事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」(2017 東宝=KADOKAWA)

2018-02-24 | 映画

いったいどんな経緯でKADOKAWAと東宝が組んで空海の物語を映画化することになったかはよく知らない。しかも監督はあのチェン・カイコーであり、空海が遣唐使として長安にいた時代の物語。金がかかるのは確実。

でも商売のセンスのある人なら、中国市場を無視は絶対にできない。すでに映画人口は日本をはるかに凌駕しているわけで、「君よ憤怒の河を渉れ」があちらで大ヒットした歴史を承知していれば(リメイクの「マンハント」は大コケしているようだが)、勝負に出てみたくなるはずだ。製作総指揮の角川歴彦は、大映社長だった永田雅一に自分をなぞらえているのかも。

日本側のキャストは空海に染谷将太、阿倍仲麻呂に阿部寛。このふたりは中国語を徹底して習得したはず。他にも松坂慶子火野正平(空海のお師匠さんで「ついにわしは解脱できなかった」と語るのがおかしい)。

日本語吹替にも高橋一生吉田羊東出昌大イッセー尾形山寺宏一などを起用、おまけに主題歌はRADWIMPS。豪華なことだ。

実際にものすごい製作費が投入されたようで、いったいなんだこのセットは!いったいなんだこの大量のエキストラは!やっぱり人民解放軍が協力したんですか!と言いたくなるほど。画面の厚みが違う。

ただし初日につめかけた真言宗の信徒の方々はどう思っただろう。東映の「空海」でパンクとして描かれた空海ではなく、アルカイック・スマイルをいつもうかべて楊貴妃がどうやって死んだのかを白楽天とともに推理する、意外なほどの名探偵空海になっていたのを楽しんでいただけたのだろうか。

まあそれはともかく、楊貴妃を演じたチャン・ロンロンの美しさ(国を傾けるのがわかるよこれだけ綺麗なら)と、圧倒的な美術を堪能すべき作品かと。

歴史好きな人なら、空海、白楽天、楊貴妃、安禄山、玄宗、阿倍仲麻呂など、キャラの名前だけでも史劇としてめちゃめちゃ興奮するのかも。わたしは歴史を知らない大河ドラマ好きなので、その辺は微妙でした。原作は夢枕獏

中国語題名は「妖猫傳」。猫好きにはおすすめの映画です。うちの猫はいま後ろのソファで爆睡しています。

コメント (2)
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