事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「引っ越し大名!」(2019 松竹)

2019-09-23 | 邦画

国替えという形の大規模な引っ越しを差配するのが星野源。ほとんど引きこもりの彼を補佐するのが豪胆勇猛な高橋一生(意外に合ってる)。引っ越しの極意を知る前任者の娘が出戻りの高畑充希。これはもう、「超高速!参勤交代」の線を狙っていると誰だって思う。原作も同じ土橋章宏だし。

もちろんその要素はふんだんにちりばめてあって、特に越前から引っ越し先の豊後に向かう道中の歌や踊り、襲い来る忍者集団など、明朗闊達な東映時代劇そのもの。製作は松竹だけど。

ところが、話はそこにとどまらなくて、減封されたことによるリストラ系がからんでくるあたりで人情ものに変容する。そこを、どうとらえるか。やはり土橋原作の「サムライマラソン」がしんどかった二の舞になるのか。

うまくしのいだなあ、というのが印象。

書庫番(司書ですよね)としては有能な星野源は、一種のスケープゴートとして引っ越し奉行にとりたてられる。誰がやっても失敗するに違いないプロジェクトだから。ところが司書として蓄積された知識とアイデアによって(このあたり、推理もの、というか一休さんのような描写が入るのが笑える)、次第に藩をひとつにまとめ上げていく。ビジネスもののサクセスストーリーみたい。

しかしここからシリアスに。600人の藩士をリストラするにあたり、星野源が小澤征悦らに提案したのは「百姓になれ」だった。ふたたび加増があれば迎えにくるからと。

そしてどうなったかは見てのお楽しみ。首を切られるのもつらければ切る方もつらいあたりをていねいに描いていて納得。農業も楽しいけどねえ、と考える田舎の観客にもちゃんと配慮してあります。

ピエール瀧が重要な役で登場。なんの違和感もございません。早く復帰してほしいな。濱田岳及川光博松重豊向井理と共演陣も豪華。

惜しむらくは、時代劇らしい健康なお色気がまったくと言っていいくらいないのがねえ。高畑充希にそれは望むべくもないので、むしろ熟女好きの藩士たちが星野源の母親、富田靖子に熱狂するのがよくわかりました(笑)。

監督は犬童一心。こういう娯楽映画をコンスタントに撮っていてたのもしい。

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