原作:浦沢直樹 監督:堤幸彦 脚本:長崎尚志
出演:平愛梨 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 宇梶剛士
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いま思えば、第1章はあの長大な原作をどう映画化するか、作り手の方も不安だったのだろう。きっちりしたドラマの構築で有名な福田靖に脚本をリライトさせ(逆に原作者の長崎尚志がリライトしたのかな)、不安を押し隠すように豪華キャストを用意してみせていた。結果的に大ヒットしたことで第2章はどう変化したかというと……もっと不安だったのだろう、あきれるほどのキャストを今回も用意している。ギャラだけで大作が2、3本つくれそうだ。
それが成功しているかはまた微妙なところ。端役にいたるまで有名俳優を用意したことで、ドラマを素直に味わえなくなってしまった。まるで“全員が特別出演”なのだ。
仕方のないことなのはわかる。“ともだち”とは一体誰なのか、という謎でひっぱるために、どの役にもその可能性を残さなければならないのだから。キャスト一覧をながめただけで犯人が丸わかり(金田一耕助シリーズとか)では、「20世紀少年」を映画化する意味がないもんね。
でも、第3章で大活躍することになる役柄が古田新太や小池栄子なのはわかるにしろ、ストーリーにほとんど影響のないラーメン屋の親父が西村雅彦や小松政夫なのは、観客にとっても彼らにとっても不幸なことではないか。
そうは言っても、三部作のなかではもっとも不利な第2章(キャラクターは既にできあがっている+事件の解決を描くことができない)にしては健闘したのではないだろうか。
主役のケンヂ(唐沢寿明)の不在と、しどころのなかったユキジ(常磐貴子)の不調をオッチョ(豊川悦司)はうまくカバーしたし、サダキヨ役をユースケ・サンタマリアがまさかの好演。豪華キャストの中心に、ど新人の平愛梨をすえたギャンブルも成功だったと思う。女子高生役はちょっときつかったかもしれないけど(笑)。
しかし今回いちばん笑ったのは小泉響子役の木南晴夏だ。まるで浦沢直樹の画が動き出したかと思うほどそのまんま。いやー笑った。笑った笑った。
さて、第3章は8月公開。原作のラストをひねらずに映画化したら暴動が起きかねない(^o^)ので、はたしてどう工夫するものだか。イベントとしての「20世紀少年」が後年どう語られるかは、すべてその一点にかかっている。
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