Vol.12「最後のあいさつ」はこちら。
日本人の数学者として初めて「アーバックル賞」を受賞した二本松晋(陣内孝則)と野田茂男(田口浩正)は、オーストラリアでの授賞式に出席した。
しかしその夜、野田が突然ホテルで事故死する。たまたま休暇で同じホテルに泊まっていた古畑は、不自然な死に方から他殺と確信し、二本松に疑いをかける。しかし、彼にはアリバイがあった…。
この「笑うカンガルー」は、DVDではファースト・シーズン扱いになっている。でも第1シリーズの「最後のあいさつ」から一年近くたって製作されたスペシャル版だし、タイトルから「警部補」の文字が消えているのでセカンドで扱った方が自然だろう。
とりあえず、このスペシャルでタイトル以上に歴然と変わったことがある。視聴率がアップしたのだ。第1シリーズは平均して12~15%だったのに、いっきに18.8%まで伸びている。みんな、待ってたんだね。
だからこそ客席から「待ってましたっ!」と声がかかりそうな田村正和の登場の仕方は泣かせる。
なんとオーストラリアのホテル(今泉がコンビニで買った缶詰めの懸賞に当たったんですって)のプールサイドで、気だるげにサングラスをかけているのだ。ザ・芸能人、って感じです。さすが、千両役者。
コンビの片方が気むずかしい天才で、もう一方がスポークスマンという設定はエラリー・クイーンを(あくまで、印象ですよ)思い起こさせる。数学者というこれまででもっとも知的な職業の犯人が陣内孝則でよかったのか、という疑問は残りますが(笑)。
アリバイ崩しという意味では不満が残るし、古畑が仕掛けた罠もきわどい。しかし殺人にイカの塩辛(^o^)が使われたり、犯人が女性ではありえない理由など、考えてあります。
タイトルもいい。男運の悪い女のことを、オーストラリアの原住民は「カンガルーが笑う」と表現することからとっている。「王様のレストラン」同様にでっちあげの箴言でしょうけどね。
傲慢な数学の天才と、自分のことしか考えない殺人者に翻弄される人妻役は水野真紀。男運のない彼女(最後にとんでもない告白をする)に、古畑はちょっとしたプレゼントを贈る。犯人の捨てゼリフも決まっている。
「見事な証明だ。古畑さん」Q.E.D.(証明おわり)。
第14話「しゃべりすぎた男」につづく。
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