顔の再認(recognition of faces>
顔の再認という言葉は、ある人の名前などから顔を思い出すという、ごくありふれた行為です。どこか見覚えのある人と街中で久しぶりに顔をあわせたときに、名前を思い出せないということはよくあることです。この顔の再認実験は、実験室で行うその成績は一般的にかなり正確です。しかし、実験室を一歩離れると、顔の再認というものは大変誤りやすい物となります。例えば、裁判では、その証言が大変重要なものなのにもかかわらず目撃者が顔の特徴を間違えていたということがありますし、目撃者の証言に基づいた指名手配犯のモンタージュ写真も、実際の犯人とは似ても似つかないということがよくあります。
また、見慣れた顔を見たことのない顔と区別するのは、その人の名前を思い出したりその人がどのような職業のカテゴリーにいるかという分類をすることよりも早く行うことができます。(TH)
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再認とは、過去に見たり聞いたりしたことのあるものだと確認することです。つまり、ある人の顔を見て、「見覚えがあるな」と分かることを『顔の再認』といいます。『顔』は人とコミュニケーションをとるための大切な媒体です。それを覚えて『再認』することは、私達が生活する上で欠かせないことだといえます。では、どのようにすれば顔を記憶することが出来るのでしょうか。顔の記憶に関するこれまでの研究では、次のとが分かっています。まず一つめは、示差性の高い顔、つまり目立つ顔は再認しやすいということです(示差性効果)。二つめは、知っている人のほうが知らない人より再認しやすいということ(既知性効果)です。まず、その人を知ることが顔を覚える第一歩といえるでしょう。そして三つめは、顔の形の特徴に注目するより、顔から受ける印象について判断した方が再認しやすいということです(意味処理優位効果)。例えば、「目が大きい」「鼻が高い」といった形の情報で顔を覚えるより、「優しそう」「親しみやすい」といった印象を覚えた方が後で思い出しやすいといえるでしょう。(SY)