「砂の器」「霧の旗」につづいて『わからない』シリーズ第三弾。同時に『今さらこんなものを観る』シリーズのトップバッターはなんと「氷の微笑」Basic Instinct。ほんとに今さらでしょ(笑)。
さて、シャロン・ストーンをスターの座に押し上げ(すぐに落としたけど)、露骨な性描写で有名なこの作品は、《真犯人が誰だかわからない》観客が多かったことでも知られている。いったいそれはなぜなのか。検証してみましょう。
のっけからベッドシーン。豪華なベッドルームの天井には鏡がしこんである。女性が上になり、腰を激しくふっている。髪は金髪。そのブロンドヘアがゆれるために彼女の顔を観客は判別することができない。女性はエルメスのスカーフをとりだし、男性の手首をベッドに結びつけ、自由をうばう。次に彼女が取りだしたのはアイスピック。激しいファックそのままに、女性はアイスピックを男の身体に何度もふり下ろす……
これが、最初の殺人。被害者の男性は60年代のロックスターで、現在はクラブを経営している富豪。現市長への献金も巨額なため、サンフランシスコ市警殺人課のニック(マイケル・ダグラス)の捜査には上層部から圧力がかかる。
まず、この時点でつっこみどころは満載だ。
・後半の展開を考えると、第一の被害者(実は違うのだが)はよほど魅力的な悪党でなければならないはず。いくらセリフもないとはいえ、あんな人の善さそうなオヤジではねぇ。
・ニック刑事は、捜査中に観光客を射殺してしまった過去があり、そのために臨床心理医のカウンセリングをうける義務を負っている。加えて、内務調査の対象者にもなっている。そんな札付きの刑事を(いくら有能だとはいえ)、政治的にも微妙な猟奇事件の担当にすえるだろうか。
……それに、警察の捜査活動にも疑問が残るのだ。以下次号。
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