を使ってしまう。ましてや、誰かが助けてくれようとしたりすると、異常なほど、大丈夫です、と強がってしまう。
 自分の弱さが衆目の前にさらされる恥ずかしさ、これがミスしたときの気持ちの一つにある。
 もう一つは、後からミスを振り返ってその気持ちが強くなるのだが、ミスをすると、みずからの能力の低さや衰えを認めざるをえないので、がっくりくることがある。
 自分で転んで怪我をするくらいのミスならこんなところだろうが、自分のミスが他人や会社に迷惑や損害を及ばした時には、もっと深刻である。
 罪悪感に悩まされ気持ちが落ち込んでしまって、立ち上がれなくなる。とりわけ、被害側からの非難、それに同調して周囲からの非難が追い打ちをかける。これへの対処は、本書の範囲を越えるので何も述べない。
 考えてみたいのは、ミスによって落ち込んでしまったあなたのことである。また仕事に復帰しなければならない。さてどのように気持ちを立ち直らせるか。考え方をかえさえすれば、立ち直れる、という話をしてみる。

●ミスから立ち直る思考術
 まず、次のような項目について、あなたの信念と一致しているものがあれば挙げてみて欲しい。
 (1)ミスをしたのはその人が悪い
 (2)ミスはするべきではない
 (3)注意すればミスは防げる
 (4)自分はミスをしない
 もし、このいくつかがあなたの信念と一致しているとすると、もしあなたがミスをすると、多分、気持ちの落ち込みが激しいと思う。
そういう予測を、心理療法の一つである認知療法はする。
 たとえば、「ミスはするべきではない」という信念を持っている菊地さんと、「人間ならミスはしかたがない」という信念を持っている山田さんとでは、交通事故を起こしてしまったとき、図に示すように、確かにそれぞれの気持ちに及ぼす影響は違いそうだ。

図3ー2 落ち込んでしまうまでの流れ pptすみ

 そして、認知療法では、だからその信念を変えさえすれば、落ち込みからも回復できるとする。「考え方を変えたら」と言われることがあると思うが、それである。そんな簡単なことで立ち直れるなんてちょっと信じられないかもしれない。
 しかし、自分のもっている信念(のようなもの)をチェックしてみると、おかしなものがあって、それが結構、悪さをしているようなことがあるはずである。
 たとえば、上の4つの信念、どこがおかしいか。
(1)ミスをしたのはその人が悪い
 ミスの原因は、「現場にいたその人だけに責を負わせるのは間違い。状況の力にも目をむけるべき」とするミスの原因分析の一般的な風潮に反している。
(2)ミスはするべきではない
 「人はミスをする」という事実に反している。「人は完璧たれ」という精神主義が強すぎる。
(3)注意すればミスは防げる
 「人ができる注意管理には眼界がある」という心理学的事実に反している。
(4)自分はミスをしない
 ミスをしてきたはずの自分の過去の事実に思いが行っていないだけである。

 認知療法では、ある段階で、こうしたおかしな信念の変更を迫る議論をカウンセラーとクライアントとがすることになる。
 カウンセリングとまではいかないまでも、自分で、自分の信念をチェックして、その妥当性を自問自答することくらいならすぐにでもできる。


ヒヤリハットの心理学(4)
「即断即決したときは、多彩なチェックの網を用意しておく」

 「イラスト案」**
 監視制御室でたくさんのアラームが鳴っている。班長が右を向いて「第一パイプのバルブを締めて!!」と部下に指示し、左を向いて「かまの火力はそのままで!!」と部下に自信をもって指示している。しかし、第2パイプからどんどん油が漏れているのに誰も気がつかない。第2パイプのバルブは、監視版の隅で破損サインが点滅しているが、それは、班長には見えない。

●解説
 仕事の現場では、物事がいつもあらかじめ想定したシナリオ(手順)通りに事が運ぶというわけにはいきません。その時その場で、迅速かつ適切な判断と決定が求められることがあります。
 しかし、即断即決には誤るリスク(危険)が常につきまといます。
 現場で発生する判断材料は種々雑多で情報過剰の状態になります。そんなときには、自分の既有知識で解釈できる手がかりだけにしか目を向けませんから、妥当な状況認識ができにくいということが、まずあります。
 さらに、すばやい結論が要求されますので、あらゆる選択枝を考慮に入れてというわけにはいきませんので、妥当な解決策を見逃してしまう危険性もあります。

●類似ケース  
○突然、T字路がぶつかり、自分の方向感覚を頼りに左折したら、方角が反対だった。
○経験したことのない事態だったが、以前うまくいったやり方を指示したら、あやうく事故になるところだった。
○周囲からそのやり方はだめと言われたが、無視してやってみたら、やはりだめだった。

●対策「即断即決によるリスクを克服するにはどうしたらよいのでしょうか」
 ヒューリスティックスは直感的ですので、どうしても、「その時」「その場」、そして、「その人」によって、判断の質が左右されてしまいます。最悪の場合、とんでもない思い込みエラーをしてしまうこともありえます。
 そこで、その判断が事故につながるようなところでは、多様なチェックの網を用意しておく必要があります。
 王道は、判断チェックを階層化、多重化しておくことだと思います。一人の判断だけでは動かないようにしておくのです。
 時間は少しかかりますが、リスクの高いところではこれ以外には決めてはないと思います。

●自己チェック「あなたの”即断即決傾向度”は?」******
自分に「最もあてはまることを”3”」「まったく当てはまらないことを”1”」として、3段階で判定してください。
1)直感的判断に頼ることが多い( )
2)理詰めで考えるのは嫌い( )
3)判断に迷うことはあまりない( )
4)人の意見はあまり参考にしない( )
5)後から後悔するようなことはあまりない( )
*10点以上なら、即断即決傾向が高い方です。










女性差別のお国柄「女性ウオッチング」

2019-07-03 | 社会
日本と中東の男女格差はどちらが深刻か | 川上泰徳 | コラム | ニューズ ...
https://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/11/post-23.php
2016年11月2日 ... 男女格差ランキングで、日本は144カ国中111位。「G7最下位」と報じられたが、むしろ「 中東レベル」と言うべきだ。中東といえば、欧米から「女性差別」と批判されるイスラム教 の国々だが、実はそれらの国々よりも日本のほうが深刻かも

@@

イスラム諸国の女性差別には、驚くが、
日本における女性差別が、それと同等は驚く。

差別の領域が異なるのかなー

表面的な差別にとらわれてはいけないのかもしれない。
客観的な指標による比較に加えて、
主観的被差別感の比較なども考慮に入れる必要があるかも。

political correctness<<こんな用語、昔は聞いたこともなかった!
も、もしかすると民主主義的政治が苦し紛れに生み出したあだ花かも。


100歳までボケないための15の方法(白澤卓二、文芸春秋)

2019-07-03 | 健康・スポーツ心理学
①スナック菓子や加工食品を控える
<<スナック菓子はほとんど食べないが、加工食品って??
②青魚を一日一切れ
<<2日に一度くらいかなー
③おやつなナッツ
<<ついつい食べすぎてしまう
④ココナッツオイルと
<<以前、買って使った記憶があるが。
⑤菓子パンは避ける
<<でもサンドイッチ用の食パンと一緒についつい

⑥フライドポテトは厳禁
<<でもねー、マックやフライドチキンと一緒に頼む。おいしいねー。でも月に1度くらい
⑦主食は玄米に
<<でもねー、白米のおいしさに負けてしまう
⑧ブロッコリー、バクチー、玉ねぎをたっぷり
<<ばくちーって?あとの2つは、結構、よく食べる
⑨緑茶を一日2杯
<<ほかの飲み物があれこれあるので、つい飲み忘れる
⑩晩者は赤ワイン、2,3杯
<<これはいいこと聞いた。1杯だけ限定で毎日

⑪よく噛んで
<<どうしても早めしになってしまう
⑫毎食後のはみがき
<<朝は歯磨き粉をつけて、それ以外は、電動歯ブラシだけで
⑬毎日30分の有酸素運動を
<<歩くだけでも、30分はきつい。有酸素運動って、どうな運動?
⑭1日7時間睡眠
<<トータルすると、10時間以上。寝すぎも、よくなさそう
⑮明るくポジティブに
<<ポジティブ心理学伝道師としては、完璧。

梅雨時あいさつ」10年前の今日の記事

2019-07-03 | 心の体験的日記
もうそろそろ梅雨もあけますね

皆様、お元気でしょうか。
心身ともに元気のなくなりがちな時期です。

そんなときは、「ポジティブ心理学」のセクションにある「心を元気にする習慣づくり」でも読んで
元気を出してください(また、宣伝になりました。すみません)

ブログのほうも、たんたんと更新していきますので
今後も愛読のほど
よろしくお願いします