その1はこちら。
「じゅうはんしゅったい、ってドラマ見てたか?」
妻や同僚に訊いてみる。
「ああ、編集者の話ね」
そこまではみんな把握しているようだ。でも見ていた人はわたしの周りにはいなかった。それどころか
「え、泣けるのそのドラマ。ふーん、うちはねえ、今それどころじゃないの。『キングダム』を見てたら××が死んじゃって、亭主と号泣」
そういうタイプの泣けるドラマじゃないです(笑)。
基本線は、新米編集者の心(こころ)が、先輩編集者(オダギリジョー、松重豊、荒川良々、安田顕)や漫画家(小日向文世、滝藤賢一)との交流のなかで成長していく物語。王道の教養小説ですな。
特にクールなオダギリジョーが魅力的。常に冷静な彼が動揺するくらいの事件が青年漫画誌を舞台に連発。営業と編集の確執、書店員たちの影響、読者アンケートの重要性など、「バクマン。」で語られなかった部分まで描かれ、お仕事ドラマとして最高。
そして、“消えた漫画家”という命題から逃げていないのもいい。往年のギャグ漫画家が失踪して以降の落魄など、週刊連載がいかにきついか、読者の期待がいかにプレッシャーなのかがきちんと語られている。江口寿史や鴨川つばめがこのドラマを見てどう思ったか聞いてみたいところだ(吾妻ひでおにはもう聞くことができない)。
そして、技術はないけれども天才的なひらめきを見せる新人を、心がどう育てていくかがもうひとつのテーマ。この、悲惨な過去を持つ天才を永山絢斗が演じていて、これがいいんだなあ。狂気の側に入りこみそうになる彼(そのままだと彼は確実に“消える”はずだ)を、健康そのものである心がこちらにひきとめるあたり、泣けます。
マンガ大賞の受賞者が誰になるかなど、ひねりのきいたラストもすばらしい。脚本は「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子。すごい。
※いやそれにしても星野源と新垣結衣の結婚には驚きました。星野はこれでエロ動画から離れていくのかなあ(笑)
ムロツヨシ演ずる先輩の未発表原稿を読んで,(他の助手仲間が気づけなかった)作品の本質を言い当ててムロを呆然とさせるシーンです.
ついでに言うとオダギリジョーの好きな台詞は,
「ぜんっぜん伝わってねえ!!」と「実は(大賞を)狙ってたんです.」です.
一瞬で想像させ……その結果があれだもんね。
おみごとでした。