第26話「古畑任三郎 VS SMAP」はこちら。
サードシーズン開始。歴然と、今までよりも金がかかっている。画面に深みがあるというか。演出も気合い入りまくり。ただ、これまでのチープさも失礼ながら捨てがたいのだが。
オープニングで西園寺刑事登場。今泉と違い、みんなから愛されていることがよくわかる。彼が招集されたのは、いまは現場を離れている古畑任三郎を呼び戻すこと。
え、古畑が現場を離れている?
ご心配なく。悪のりしたスタッフが、単に古畑にハンニバル・レクターのパロディを演じさせたかっただけなので。今回は、そのハンニバルばりの猟奇犯罪。死体の肛門に、おみくじが挿入された“殺人”事件が連続する。犯人はどんな意図があって、そして“どの時点で”おみくじを仕込んだのか……
犯人が検死医の緒形拳であることで、この犯罪の“WHEN”は視聴者にもすぐわかる仕組み。問題は“WHY”と、古畑がどうやって立証するかだ。
実はこれがちょっと弱い。“最後の殺人”で、なぜ殺す前におみくじを入れなかったかの理由が「衝撃ではずれるかもしれない」は苦しいし(見せかけの犯人の立場からすればそれでもかまわないはず)、立証も偶然に頼りすぎている。ただ、だからこそ今泉慎太郎が古畑には必要なのだという理由に持っていったあたりはしぶとい。今泉は湘北高校における桜木に該当する不確定要素だったわけだ。
しかし、多くの欠点を内包しながらも、緒形拳と田村正和のかけ合いがすべてを吹き飛ばす。研究室で、アルコールランプでスルメをあぶる黒岩博士と、茶々を入れる古畑。全シリーズを通してのベストシーンだ。
黒岩:たいした男だよ古畑。ただ、刑事にしては少し頭が切れすぎる。
つくづく、惜しい役者を亡くしたものだと思う。
タイトルどおり恐怖映画の手法をふんだんに使い、それだけでは息苦しいので古畑の推理はひたすら明るいファミレス(マネージャーの八嶋智人が絶妙の合いの手を入れる)で行われるなど、気配りの回でもある。おみごと。
第28話「若旦那の犯罪」につづく
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