1時限目はこちら。
そうだったのだ。まわりの連中はハーバーラジオをめったに聴かないので(中年女性たちはラジオ自体縁がなさそうだ)、気づいているのはわたしと用務員だけなのだが、翌週からチェックすると、なるほどその特徴のある声はIのものだった。だいたい毎週ちゃんとフルネーム名のってるって(笑)。
でもこれ、本人にどう確かめよう。自分から番宣をする様子もないので、ひょっとしたら知られたくないのかもしれないし……
その機会は、意外に早くやってきた。
日曜の朝、PTAの奉仕作業で畑起こしをやる行事があり、保護者たちから、もうちょっと一輪車があると便利だなあ、と相談を受ける。
用務員に「余った『ねご』ある?」ときく。
「ねご?」いぶかしく思う保護者もいる。方言、というより工事現場の隠語だからな。そばにIがいたので
「Iくん、ねご、ってわがる?」
「あ、わかりますよー、一輪車でしょ?」
「庄内弁がもしんねし、ラジオでとりあげてみろよ」と言い放つ。どんなリアクションを見せるかと思ったら、Iはニヤッと笑って見せたのだった。
あとは前から疑問に思っていたことを機会あるごとにぶつけている。
「なんであの番組に出ることになったの?」
「佐藤(智也)と中学高校大学っていっしょなんですよ。で、あいつが田舎帰ってきてハーバーラジオに勤めることになったとき、手伝ってくれっていわれて。」
「やっぱり出てることはみんなに秘密なの?」
「いや、わかる人だけわかってればいい、ってスタンスで。だからほら、佐藤にもオレのプライバシーは絶対にしゃべらせませんから。」
「でも、生徒はともかく親たちにはバレバレだろう?今まで言われたことはなかったのか?」
「たまにいますよ。聴いっだぞ、って人。」
やっぱりなあ。
以下次号。
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