次のメンテの時に、マネージャーに呼ばれた。
「この間さあ、△△さん来たでしょ」
「ええ。」例のチェックマンだ。
「そん時の成績表が来てるんだけど、見るかい?」
「成績表?」
店舗毎に、各項目(保安とか衛生状況とか)筆記体でgoodだのbadだのと容赦のない評価がくだしてある。
「変なんだよねえ。」マネージャーが含み笑いを浮かべてつぶやく。
「何がです?」
「小田急沿線の店舗で、全部goodだったのって、ウチだけなんだよ。」
「俺が優秀だったからに決まってるじゃないですか。」
「ははは、まあそういうことにしとくか」
私にはどうでもいいことだったが(おかげで時給が上がる、ということもなかったし)、マネージャーにとっては、本部の評価が良かったことがよほど嬉しかったらしい。私は世間、あるいは会社というものの一端をその時見た気がしたのである。意外にぬるいか?と。
だが、人付き合いが決して得意とはいえないIのようなタイプが今回のような事態を迎えたとき、果たして世間というものが彼にどんな顔を見せるのか、と考え、少し陰鬱な気持ちにもなったのだったが。それに、どんな顔をして例の女の子たちにこの男がクビを宣言したか……。
何よりも、マクドナルドは、客に対してだって、かなりクールな視線を向けていたのだ……(続く)