歩いて帯広美術館へ。今回は「画家岸田劉生の軌跡」を見に来たのだ。もちろん彼の油彩の主要作品が来ていると思っていた訳ではないが、結果からすると微妙な雰囲気が漂ってしまったのは間違いない。
「月下遊戯(一)」:月の下で輪になって踊る人々。楽しい水墨の小品だ。
「第1回草土社展会場装飾画」:人類が自然と共にありのままに暮らせる様を描いたと思われる作品。
「代々木風景」:日本家屋を描いて、水墨の雰囲気のある水彩画だ。
「麗子之像」:これは割と子供らしく写実的に描かれた麗子5歳の像。いや、麗子は大変だったと思う。
「静物(林檎と葡萄)」:黒い台に灰緑色の壁、そして林檎と葡萄が描かれた、色彩的には攻めている作品。
「りんご」:洋書のカット風の作品。
「静物」:これは掛軸風の作品。いろいろ試していることが分かる。
「丸山君の像」:思いっきり日本人顔の丸山君を洋風肖像画っぽく仕上げた作品。
ここから装丁画の展示になるが、これはいろいろ仕事をしていたんだろうなという感想。そして問題なのが「東洋の美への傾倒」だ。私は岸田の「道路と土手と塀(切通之写生)」なんかは、誰しもが覚えている、少年の頃のめまいのするような夏を思いださせる大傑作だとおもっているのである。それゆえに、洋画にとことん切りこんだ人という印象を持っていたのだが、東洋の美への傾倒って何なんだ…。まあ、思う所があったのかもしれないけど、変節といっても過言ではないような気がするな。
「寒山風麗子像」:娘も泣くよな。
「彩果五題」:白い紙に薄いグリーンの台紙を敷いて、デザイン的なフルーツの版画を載せた5品。こういうのはなかなかセンスあると思うのだ。
「絵皿五客」:唐辛子・そら豆、蕪・ニンジン、蓮根、ナス・かぼちゃ、瓜・胡瓜の5品。結構楽しいなという感じと、「仲良きことは美しき哉」と思ったりする。
不完全燃焼のまま、コレクション・ギャラリー「森の交友録-バルビゾンの画家と写真家-」へ。
カール・ボドメール「鹿の呼び声」:これは見るの初めてかな。夕刻迫る森に鹿の群れが集まりだす風景。雲と夕焼の色彩がいい。
ギュスターブ・クールベ「釣人のいる風景」:描かれた人が近代の人という感じがするのだ。
アレクサンドル・ドゥフォー「森の中での休息」:休息しているとはいえ、森が暗く恐ろしいものだった時代の風景だ。
オーギュスト・アロンジェ「森の中」:ほぼ同年代の作品だが、これは不思議なほど明るい森の風景だ。
この後、とかちプラザギャラリー「田園都市のコンテンポラリーアート緑と風の器」へ。
高田K子「Edge of Another World」。今度、釧路芸術館で展覧会をやる人なのだが、こういう写真を撮るのか。
柏倉一統「センスオブワンダー#1」。
同じく「帯広市文化賞等歴代受賞者展」へ。
近藤みどり「花飾学「手向け花」1(数字はローマ数字)」:巨大なピンクの花。何だか動物を思わせるようでもある。