第七回「帰蝶の願い」はこちら。
腹黒いっ!
いやなにが黒いって池端俊策さんの脚本だ。ラブコメでさんざんひっぱっておいて、黒々とした背景をラスト10分で一気呵成に。うまい。
だいたい、ラブコメとしてもこのドラマはちょっと異質。キャラがみんな冷静なのである。
政略結婚を十分に承知しながら、織田信長という人物を明智光秀に見てこいと命じた帰蝶(川口春奈)が、見に行ったということはわたしに(嫁に)行けと言っているようなもの、と判断させているし、もう光秀とエッチしたこと確定の駒(門脇麦)もあっさりした別れを受け入れている。
肝心の光秀はどうかといえば、母(石川さゆり)のアドバイスがあって渋々、という都合のいい理屈を与えられている。
にしても演歌歌手の人たちは時代劇に合いますよね。ケレンがあるというか、客をちゃんと意識しているというか。
周到なのは、織田信長が圧倒的に若いのを前面に出したことだ。染谷将太という、何才にも見える異能の俳優を起用したことが最初から効いている。
うつけと罵られながら、海に出て魚を捕り、一切れ一文で売るエピソードからスタート。尾張という国が美濃とちがって海という財産があること、信長が銭のやりとりを知悉していたことを前ふりにしている。うまいなあ。
妻に迎えることとなる帰蝶に
「是非もなかろう」
と語らせて、このドラマのクライマックスが本能寺であることまで再確認。やるなあ。よく考えたら15才の男子に、父親に毒殺された夫をもつ女性をあてがうんですよ。こりゃ、黒くもなります。くどいようですけど、ここは沢尻エリカだったらもっと……
演出もすばらしい。海、道、煙など、これまでのドラマでは達成できなかったであろうリアルな画面の連続。スタッフに「貝合わせ指導」までいる。金かかってます。
第九回「信長の失敗」につづく。
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