PART3から続いています。
問題の、高校の職員がこだわった千葉県の条例とは「県施設の使用料や手数料についての条例に従い、県立高校の入学金は、手続きをする入学式当日に納付する」(朝日)これ、知ってました?当日納付を定めている道県でも、多くは猶予期間をもうけているのに、千葉県はそんなシステムもない(後日、千葉県知事は見直しを検討すると表明)。
それでは山形県はどうなっているだろう。気になったので調べてみる。あったあった。
「入学料の徴収は、入学の許可のあった日から20日以内に行うものとする」
山形県立高等学校の授業料等徴収条例第6条
お気づきだろうか。千葉県と山形県では、入学料の納付と入学許可の順番がまるっきり逆になっていることに。身びいきなようだが、これは山形県の方が自然な流れではないだろうか。教育の恩恵をまったく受けないうちに入学金を“前納”しなければ「入学式で呼びあげを(未納の生徒だけ)行うことができない」という発想はやはりおかしい。入学金は“入場料”とは性格が違うはずだ。
加えて、そこまで“儀式”に拘泥する考え方はやはり学校の封建制を象徴していると思う。日ごろからうんざりしているのは、学校職員の「式」なるものへの熱狂だ。厳粛であることが感動につながる、とばかりにあらゆる努力をおしまない。東京で映画を観まくっている方が楽しいから、とばかりに大学受験は終わっているにもかかわらず、高校の卒業式をパスしたわたしの言うことだから普通じゃないのかもしれないけどね。
「入学式」シリーズの最後に、これだけは言っておきたい。式の1時間前に未納の事実を確認し、あたふたと対応に走ったこの学校って、どう考えても段取りが悪すぎないだろうか。要するにそんな事態を想像もしていなかったのだろう。「毎月10通も督促状を出すような状況で」この高校は困っているのだそうだ。おいおいたった10通かよ!(T_T)
いかん、さみしい結論になりそうだ。今回の騒動で、しかしもっとも冷静な対応策を提案したのは毎日新聞の社説だった。
各学校がすべて個別に問題を抱え解決を図るのでは、限界がある。例えば、一定範囲の地域、教育委員会の管内などで各公的機関が連携し、事態の把握や利用しやすい相談窓口の設置、不当な不払いに対する迅速適正な措置などができるようにしてはどうか。
学校も保護者・子供も、孤立するとえてして極端な手法を選択しかねない。
子供を一時的にしろ引き離した今回のケースは、それを示唆している。
……学校はとかく批判されやすい組織だ。しかしそれを嘆くあまり、“極端な手法”しか思い浮かばなかったあたりに、今回の不幸があったのだろう。
【入学式・おしまい】
画像は伊坂幸太郎「フィッシュ・ストーリー」。
所収の「動物園のエンジン」が泣かせる。ここに出てくる河原崎さんの息子が後に……
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