事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「空のあらゆる鳥を」All The Birds In The Sky チャーリー・ジェーン・アンダーズ著 東京創元社

2021-08-10 | 本と雑誌

うちの司書がこの本を事務室に持ってきてくれて

「読みます?」

まったく知らない本だった。

「東京創元社の本だから、お好きかと」

「読みます」

そりゃ、東京創元社と早川書房の本なら何でも読むさ。

冒頭のエピグラフ。

生命と進化のゲームでは、人間、自然、機械という三名のプレイヤーがテーブルを囲んでいる。わたしはあくまで自然の味方だが、どうやら自然は機械の味方であるらしい。
 ジョージ・ダイソン「機械に囲まれたダーウィン」

……これが想像以上にストーリーの核となっている。

科学の天才である少年ローレンスと、魔女(!!)のパトリシア。彼らは子ども時代もおとなになってからも、自らが属するグループからはみ出していく……

鳥の声を理解するパトリシアが、魔法使いの学校に行ってというハリーポッター的な展開もありつつ(魔法使いにふたつの派閥があるあたり、明らかに意識している)、エンディングにはサプライズが用意してある。

「どうでした?この本」

「すごく面白かったです。ただねえ」

「?」

「途中にびっくりするぐらいのファックシーンがあるんですよ。中学生に大丈夫かなあ」

「あら……(笑)」

作者のアンダーズはトランスジェンダー。それを考えるとあのシーンは趣深いっす。


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