ミステリ評論家の村上貴史が、ほぼ二十年近く前にミステリマガジンに連載したインタヴュー集。当時の人気ミステリ作家30人に(ほとんどの作家と酒を飲んだりしつつ)創作の秘密を聞き出している。予想以上にディープで、量もたっぷり。しかもとても面白い。
表紙の画像を見てもらえれば、いかにすごいメンツだったかがわかる。で、ほとんどの人たちが元気じゃないですか。
亡くなったのって北森鴻と打海文三ぐらいか。まあ執筆から遠ざかっている人は何人かいるようだけれど(高野和明は「ジェノサイド」からこっち、何をしているんだろう)。
まあ今ではビッグネームになっているけれども、当時はまだ駆け出しの人を積極的にチョイスしたということか。30代とか40代が中心なわけで、だからみんな離職して作家になることに悩んだりしていたのだ。わかるなあ。
駆け出しの代表格のような伊坂幸太郎が、なにしろ案山子がしゃべる「オーデュボンの祈り」でデビューしたときに、設定が設定だけに一発屋で終わるだろうと思われ、その反発から書いたのが「陽気なギャングが地球を回す」だったというエピソードなど、リアルタイムでなければ聞けない話。そんな彼が、いまや押しも押されもせぬベストセラー作家になっているのだから痛快。
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