前作「記憶にございません!」を特集したときに、三谷幸喜作品を
まあまあ……「ザ・マジックアワー」「ステキな金縛り」「みんなのいえ」
なかったことにしたい……「ギャラクシー街道」
とカテゴライズした。で、今回はネット上で「ギャラクシー街道」なみの出来、と酷評されているのだ。
で、同僚が先に見てきて
「製作費かかってないなーってまるわかり。セットがほとんどひとつしかないんだもん」
そうなんだろうか。検証してみましょう。
まず、同僚の意見は三谷自身によって否定されている。演劇的に撮ることを意識していたらしいのだ。それが、効果的だったかどうかは別にして。
ストーリーはかなりひねくれている。詩人(相田みつをあたりがモデルだろうか)のくせに大富豪(「鎌倉殿の13人」で宮沢りえに翻弄されていた坂東彌十郎)の邸宅から姿を消した妻のスオミ(長澤まさみ)。誘拐のおそれがあるとやってきたのが刑事にしてスオミの前夫(西島秀俊)、以降も遠藤憲一、小林隆、松坂桃李などが登場して、スオミは都合5回結婚していることが判明。そして彼女の印象は夫たちすべてに違っていた……
どうも前半が調子悪い。テンポがよくないというか。まあ、警察が持ってきた逆探知の器械がもんのすごくアナログで、みんなが「今でもそんなの使ってるの!」と驚くあたりは笑えましたが。
しかし後半は持ち直す。それは長澤まさみの魅力が全開だからだ。常に相手にとって都合のいい相手を演じてしまう彼女の五変化はおみごと。それからね、よけいなことだけどこの人ってどれだけ足が長いんですか。結論それですか。