今回からは裏情宣の人勧特集。年代別になっています。
発行は2002年8月。数字は当時のものです。
まさか知らない人はいないと思いますが(いや、油断はできない)、わたしたちの給与がどのように改定されていくかをおさらいします。
まず国家公務員の給与がどう決まるか。
内閣のもとにある人事院は、一方で非現業国家公務員約50万人の4月の給与実態を調査し(国家公務員給与等実態調査)、同時に一方で全国の34,000事業所から抽出された7,500事業所の従業員約46万人の4月分の賃金実態を調査します(職種別民間給与実態調査)。
なぜ4月分の給与なのかというと、民間の賃金は春闘(春季賃上げ闘争)によって変わるから。そして上の調査で導かれた公務員と民間の賃金をつきあわせ(官民比較)、国家公務員の給与はこうあるべきではないか、と勧告する……これがいわゆる人事院勧告制度です。
山形県職員であるわたしたちにこれがどう影響するかというと、組織としての山形県には、人事院とほぼ同様の権能を持つ人事委員会があり、ここもやはり人事委員会勧告をおこないます。しかしその内容は人事院のそれと毎年ほぼいっしょ。これは別に人事委員会がさぼっているわけではなくて、国や他の都道府県、特別市の給与にくらべて何らかの“突出”が認められると、それはもう国から壮絶にいじめられるから。ほとんど国からの交付金に頼っている地方自治体にとって、これはこわい。ほんとうにこわい。したがってどこの自治体も似たような勧告になってしまうというわけです。
そしてこの勧告をうけ、国会は給与改定法案を審議し、法案が通ればそれで国家公務員の新たな給与が決定。地方の場合はそれよりやや遅れて県、市町村議会で条例が通り、結果的に秋から年末にかけてベースアップが決定され、4月にさかのぼってそのベースアップ分が年末に支給される……これが“差額”です。
おさらいがすんだところで、ではこの8月8日に出た2002年度の人事院勧告が、いかにとんでもないものであるかを裏版でも検証していきます。
右の表をごらんください(めんどくさいので表まではアップできませーん)。これは人事院勧告の実施状況をとりあえず81年までまとめたものです。
みなさんの職場に「田中角栄んどぎはいがったなー。差額がボーナスより出だもんなー。」という人はいませんか?あるいはあなたがその人ですか?人事院勧告が実施見送りになった(だから差額が無かった)82年度採用のわたしにとっては夢のような話ですが、これは本当でしょうか。
※差額のことを、その支給時期から“餅代”とよぶ人もいる。この年は、さぞやみなさん正月にたくさんのモチを食べたことであろう。
表を見ると、角栄の首相在任期間である72年から74年あたりまでの%がものすごい数字になっていることが見て取れます。とくに74年。29.64%(!)の給与改定とはどんな額でしょう。4月から12月までの本俸のアップに加え、6月支給の期末勤勉手当、そして当時の寒冷地手当は給与連動で現在より高額でしたからその差も加算して……単純に計算しても給料三ヶ月分を軽く超える額になります。
ほんとだ。ボーナスよりはるかに多い。しかもボーナスの場合は源泉徴収される税額も多めだから、手取りの差は圧倒的だったでしょう。
やっぱり田中真紀子の親父はすごかったんだな……という話にはしかしもちろんならないわけです。この“賃上げ”の背景には、角栄の列島改造論やオイルショックがもたらした狂乱物価があるし、そしてこのあたりから官民の労働組合が協力して壮絶に賃上げに取り組んだ成果でもあるわけですから。
次号は不況~バブル期を特集します。
画像は「ネバーランド」Finding Neverland(’04)
ピーターパンの戯曲を書いたジェームズ・バリと、ピーターパンのモデルとなった少年の物語。バリを演ずるのがジョニー・デップ、少年役がフレディ・ハイモアの必殺「チャーリーとチョコレート工場」コンビ。面白くないわけがない。舞台のプロデューサー役にスピルバーグの「フック」で船長を演じたダスティン・ホフマンをキャスティングしたあたりもしゃれている。ラストで“どこにもない場所”に旅立った二人に泣けない客はいないだろう。いやー泣いた。泣いた泣いた。
ジュリー・クリスティは年とってもきれいだなあ☆☆☆☆
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