事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ビッグ・フィッシュ」Big Fish('03 SONY)

2008-04-21 | 洋画

Bigfish 監督 ティム・バートン 主演 ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー

大きな魚の伝説、洞窟の巨人、桃源郷に住む桂冠詩人、ベトナム生まれの美人のシャム双子、妻となる女性との出会い……。子供の頃に聞かされた父エドワードの脈絡のない英雄譚を、成人した息子ウィルは信じてはいなかった。しかし父の病状悪化の知らせを受け、ウィルは妊娠中の妻を伴って勤務地のパリからアメリカ南部の実家へと急ぐ。そこでウィルは母親と妻の協力を得て、ベトナム戦争時代に青春を送った父の人生の全容を、ジクソーパズルを解くようにつかんでいく……

高校時代のある日、となりのクラスに行くと「よう、社交的な人!」と声をかけられた。どうやらそのクラスで教えていたわたしの担任がこうかましたらしいのだ。

「いますね、社交的な人って。ほら、ホリヒロシとか」

大きなお世話である。一種の自己防衛策としてプリテンドしていただけだったのに。

「ビッグ・フィッシュ」は予想どおり、いや予想以上にすばらしい作品だった。映画というメディアは、このようなストーリーを描くために存在するのではないかとすら。

設定がとにかく気が利いている。アメリカ人の特質ともいうべきホラ話を披瀝し、常に主人公となってしまう社交的な父親と、そのことへの嫌悪のために傍観者的態度しかとれなくなっている息子。父と息子の関係は、常にこんな形でねじれていく宿命にある。父親はどうあっても反面教師なのだ。それでいて、最後の最後に父親の血が継承されていくラストは感動的。異形のフリークスたちが勢ぞろいする葬儀のシーンなど、涙なくしては観られない。

ティム・バートンのフィルモグラフィーのなかでは「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」が最高だと思っていたけれど、マニアックさが影をひそめた今作はあれを超えた。「ビートルジュース」や「シザーハンズ」の異様さもないけどね。このいきおいで次作「チョコレート工場の秘密」(ロアルド・ダール原作でジョニー・デップが主演!)もよろしく。

……で、「チャーリーとチョコレート工場(チョコレート工場の秘密)」も「スィーニー・トッド」も傑作だったわけだ。バートンはすでに巨匠あつかいか。往時のジョン・フォード&ジョン・ウェインとか黒澤&三船って感じで。この作品はデップ主演でも成立したろうか。ダメかな。デップとアルバート・フィニーじゃ親子には見えないもんな。

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