事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

踊る大捜査線③

2007-07-07 | テレビ番組

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前号繰越

 もうとっくに終るつもりだった「踊る大捜査線」ネタ。それなのにこのWEB版の最初の読者が、いい年をして織田裕二のものすごいファンなものだから「あれで終りってことはないわよね」と脅されたので、もう一回やります。観ていない人には意味不明な部分も多かろうと思います。ごめんなさい。

 今回は俳優陣について。
「踊る~」に限らず、近頃のテレビドラマにはコメディアンが大挙して出演している。バラエティの中で、ネタ中心に勝負し続ければ彼らがひたすら消耗していくことは自明なので、コメディアンの緊急避難先としてのドラマ、そんな側面はもちろんあるのだろう。制作側にとっても、さして時間をかけて作るわけでもないテレビにおいては、演技力云々よりも、役者は“柄”で選びたい、そんな需要が供給側と一致した結果といえる。

 それに、今のバラエティは、とんねるず・ウンナン・ナイナイ・ダウンタウンの四強が市場を独占していて(どうやらウンナンが脱落しつつあるが)、自分のネタで思い切り勝負する場など初手からテレビには存在しない。加えて日本のコメディアンには森繁症候群と呼ばれる傾向があって、お笑いを“卒業”してシリアスなドラマに移行すること(若い頃はタモリのような存在だった森繁は、「夫婦善哉」で名優として遇されるようになった。伴淳三郎は「飢餓海峡」の刑事役で……)をステップアップととらえる困った誤解が厳然とあるのだ。

 しかし動機は不純にしても、結果は伴っている。「踊る大捜査線」は、新人が苦しみつつもベテランの教えを受けて成長していく、一皮剥けばまことにオーソドックスな物語になっていることにファンは気づいていることと思う。19世紀英独に華開いた教養小説(ビルドゥングスロマン)と呼ばれるこの手法は、今でも十分に我々の心をうつ。そのベテラン、和久(わく)役のいかりや長介の好演がこのドラマを支えていたわけで、おかげでシリアス系だった他の役者たちが思い切り弾けることができたのであろう。

P_27  いかりやの他にも、谷啓、伊集院光、つぶやきシロー(すっかり消えたなぁこいつ)、高木ブー、島田洋八、石塚英彦たちがいい味を出していて嬉しかった。特に、伊集院のストーカーぶりはシャレにならないレベルに達していたし。

 他にも、芸歴最高のアタリを見せた俳優はたくさんいる。中でもスリー・アミーゴスと呼ばれる署長役北村総一朗、副署長斉藤暁、刑事課長小野武彦の3人はこの番組で一気にブレイクし、貴重なバイプレーヤー、という存在以上の、一種のアイドルに昇華したのには笑った。それまでは色悪ぶりが目立つ新劇人だった北村は、以降「抜けた上役」として出演作が途切れず、斉藤はさんまの番組で「バツイチの頑固男」としてキャラ立ちまくりだし、「大都会」の刑事役が光った小野は、名セリフ「私の部下の命をなんだと思ってるんだ!」で一生食えていくのではないだろうか。

 この三人以外にも、巡査役の甲本雅裕や係長の佐戸井けん太(フィンランド人と結婚している設定が笑える)など、このドラマのおかげで注目を集めている……って注目しているのは私だけかな。ビデオで見直して気づいたが、今や「池袋ウエストゲートパーク」「ロケットボーイ」の人気脚本家として名を馳せる宮藤官九郎が放火犯役で出ていたりしたので、もっと気をつけて観ていれば、意外なキャストが他にも発見できたかもしれない。

以下次号

コメント (2)
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