
5日目。
5時半に起床した。今朝は寒くない。気温は15℃以上はありそうだ。

車の外にでると絶景がひろがっている。ヌプカからの風景は何度見ても目をうばわれた。

景色をながめながらキャンプ場を散歩することにした。キャンプ・サイトの上にはコテージがある。そこには登山者のグループがいて出発の準備をしていた。

コテージの前には鹿の母子がいる。左の木の下に小鹿がいるのがわかるだろうか。

いちばん上の砂利の駐車場にはこの地域の酪農に貢献した人物たちの銅像がたっていた。車中泊はここをすすめられるが、私はバイクを出し入れするのでキャンプ場の横の駐車場を利用した。

砂利の駐車場の先に見えるのは東ヌプカ・ウシヌプリだろうか。

カップめんの朝食をとって出発する。寒くはないがセーターを着て丁度よい気温だった。

士幌から音更、帯広と南下してゆくと、十勝らしい大農場がひろがっていた。

十勝川の河口にやってきた。後方に見えている国道336号線の十勝河口橋から河川敷におりたのである。ここから川に沿って13、2キロのダートがのびているのだ。ここを走ってみたかった。

出だしは幅広フラット・ダートでとても走りやすい。天気もよくてバイクを走らせるのがとても爽快だ。北海道に来てよかったと思う。最高の気分だ。

やがて泥の路面や深いジャリなどもあらわれる。

深ジャリはハンドルをとられるので調子にのって飛ばしすぎないようにした。

豊頃のハルニレの木にでた。ここがダートのゴールである。

ハルニレを見ながら休憩をした。気温があがってきたのでここでセーターとシャツをぬぎ、ジャケットの下はTシャツにした。

国道38号線で十勝川をわたり、道道210号線で小花林道にむかう。ここは林道ツーリングガイドブックで紹介されているのを見て知った林道だ。TMには、峠付近は一部荒れ その他はフラットダート14、5キロ、とコメントされている。

入口はわかりにくい。小川幹線の看板が目印だ。

入口から3キロすすむとダートになった。

放棄された畑の中をさらに3キロすすむと小花林道の看板がたっていた。

管理者は北海道だ。

路面はフラットダートでとても走りやすい。

カツラの沢林道の分岐までは走りやすい林道だった。その先は林の中に入ってゆくが、暗い森で日差しがとどかないためか路面がぬかるんでいる。雨の日はヌタヌタになってしまうのではなかろうか。日陰の林は陰気な雰囲気だった。

やがて峠越えの道となった。急坂で深ジャリがある。轍も深いところがあり、ガレている路面もあった。バイクでの通過には問題はないが、峠の頂上付近では嫌な予感がする。こんなことは滅多にないのだがこの林道と相性がよくないのだろうか。それでも止まることなくすすんでいった。
ピークをこえて急坂をくだってゆく。ブラインド・コーナーはクマ避けにクラクションをならしていった。山をおりてゆくと坂は落ち着き走りやすくなる。林もぬけて明るくなった。スピード・アップして走行しているとシフト・チェンジがしづらくなった。どうしたのかと思っていると、ひらけた農地の先のいちばん目立つ位置にヒグマの糞がある。通過するときに見ると今したばかりのように新しい。この場をはなれなければと思ってアクセルを開けるが、シフト・チェンジができなくなってしまった。これではどうしうもないので、たまたまあった橋の上でバイクをとめると、エンジンはストールしてしまった。

バイクを見ると木の枝がシフト・ペダルにからんでしまっている。強くからみついていて除去するのにかなりの力が必要だった。

木の枝をはずしてギヤをニュートラルに入れようとするが、できない。シフト・ペダルが固定されてしまってチェンジができないのだ。橋の上でなんとか修理をしようとした。

クマの糞はやってきた道のカーブを曲ったあたりにある。ここにいたくないのだ。なんとかシフトを動かそうとして、クラッチを切ったりつないだり、シフト・ペダルを踏んだり、引いたりを繰り返す。林道の出口まで1キロくらいの場所だった。もしもバイクが壊れてしまったのなら、林道の出口まで歩いて救援をもとめなければならない。JAFをよぶのか? バイクが直らなければハイエースに積んでドライブ旅行になってしまうのか、とも考えた。
何度もクラッチ・レバーを握ったり、離したり、シフト・ペダルをアップしたり、ダウンさせたりしようとしていると、何かのはずみで固着していたシフト・ペダルがパッと動くようになった。ギヤが噛んでいたのがはずれたようだ。よかった。ギヤをニュートラルにしてエンジンをかけ、再スタートすることができた。

ギヤが入らなかったのは5分ほどだったと思う。短い時間だったが心底あせってしまった。走りだすとすぐに小花林道の出口に到着する。嫌な予感はこれだったのだろうか。バイクは直ったが精神的に疲れてしまった。この後はすぐ近くにある奥糠内林道を走るつもりだったが、やめようと思う。時刻は11時半だ。昼食はじんぎすかん白樺にするつもりでいたので、白樺に直行しようと考えたが、地図を見ると林道をとおるのがいちばんの近道だ。気力はなくなっていたのだが、奥糠内林道をゆくことにした。

道道319号線をゆくと奥糠内林道の入口はすぐにわかった。TMには、走りやすいダート10キロ、とコメントされている。

明和牧場の看板が目印である。

奥糠内林道は入口からジャリダートだ。牧場や牧草地の横を3キロほどすすんでゆく。

やがて林の中に入ると通行量が減るのか道の真ん中に草が生えだした。小花林道のように暗くて陰気な雰囲気はない。森に入っても山ではなく丘のような起伏なので急坂もなかった。しかし脇の雑草が刈っていなくなって、キープ・レフトで走るとハンドルに草が当たりつづける。これは走りづらいし、またシフト・ペダルに何かひっかからないか気になった。

5キロ地点で脇の草が刈ってあるようになった。さらにすすむと林をぬけてフラット・ダートになる。

こうなると走りやすいので速度をあげて快走した。

林道は道道15号線をこえてつづいているが、ここでじんぎすかん白樺にむかうことにする。バイクの先、木の下にあるのはサイロである。