第七夜「マイDVD」はこちら。
あ、ピストン西沢のマネをするのを途中からすっかり忘れていたけどベストワン特集の最終回はマイBOOK。例によってミステリ部門と非ミステリ部門に分けていきましょう。
○ミステリ部門
1.「オリンピックの身代金」奥田英朗著 角川書店
2.「遠まわりする雛」米澤穂信著 角川書店
3.「ダブル・ジョーカー」柳広司著 角川書店
4.「泥棒が1ダース」ドナルド・E・ウェストレイク著 ハヤカワ・ミステリ文庫
5.「暗殺のジャムセッション」ロス・トーマス著 ハヤカワ・ミステリ
○非ミステリ部門
1.「身の上話」佐藤正午著 光文社
2.「弩」下川博著 小学館
3.「決壊」平野啓一郎著 新潮社
4.「1Q84」村上春樹著 新潮社
5.「銀河祭りのふたり」杉本章子著 文藝春秋
……これまでふれてこなかった作品がふたつもランクイン。忙しかったからなあ。
「身の上話」はごひいきの怠け者作家である佐藤正午の新作。“ある人物”が“ある人物”に向かって妻の身の上話をするという設定が絶妙。ほんの小さなことで妻の日常が音を立てて崩れていく前半と、それをうまく収束させる後半の対比がうまい。ミステリとして評価してくれる人が少ないのが不満。
「銀河祭りのふたり」は、
「おすず」
「水雷屯」
「狐釣り」
「きずな」
「火喰鳥」
「その日」
とつづいた信太郎人情始末帖の完結編。長いこと読み続けてきて、そのたびに泣かされてきた。子持ちの後家とわりない仲になったために縁談はこわれ、勘当されている信太郎が、巻きこまれるように様々な事件に(嫌々ながら)かかわっていく。家族小説としても一級品。信太郎と後家が「分をわきまえろ」というプレッシャーとたたかいつづける我慢の物語でもある。既刊は文春文庫に入っているので手にとってみてね。
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