PART5はこちら。
真犯人が誰か、という点ではフェアにヒントは示されている。
・ベスの部屋の鍵が近ごろおかしいと語られている(→証拠品は彼女のいないときに持ちこまれた)
・同様に、彼女の電話の留守番電話のテープが未使用のものになっている(→誰かがとりかえた)
・キャサリンの新作は、ワードプロセッサーからプリントアウトはされているが、まだ出版されているわけではない(彼女以外に結末を知る人間はいない)
……それ以上に、観客にとっては
・オープニングのファックシーンの金髪女性と、ニックに(ほぼ)レイプされるベスの乳房の形が違う(笑)
……という決定打も。
しかし、だ。当時ハリウッドでもっとも高い脚本料をとっていたジョー・エスターハスの脚本が、どうにも出来が粗いので観客を完全に納得させるには至っていない。すっきりしないのはそのせいだろう。
くわえて、キャサリンが犯人であることが明白であるにもかかわらず、日本で配給したヘラルドが「真犯人は誰か」とあおり、ビデオ化されたときには犯人当てキャンペーンまでやって“念押し”したために「おいおいもっと深読みしなきゃなんないのかよ」と観客が困惑したのがわからなくなった原因に違いない。
名古屋の興行会社だったヘラルドは、そんな仕掛けが本当にうまかったので、今回も本領発揮だ。「エマニエル夫人」同様、これだけハードな性描写がありながら、いや、だからこそ女性を集客したテクニックはおみごと。これぞ、興行人の基本的本能というべし。
さて、問題はラストのあつかい。果たしてキャサリンはニックと幸せに暮らすことになるのか?それともアイスピックを使用するのか?……答は続編「氷の微笑2」にあり、その謎を解くしか観る価値のなかったあの映画ではこう語られている。
「前の事件を調べてみたよ。警官が“ふたり”死んでいたね」
……「チャイナタウンがわからない」につづく!
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