PART15はこちら。
雨のせいでどろどろの葡萄畑のチェイス。ニックはオープニングで、佐藤はチャーリーを屠るシーンでバイクに乗っているので、この設定は自然だ。日本人にとって松田優作はなんといってもヴェスパの人なので、バイクに乗っているだけで心が浮き立つ。
小指を失ったことでニックに追いつめられ、汚泥のなかで格闘するふたり。食肉市場の再現だ。そして佐藤がふりむけばそこには切っ先鋭い竹があり、死を覚悟した佐藤はうっすらと笑みを浮かべる。
「抜いたら殺せ」
アメリカ流の哲学をもつニックは、このまま佐藤を押し倒し、彼を刺し殺すだろう……
大阪府警に再び現れるニックと松本。なんと佐藤を連行している。ニックは彼を殺さなかったのである。日本流の考え方を彼は採ったということだ。
この選択には作り手たちも迷ったようで、刺し殺すバージョンも撮っていたとか。しかし、アメリカと日本の文化の衝突と交流というテーマからすれば、必然のラストだったと思う。
本国に送り返したはずのアメリカの刑事と、謹慎中の日本の刑事のお手柄なので、日本の警察は、特に上司の神山は苦り切るはずだけれどもそこはハリウッド。彼らのはたらきはきちんと認められたようだ。くどいようだけれども、本来はありえないですけどね。
関西空港での別れ。
またしてもうどんをすする二人。
「(箸使いが)上達したろう?」
とニック。日本の考え方をきちんとおれは習得したという宣言。彼は松本に、最後にひとつプレゼントを贈る。ニックが、日本の経験と松本との交流で人間としてステップアップした証し。
どこまでも周到な脚本、魅力的なキャスト、華麗な演出。すばらしい作品でした。そうでもなければPART16まで特集はしません(笑)。ぜひお試しを。
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