もちろん、野木亜紀子脚本作品なのでレンタル。日本の恋愛ドラマってすごいことになってたんですね。
主演は新垣結衣と松田龍平。それぞれ、深海晶(しんかいあきら)と根元恒星(ねもとこうせい)という印象深い役名が与えられている。ここに花井京谷(はないきょうや)というこれまた忘れられない名で田中圭、橘呉羽(たちばなくれは)で菊地凛子がからんでくる。
晶は“仕事ができるがゆえに落ち込む営業”、恒星は“仕事ができるけれどもある事情で不正に手を染めている税理士”というひねくれた設定。
彼らは、それぞれに屈託をかかえて5tap(ファイブタップ)というビールバーでクラフトビールを飲む。マスターは松尾貴史。客の生活にあまり立ち入らないあたりの節度がいい。さすがキッチュ。
問題は京谷だ。
晶との結婚を視野に入れながらも、自分の部屋に前の彼女(黒木華)が“同居”しているのだ。これは彼がだらしないのではなくて、メンヘラな彼女を追いだすことができない暴力的なまでのやさしさのため。
結果的にどちらの女性も傷つくことがわかっていながら決断できない……そう、彼こそ獣になれない代表のような男だ。とか言いながら登場人物で唯一肉食系に見える呉羽に誘われ、関係をもってしまう優柔不断さ。こういう役は田中圭ほど似合う俳優はいない。
晶がつとめる会社の社長役の山内圭哉の弾けっぷり、徹底的に仕事から逃げる伊藤沙莉のずぶとさなど、恋愛ドラマの定型のようでいて微妙にひねっている。完全なハッピーエンドにもしないあたりもすばらしい。これもまた見てよかったとつくづく。野木さんが向田邦子賞をゲットした作品でもある。
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