毎年きちんと刊行されるホロヴィッツの新作。そしてそのたびにミステリランキングのトップに君臨している。
「カササギ殺人事件」
「その裁きは死」
そしてこの「ヨルガオ殺人事件」で史上初の四連覇である。週刊文春でも「このミステリーがすごい!」でもすべて1位。他の作家は何をやってるの。
ランキングが発表されたときにちょうど読んでいて……うわあ、これはすごい。連覇がつづくたびに読者のハードルは上がるはずだが、軽々とクリアしている。面白いけどちょっとコクが足りなかったホロヴィッツ作品だけど、ここまでのものを書かれちゃなあ。まちがいなく、これまででいちばん面白いです。
名探偵アティカス・ピュントの最後の事件を描いた「カササギ殺人事件」の続篇。うーん、この説明は正確じゃないな。アティカス・ピュントものを書く作家アラン・コンウェイの退場の経緯と、彼が書いたカササギ殺人事件が入れ子状態になっているという複雑な構成。
今回も、「ヨルガオ殺人事件」のなかにアティカス・ピュントのシリーズ第3作(すべての作品にタイトルをつけています)にあたる「愚行の代償」が挿入されていて、これがもう堂々たるアガサ・クリスティへのオマージュ。登場人物たちの名前にも遊び(パイン、チャンドラー、アルジャーノン……)があって、ここだけ読んでも楽しめます。創元推理文庫ならではの仕掛けも楽しい。
そしてこの「愚行の代償」が現実の事件の犯人を名指ししているという謎で引っ張る。
終盤の、数多くの伏線の刈り込みが圧倒的。わたしは会合があったのにやめられなくて遅刻しそうになってしまいました。満足。ベストワン納得。
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