タイトルは意味深。賢い薔薇は、時がたてば枯れ、朽ちていく。しかし愚かな薔薇は、枯れることも老いることもない。つまり愚かな薔薇は不老不死の吸血鬼を象徴するフレーズなのだ。
ある田舎町に、宇宙船の乗組員をめざす少年少女が2ヶ月間にも及ぶキャンプにやって来る。長い航行を可能にするには、アストロノーツを長寿にする必要があり……
恩田陸が14年間にもわたって書き続けた大作。不老不死をはじめとした吸血鬼の約束事をSF的設定にうまくはめ込んでいる。
圧倒的に面白くはあったんだけど、人類の進化とは何かを問う物語の核が明らかになるにつれ、理に落ちすぎてはいないかとちょっと不満。ないものねだり。