中山七里を読み続ける。自分が不安になる。ひょっとしたらこの作家はわたしが読む以上のペースで書いているのでは?
「消されたヘッドライン」のときと同じように、これ読んだっけと考えこむ。とりあえず読み始める。完全な密室からストラディバリウスのチェロが消え去る謎から圧倒的。
岬洋介ものの第二作。で、読み終えて思う。これ、初めて読んだのかすらさっぱり(笑)。
「悪徳の輪舞曲」につづく。
中山七里を読み続ける。自分が不安になる。ひょっとしたらこの作家はわたしが読む以上のペースで書いているのでは?
「消されたヘッドライン」のときと同じように、これ読んだっけと考えこむ。とりあえず読み始める。完全な密室からストラディバリウスのチェロが消え去る謎から圧倒的。
岬洋介ものの第二作。で、読み終えて思う。これ、初めて読んだのかすらさっぱり(笑)。
「悪徳の輪舞曲」につづく。
植物学者、牧野富太郎のお話。誰もが知る偉人でありながら、はて、この人は実際に何をし、どんな人だったのだろう。
……うわあああああ、ほとんど性格破綻者じゃないか!
裕福な酒屋に生まれ、何不自由なく大好きな植物の収集、書籍の購入を続けるうちに実家の経営は傾き、ついには潰してしまう。それどころか借金はふくらみ続け、しかしそれでも彼は金を湯水のように使い続ける。
従妹を嫁にもらい、実家の経営は彼女に丸投げ。夫の学問のためならと支援をやめない妻の鏡。けれども牧野は上京し、女をつくり、子までなす。
アウトラインだけ見るとひどいでしょ(笑)。こんな人が近くにいたら迷惑だろうなあ。しかし彼には圧倒的な画力と人間的な魅力があり(美男でもある)、学者として名を成してゆく。
ただし、“正統な”学者たちからは排斥されることの連続。牧野は牧野で開き直っているが、彼の経済的苦境の多くはそのことが背景にある。
もっと上手に生きることができないのか、とあきれながら読むが、この破天荒さこそが牧野の本領であり、植物に愛された男の人生だったのだろう。
「類」「白光」につづき、朝井まかては“異様さ”をかかえた人物を描いておみごと。
事務室にやってきた理科教師に
「理科の人間としてさあ、牧野富太郎ってどんな存在なの」
「神様よ」
即答でした。どこの学校の図書館にも牧野の図鑑はあるだろうしな。しかも来年の朝ドラの主人公は牧野がモデルだという。だいじょうぶか、お茶の間にこの破天荒な神様は受け入れられるのか!?
CASE2「電子計算機使用詐欺」はこちら。
県立高校に務める50代の男性教諭が、女子生徒のスカートの中を盗撮したとして懲戒免職処分となり山形県教育委員会が会見を開き謝罪を行った。犯行は授業中、立っていた生徒の後ろから近寄り生徒の足の間につま先を入れてスカートの中をサンダルについた小型カメラで撮影していたという。
高さおよそ1センチほどのカメラで靴下とサンダルの間にはさみ踏んでいたとのこと。犯行は職員室でも座った教諭が立ったまま向かい合った状態で盗撮したことがあったという。被害に遭った女子生徒が校長などに相談して発覚、3人の被害が発覚した。教諭は当初盗撮を認めていなかったが警察の聞き取りに対し10回程度行ったと盗撮を認めたという。(日本テレビ)
……公務員の不祥事は視聴者にとって“おいしい”ネタであるのでしょうが、それにしたって盗撮がらみは数が多すぎます。今回は村山の高校教諭の件をサンプルにしましたが、この地区の小中学校でも似た例はありました。
これはいったいどうしたことでしょうか。
わたしなりに考えたことがあります。それは、電子機器の進化に人間の道徳が追いついていないのではないかということです。
その証拠に、あなたのお持ちのスマホにもカメラ機能はついているでしょうが、シャッター音を消すことは(裏技はあるにしろ)できません。これは、通信事業者が盗撮による迷惑条例違反の多発を重視し、必ず音が出るようにデフォルト設定しているからです。盗撮に使うなと。
カメラが小型化し、誰もがスマホを持つ時代。誤解を恐れずに言えば、この犯罪はとてもハードルが低いものなのかもしれません。
しかし、結果はどうでしょう。いきなりの懲戒免職。これがどれだけ重いことなのか。
まず、処分を決めるに当たって、山形県教育委員会がどのような基準を定めているかというと
①非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
②故意又は過失の度合いはどの程度であったか
③非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、また、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
④児童生徒、保護者、他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
⑤過去に非違行為を行っているか
……冒頭の教諭の行為が、意図的で(サンダルにカメラを仕込むって……)、女子生徒及び全校生徒を戦慄させるなど影響が大きく、過去にも何回か盗撮を行っていたことなどから、懲戒免職は必至だったことがわかります。
つまりハードルは低くても、懲罰は大きい犯罪なのです。スマートフォンは確かに便利です。しかし、使いようによっては“凶器”にもなり得ることは、みなさんがいつも生徒に言っていることですよね。
本日の画像は「シン・ウルトラマン」(2022 東宝=円谷プロ)
冒頭「シン・ゴジラ」とタイトルが出てびっくり。つまりは共通の世界観ということか。のっけからゴメスやペギラが登場して大騒ぎ。そしてウルトラマン登場。成田亨のオリジナルデザイン(カラータイマーがない)はセクシーですらある。怪獣ファンも、長澤まさみファンも大喜びの展開。怪獣……わたしの好きな言葉です。
CASE4「交通違反」につづく。
第23回「狩りと獲物」はこちら。
今回からこの大河は流れがくっきり。“源頼朝をどう殺すか”だ。死亡フラッグが立ちました程度の話ではない。大泉洋の目が泳ぐ演技を引き出しながら、それでは彼を殺すのはなぜだったのか、次はどうなるのかへの挑戦の回。
頼朝は自分の弟、義経(菅田将暉)を既に排除し、今度は範頼(迫田孝也)を修善寺に押し込める。自分が死んだとして、後はわたしがという姿勢を少しでも見せたので。
叱責された場で、
「もういい」
と決めた迫田の演技がすばらしい。そういう時ってあるよね。そしてそんな範頼に、なお過酷な仕打ちを頼朝は……
三谷幸喜がこめた今回の大嘘は、頼朝と北条政子の娘である大姫(南沙良)に、巴御前(秋元才加)が、「人は変わる」と語ったあたりだろうか。
彼女はだから父親のリクエストに応えて入内することにするのだが、ここで悪意を向きだしにする鈴木京香が味を出してます!西田敏行が退場した以上、この大河の悪役はこの人に引き受けてもらわなくては。
そして、大姫を失って泣き崩れる政子に
「強くなりなさい」
と叱咤するりく(宮沢りえ)。確かに、政子はこれから強くなっていく。
あの優しい男はどこに行ったの?と頼朝を平手打ちまでする草笛光子まで登場し、今回は女優陣の凄みが感じられた回でした。
もうネタバレしてもいいですか。山本耕史が出てくると同時に「シン・ウルトラマン」のメフィラス星人が想起される。彼の代表作になるんじゃないのかなあ。あのブランコとか居酒屋のシーン。宇宙人が割り勘にしないだろ(笑)
第25回「天が望んだ男」はこちら。
DVDレンタルの棚を見ていて「お」と思う。
この映画のことをまったく知らなかったので(日本では劇場未公開)。でもデンゼル・ワシントンとラミ・マレック、そしてジャレッド・レトが共演していて、箸にも棒にも掛からない作品ってことはないだろう。
元殺人課の伝説の刑事ディーコン(デンゼル・ワシントン)は、ある事情のために田舎に飛ばされていた。上司の命令で、つまらない仕事のために元の職場であるLAPD(ロス警察)に出張したディーコンに、昔の知り合いたちは、ある者は歓待し、ある者は避ける。「あいつは疫病神だ」と。
彼に興味を抱いたバクスター刑事(ラミ・マレック)は、犯罪現場にディーコンを同道させる。
「意見を聞かせてくれ」
若い女性の惨殺体。後ろ手にしばられ、なぜか部屋のなかで移動させられている。ディーコンはひとり現場を離れ、向かいのビルの一室に入る。そこからは被害者の部屋がよく見える。間違いない、犯人は彼女を見張っていた……そしてディーコンは気づく、自分が担当し、まだ犯人が捕まっていない連続殺人と手口がいっしょだと。
スティーブン・スピルバーグがこの脚本に興味を示し、しかし映画化が実現しなかったのはあまりに暗い話だったかららしい。
脚本を書いたジョン・リー・ハンコック自身が監督したのは功罪相半ばする。ハイウェイを走る車(すべて1990年という時代背景に合った車が用意されている)の流れで映画のリズムをきざむ演出はいいが、しかしこの展開で128分の上映時間は長すぎる。
ジャレッド・レトも含めた演技合戦はおみごとだったので、見て損のない映画ではありましたが。
精神科医であり、産婦人科医だった春日武彦と、なんと還暦を迎えた穂村弘が死について語りあう。それを猫が聞いている、という設定。
ほんわかした雰囲気に見えるが、特に穂村が鋭いシュートのような発言を不意にくり出すので油断できない。
死に近い(物理的に、です)ふたりが、それでも静かに死に思いをはせているのを読んで、わたしは少し死ぬのが怖くなくなりました。
そうかオンエアは2000年だったか。ギリギリ前世紀の作品。もうそんなになるのか。
近ごろ「俺の家の話」「監獄のお姫さま」「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」と宮藤官九郎作品を追いかけてきて、出世作であるこれを再び見ることにする。
初めて観たときの衝撃は小雪だったが(笑)、今度はどれだけ豪華キャストなのかと驚く。
正確に言うと、でた若手が次々にブレイクしたのである。
当時、売れていたのは主役の長瀬智也と渡辺謙ぐらいだったのに、窪塚洋介(となりに侍らせる愛人が池津祥子と峯村リエなのがすごい)、佐藤隆太、妻夫木聡、加藤あい、酒井若菜、山下智久、高橋一生、西島数博(真矢みきの旦那)、坂口憲二、そして阿部サダヲが出ていたのである。チョイ役でなんと小栗旬まで。これで面白くないわけがない。
しかし、もっともブレイクしたのは宮藤官九郎自身だろう。オープニングに小芝居があり、SADSのテーマ曲「忘却の空」のアコギのイントロが絶妙のタイミングでかぶったところで
「脚本 宮藤官九郎」
と出る。ゾッとするくらいうれしくなる。企画はもちろん磯山晶だが、よくもまあゴールデンタイムのドラマにこんな新人脚本家と無名のキャストで勝負に出たなあ。
うれしくなるだけではない。窪塚洋介は例の事件以来さえないし、長瀬智也と坂口憲二は表舞台から去った。このころからは想像もできない宮藤脚本&阿部サダヲ主演という驚天動地の大河「いだてん」は低視聴率に沈んだし(笑)、小雪は三人の子持ちのお母さんだ。
ま、いろいろあるけどこの池袋ウエストゲートパークがテレビ史に残る傑作であることは間違いない。見返してよかった。
筒井哲也の原作漫画のためでも、藤原竜也と松山ケンイチというデスノートコンビの映画のためでもなく、わたしがこのノベライズを読んだのは、書いたのが黒木あるじだから。
毎月1~2回山形新聞に連載されている爆笑エッセイ「真夜中のたわごと」のわたしは大ファンなの。
本業はホラー作家で、確かにじわっと怖くなる展開はすばらしい。ネタバレ厳禁なので主役のふたりが逆のキャストだとどうだったかなあ……ところで「真夜中のたわごと」はいつ書籍化されるんだろう。すぐに買うけどな。
今日の、小津安二郎の「東京物語」をひっぱってタスマニアンデビルにもっていく強引さも好き(笑)
「恒例の画像ですね伍長」
「ヘッジトリマー、脚立、軽トラ、そしてちゃんとポカリスエットを常備しました」
「近所の人たちと水道の検針のおっさんがほめてくれましたもんねえ」
……もちろん、ヘトヘトになった日は4時から飲んでいいことにしていたのでした。ヘトヘトっていうより、ゼーゼーだけどね。
それからね、ちゃんと通販で買ったマジックトリマーも活躍したんですよ(笑)。使えることは使えるな。