その男の生活はルーティンの塊だ。近所のおばあさんの道を掃く音で目を覚まし、部屋にある植物に霧吹きで水をやり、自動販売機で缶コーヒーを買い、古い音楽を車のカセットで聴きながら職場に向かう。
その職場とは公衆トイレ。彼、平山はトイレ清掃を請け負っている。仕事は徹底している。
家に帰り、銭湯に向かい、地下街の飲み屋でチューハイをひっかけ、布団のなかで古本屋で買った100円文庫本(フォークナー、幸田文、パトリシア・ハイスミス……「11の物語」はわたしも大好きでした)を読みながら眠りにつく。その日の情景がモノクロで平山の頭に浮かぶ。
役所広司がカンヌ映画祭で男優賞をとった作品。監督は「パリ・テキサス」「ベルリン 天使の詩」のヴィム・ベンダース。すばらしい作品だった。妻もわたしも涙が……
淡々とした日常を描いて、細やかな、静かな、同時に少し退屈な映画かと思ったら、激しく感情を揺さぶられてしまった。
音楽のセンスが抜群で、「ドック・オブ・ザ・ベイ」のような超有名曲もあれば、ヴァン・モリソン、パティ・スミスなどの渋い曲も続々。
それにしても豪華なキャスト。スナックのカウンターから出てきた石川さゆりが、あがた森魚のギターで「朝日のあたる家」を熱唱するというぜいたくなシーンもあります。
ラスト近く、役所広司と演技のうまさでは引けを取らないあの人も登場。まあ、役所が主演してベンダースが監督する映画に誘われたら誰も断れないよね。出演を断ったら絶対に後悔するし。
そしてこの映画がすばらしいのは、東京という街が、いかに美しいかを活写していることか。東京って、本当にきれいだ。
暗くないものにしていましたね。
本の選び方も、主人公の背景を映すようで。
少しのシーンで絶妙なキャスティングが
素晴らしかったです。
女性清掃員の方とか。
柴田元幸だったんですって。
言ってくれよ(笑)
そんな方まで、、、?
すごいですね、キャスティング。
役所さん以外知らずに観たから
いっぱい見逃してそう。
なんとも言えない味わいの作品。
貴重な体験でした。
からね(笑)
あの影踏みのシーンは歴史に残る。
しかも、② 裏 テーマ の解説は最後の最後、クレジット終了後に出てました(汗)
ご覧になりましたか?
詳しく教えてください。