第30話「灰色の村」はこちら。
探偵の名が番組名で、サブタイトルが「○○(探偵の名前)、××をする」とくれば黄金時代の探偵小説(推理小説ではなくてね)みたい。「メグレ罠を張る」とか。今回は、探偵小説の無邪気な犯人がよくやった手口、“変装”がキーになっています。
歯痛に悩む古畑は、友人の紹介で歯科クリニックにやってきた。治療するのは美貌の歯科医、金森晴子(大地真央)。晴子は、つきあっていた男が彼女の助手にのりかえたことが許せず、すぐ近くのオフィスのトイレで男を射殺する。その時刻、彼女は古畑を治療しているかのような細工をしていた……。
今回のアリバイトリックはほとんど実現不可能だ。治療中、患者は目隠しをしていることを利用して古畑と助手の双方をあざむくことになっているが、患者と歯科医がまったく口をきかないと期待する方がどうかしている。
また、事件の翌日に古畑は助手に「この歯並びおぼえてませんか?」と(誰でもそう思う)たずねるのに、「よくわからない」では歯科衛生士失格。ふたつの診察室をうさぎとくまのぬいぐるみをドアにかけることで区別しているのはいいとしても、入れかえにいつもそのクリニックで働いている助手が気づかないのもなあ。
しかしこの回の眼目はそんなところにはない。男子トイレに入って被害者を待つために、犯人に男装させるのが目的だったはず。そのための、大地真央なのだ。
いや逆かな。あて書きが得意な三谷だから、大地真央の起用が決定したのでこんなシチュエーションにしたのだろう。とにかくやみくもに宝塚出身の大地にトレンチコートを着せ、口ひげをつけさせたかったわけだ(^o^)
乗り合わせたタクシー内での、とぼけたブラッシング指導が終わった途端にシリアスな表情になる田村正和の転調と、“動じない女”という設定が最後に生きる大地真央の背筋ののびた感じがすばらしい。犯人は小柄な男だったという証言に
古畑:小柄といえば西園寺くんです。
西園寺:はい。
古畑:いや返事はしなくていいよ。
いいボケとツッコミになってます。今泉はうかうかできません。
第32話「古い友人に会う」につづく。
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