身体がきつい一日を終えて、さあ芋焼酎をいただきましょうとウチに帰ったら、もっときついニュースが待っていた。菅原文太病没。きつい。高倉健に続いて、というフレーズで語られるのだろうが、わたしにとっては“名優”高倉の退場よりも実はしんどい。
それはおそらく、世代的な部分が大きいのだと思う。七十年代の中盤から日本映画に耽溺した人間にとって、高倉健は(「新幹線大爆破」という東映のみごとな作品があったとはいえ)作品を吟味して仕事する存在になりおおせていた。
でも菅原文太はしっちゃかめっちゃかだった東映館主たちの希望の星だったし、この年齢になって見返した「仁義なき戦い」(深作欣二)シリーズの破天荒さはやはり無類のものだったと再認識している最中なのだ。特に「代理戦争」のすばらしさは格別で、欲望の権化そのものの山守親分(金子信雄)と同じテーブルにつくことへの苦みを、あの端正な顔を歪めて演じた瞬間には震えが来た。
もちろん東映への反発はあっただろう。自身の企画でもある「トラック野郎」を優先して、実は「新・仁義なき戦い」になったかもしれない「北陸代理戦争」から逃げまくった経緯はすでにお伝えしたとおりだ。
ただ、わたしはどうしても鈴木則文監督の「トラック野郎」シリーズがダメで、東映にとってはありがたい存在だったかもしれないけれど、当時の東映離れを結果的に加速させてもくれた。
テレビではもちろん「獅子の時代」が代表作。有名な歴史上の人物の書き割り芝居が求められる大河ドラマで(わたしがいま「軍師官兵衛」に熱中しているのも実はその部分です)、本気でドラマティックな英雄伝を構築した山田太一はすごいと思うし、文太はその期待に驚くほどの動きで応えた。なんか、はずんでたんですよ。
近ごろはおじいちゃん役が多く、しかしそれが“昔やんちゃしていた”という前提なのはさすが(笑)。「妖怪大戦争」「わたしのグランパ」はその結実だ。同じ意味で「古畑任三郎」の警視役も輝いている。その路線を、実はもう少し進めてほしかったと思う。わたしの考える菅原文太ベスト3はこれです。
「仁義なき戦い 代理戦争」
「県警対組織暴力」
「太陽を盗んだ男」
合掌。
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とにかくあのときの文太はかっこよかったし、
地下鉄で通勤する沢田研二の気だるさも
よかったんだよな。あーまた観たい。
なにより、長谷川和彦は娯楽映画を撮れる、ってことが
知れ渡ったのに、この始末なのが悲しい。
あ、やっぱり危ない映画しか撮れないって方向に
とられたかー。
ビーバーエアコンは日立製だと長年思い込んでました。