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月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

95.魅せる彫刻師(月刊「祭」2019.6月5号)

2019-06-07 23:56:09 | 屋台、だんじり、太鼓台関連
●彫刻技術の復興、あるいは再認識
かつての高度経済成長に伴い、機械化がすすみ手づくりの良さは失われていき(忘れられ)つつありました。播州屋台においても電飾などはこのころに発展しますが、彫刻、大工、刺繍などに関しては、あまりかえりみられることはなかったようです。彫刻の人物が修理から帰ってくると石に変わっていても文句を言う人はいませんでした。
このような状況に警鐘を鳴らしたのが粕谷氏らの民間の研究者(未だにこの辺の研究は祭の些末な問題だなどと言う人もいて、プロはいません。)です。

インターネットの普及に伴い、祭関係者の間にも屋台製作技術への関心が高まり、それとともに、屋台製作技術を復旧(あるいは元々あったものを発揮)する業者が増えてきました。また、屋台・だんじり製作を志す若者も増えてきているように感じます。

●群雄割拠
業者を見る目が厳しくなり、なり手も増えてくると自然と業者の群雄割拠の時代となります。言い換えれば、買い手市場ともいえるでしょう。
かつては、技術がなくてもやっていけるじだいもあったのかもしれません。しかし、今となっては、優れた技術は「当たり前」であり、+αでその技術をどう魅せるかまでに神経を使っているような印象をうけます。
その典型的な例が彫刻だといえるでしょう。

●spirits of Japan さかい春の陣
そんな当たり前に腕がある彫刻師の一人である、前田暁彦氏(堺市出身)はご自身の会社木彫前田工房の10周年を記念して、大仙古墳の公園にて大きなイベントを今年の3月23、24日に開催しました。


そのイベントは、芸人さんの司会や市長さんらの挨拶などを含む盛大なものでした。
子どもの体験や、足場を組んで屋根の高さから見れるようにするなど、本物のだんじりの彫刻の技術を体験できるイベントでした。
キャッチコピーも「止まっているだんじり見たことありますか」と洗練されたコピーでした。池田市のチキンラーメンなど、地域のグルメも豊富で老若男女➕マニアが一日中楽しめるイベントとしても大成功といえるものでした。


●元々いい彫刻をいかに魅せるか
堺市大山公園でだんじりイベントで、彫刻師の前田暁彦氏の作品が展示されていました。



日本庭園という格好の舞台での展示です。


その中の家屋内で主だった展示がなされていました。黒い背景を用いるとより、彫刻のもつ立体感がわかりやすくなるようです。他社の写真集などでも使われているのを見たことがあります。



実はこの作品にもライトが当てられています。立体感を伝えるための工夫です。


●腕があり、イベント企画力もある製作業者
1 かつて、腕はないのに、イベント企画力や、営業力「のみ」で運営している業者が批判の対象となりました。
2 そこから、イベント企画力はなくとも腕のある業者に光が当たりました。
3 見る目が肥え、腕のある業者が増え、競争は、腕のある業者VS腕のある業者VS腕のある業者、、、となります。
4 結果、腕があり、イベント企画力もある業者さんが生まれてきているのが、現状のようです。






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94.真庭市のだんじり(月刊「祭」2019.6月4号)

2019-06-07 04:34:29 | 屋台、だんじり、太鼓台関連
岡山県真庭市のだんじりを紹介します。

主にだんじり祭は勝山地区(10月19.20)と久世地区(10月24-26)、落合地区(10月21)で行われます。上の写真は勝山地区の玉雲宮です。

●真庭市の秋祭
元禄期ころより祭の原型ができ、だんじりが運行しはじめたのは幕末ころからのようです。
落合地区を除くと、五社の合同祭典を行なっており、これは祭の原型ができたころからのもののようです。勝山、久世においては基本一神社に一だんじり、神輿となっています。
では、だんじりそのものを見ていきましょう。写真は勝山の図書館横で常時展示されてあるものです。

●だんじりと言う名の太鼓台
家屋型の屋根の太鼓台に見えますが、かつぎ棒が低い?



●現在はだんじり型に
現在は車輪をとりつけだんじりになっています。

方向転換が容易な仕掛けになっています。

ぶつけ合いにも適した形です。


これは、荷馬車を改造したものが原形といわれています。
このような形になったのは、勝山では明治期、久世では大正期です。
真庭は林業が盛んで、木材の運搬に馬車を使っていました。真庭のだんじりは産業が祭に与える影響の大きさを感じさせる資料といえるかもしれません。

太鼓台からだんじりへの変化は岡山県津山市でも見られます。
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