「1・2の三四郎」の1はこちら。
柔道でそれなりの成績を残したものの、三四郎が高校卒業後に選んだ進路はプロレスだった。この、レスラーになるまでの面白さは無類だ。
レスラーになるには身長が足りないと揶揄する友人に
「そーんなもん精神力で伸ばすわい!」これ、名言ですな(笑)。そして実際に背を伸ばしたのには笑ったなあ。
三四郎が弟子入りしたのは、かつて壮絶な悪役として名をはせ、現在は保育園の園長をしながらマット界への復帰をねらう桜五郎。彼がさずけるトレーニングのハードさで、プロレスラーがいかに強靱な存在なのかを教えられた。しかし、それでも弟子たちは楽しそうなのだ。スポーツ漫画の最大の魅力は「とにかくのべつまくなしにそのスポーツをやっている」幸福感にあると考えるわたしにとって、古くからの友人たちや、マネージャーとなった志乃といっしょにプロレスに打ち込む三四郎の姿は快感。小林まことはその後、同傾向の「柔道部物語」(※)を描くことになるが、この幸福感はさらに増幅していた。
※女性に圧倒的な人気を誇る「柔道部物語」の主人公・三五十五(さんごじゅうご)は、「1、2の三四郎2」にたった一コマ特別出演している。
実は前半にアントニオ猪木が登場する回があり、二度と会うことはないであろう云々と描かれていることから、三四郎をプロレスに向かわせるのは最初の構想にはなかったことがわかる。そしてそんなことが信じられないほど、新人タッグトーナメントでのコクのある展開があり、主人公である三四郎は
・腕に破滅の音がすることもなく
・背中を痛めることもなく
・真っ白に燃え尽きることもなく
精神的には何の成長もないままに爆笑のコマで終了する。本来、教養小説的に“成長する”ことが不可避な少年マンガで、この反省の無さは貴重。で、格闘技の醍醐味を続篇の「2」はなおグレードアップして描いていてまたしても快感。
このマンガを読んだことのない人は幸せだ。講談社はそんな人のために早く再発するように!
次回は「銀魂」です。
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