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多忙につき、ぶろぐ更新が疎かになっている。申し訳ない。
多忙につき、ぶろぐ更新が疎かになっている。申し訳ない。
早いものでもう2月。職場は相変わらず大忙し。やはりヒトデが足りないのだそうで。
さて、最近Facebookを見ていると、妙に目につくのが、AI技術を使った生き物の動画。Facebookのリールムービーである。
主に北極海の生物、例えばホッキョクグマやアザラシ、シロイルカなどが怪我をして、治療を受けている動画だとか、クジラがフジツボやら貝やらに覆われて、それをはがして助けようとしている動画である。こういう「動物感動ポルノ」というのはもともと世界中で見られたものであるが、従来から、これらの中には「ヤラセ」の動画も数多く含まれているという批判もなされている。ようは、動物をだしに金儲けをしているということであり、みながシェアする感動動画の正体は動物虐待で小銭を稼ぐyoutuberやらインフルエンサーと同じようなレベルの人間たちであった。
注目を集めるために「偽の動物救出動画」を作成することが世界中のSNSで流行中 (Gigazine)
https://gigazine.net/news/20241004-fake-animal-rescues-posting/
一方で今Facebookで流行っているのはAIにより製作された動画である。これならば動物が傷つくことがないからいいんじゃない、という意見もあるのだが、私としてはこれは逆に動物たちのリアルさがなくなり、また別の意味で危険だと思うのであるこのような動画をみて感動している人たちは、これがリアルな世界だと思い込んでしまうかもしれないし、逆にこれらは良いことと思い込み、実践してしまうかもしれない。
もちろん、体に網が引っかかってしまったシロイルカを助けるのは良いことだと思うし、海洋をただようごみは生物多様性の観点からも、食品衛生上も問題になるといわれ久しいが、クジラの体からフジツボを剥がしたりするのは良いことと思えないし、ましてやホッキョクグマにフジツボが寄生するとも思えない。もし万が一、いや億が一にもそのようなことがあり、そんなホッキョクグマを助けようとすればその人はホッキョクグマのご飯になる可能性もある。野生動物というのは、種、としては水族館や動物園の動物と同じであっても、実際には違う動物なのである。
最近は日本の海水浴場においても「人にかみつくイルカ」というのがいて、それにある人、まあ「動物搾取反対」を訴えるゔぃーがにずむの実践者であるが、その人はこのイルカの例を持ち出し、「動物園や水族館は動物との距離感をおかしくさせる」と述べた。正しいことだと思うが、私はそれにAIの存在をつけ加えたい。野生動物との距離感は大事である。そうでないと必ず人も動物も不幸になる。AIは野生動物に対して大きな脅威になりつつある。Facebookには、本物と偽物、区別がしにくいようなものもすでに出現している。早いうちになんとかしなければ…
ご無沙汰です。久しぶりにお休みということで、今日は消耗品の調達。「コーラルタウン」さんに豪「コーラルエッセンシャル」の添加剤が入っていたので購入。同社添加剤はいつか使ってみたいと思っていたのですが高価でなかなか手がでず。しかし今回は手が届きそうなお値段でしたので、いつ使うんだ、今でしょ!と10年前に流行ったネタが頭に思い浮かび、購入したというわけである。これにより色揚げや活性が期待できるとのことで、楽しみ。
店舗は今年の夏前に移転とのこと。Googleマップによると移転先は稲敷郡阿見町阿見621-1で、大体現店舗から10分ほどとのこと。現在はだいぶ店舗は完成しているようで、楽しみ。
忙しくて書くネタがほとんどなく久しぶりのぶろぐ更新。1属1種の大型魚、スギ科のスギ。
スギはコバンザメによく似ているが、コバンザメ科はコバンザメ科、スギ科は本種のみの1科1属1種。コバンザメ科もスギ科もアジ科に近縁とされている。スギは頭部背面の小判があれば、もうそのまんまコバンザメであろう。スギは以前大型の個体を入手していたのだが、今回はより小型の個体。なんとまな板の上に乗るようなサイズなのである。標準体長335mmというのは、これまで見てきたスギとしては最小の個体で、これだけ小型だと当然ながら比較的安価なものである。しかし燃料代の高騰で運賃もだいぶ上がってしまっている。はやく燃料安くしてくれー。政治家の皆さん、期待してますよ。
ちなみにこのスギは前回の沖縄産「ふかやーまじく」ことキビレアカレンコと同じ便で我が家に到着。沖縄ではスギを養殖していることで有名であるが、これは長崎県産のよう。ほぼ全世界の暖かい海に生息するスギであるが、日本においても日本海・太平洋・東シナ海に見られるが、瀬戸内海では少なく、オホーツク海には見られない。ただし日本海についてはロシアのピーター大帝湾からも記録があるという。
スギのお刺身。かつてスギは「くろかんぱち」なる名称で販売されていたが、現在はそう呼んではいけないことになっている。しかし実際に味はカンパチなど、ブリ属に近いように思う。ぎとぎとでない、程よい脂がのり美味である。今回は短いが、忙しいのでこの辺で。今回のスギもマルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。
今年に入って、初めて購入した魚がこちら。タイ科・キダイ属のキビレアカレンコ。本種は小笠原諸島、琉球列島、沖縄トラフ、台湾からフィリピンにかけて分布している種である。
椎名さんがキビレアカレンコを入手したのは今回が初めてではなく、通算3回目である。しかしながら過去2回は冷凍であったり、標本にしたりしていたので、なんだかんだいっても新鮮な個体をじっくり観察できるのは今回が初めてだったりする。
キビレアカレンコはその存在自体は古くから知られていたが、新種として記載されたのは2007年と比較的新しいものである。新種記載論文は国立科学博物館の「New Fishes of Japan : Part 1」と銘打たれ大々的に発表されたものであり、とくにハゼ科のなんやかんやの種が新種記載された。ほかタビラ類の新亜種記載であったり、リュウキュウヘビゲンゲなんかもこのNFOJ1によって記載されたものであった。これは2008年、2009年、2011年、2012年も続き、多量な魚の新種(ないし新属・新亜種)が記載された。何気にゴンズイやオキナワキチヌ(NFOJ2)、ワニゴチ(NFOJ3)なんかもこのシリーズで新種記載された。もちろん、膨大なお金を費やしたのであろうが、それでもフリーで論文をダウンロードできるのでありがたい限りである。
キダイ
さて、日本産のキダイ属は2種が知られている。もう1種はキダイで、これは青森県、山形県および福島県~九州南岸、種子島・屋久島までの日本海・太平洋・東シナ海沿岸に分布するが、琉球列島には生息していない。つまり九州以北のキダイと、琉球列島および小笠原諸島のキビレアカレンコという具合で、明確に分けられているようである。
キダイの背部。黄色斑が薄らではあるが存在する
キビレアカレンコの背部。黄色斑はない
この2種を見分けるのは(慣れれば)難しくない。キダイでは体側の背部に薄い黄色斑が出るが、キビレアカレンコではでない。また背鰭の色も異なり、キダイでは赤みを帯びた色彩で、キビレアカレンコは明らかに黄色っぽい。なお「日本産魚類検索第三版」においては、「背鰭と臀鰭では色が濃い」とあるが、この個体も臀鰭の色は特に濃いわけではなかった。実際に原記載論文の中にも「臀鰭の鰭条は基部に沿って一様に赤みがかかった黄色で、ほかは透明」とある。この個体もうっすら赤みがある程度である。
なお、従来は明らかに臀鰭の色が濃いキビレアカレンコを入手している。多くの図鑑でも掲載されているのはこのタイプである。しかしどうも大型個体ではこの臀鰭の色彩が薄れてしまう傾向にあるようである。全長30cmを超えるようなものは、そうなるのかもしれないが、30cmをこえるようなものでも、臀鰭が明らかに美しい発色を示すものがおり、必ずしも成魚は薄くなるというわけでもないようである。
キビレアカレンコの体を傾けて写真を撮影するとこのような模様が現れる。青白い縦線が非常に美しい。一方体側の後背部の模様は縦線ではなく、斑点のようになっている。ヒレコダイみたいな模様である。格好いい。
さて、キダイといえば煮つけや焼き物でも美味しい魚なのだが今回は大きいのが2匹も手に入ったのでお刺身に。かなり甘さを感じたもので、非常に美味しい。沖縄ではマダイは(ほぼ)分布しないので、赤い高級魚といえばハマダイ類なのであるが、キビレアカレンコも「まち漁」で多数獲れるとのこと。沖縄では「ふかやーまじく」(深場のタイ科魚類)と呼ばれる。このキビレアカレンコも「魚喰民族」マルホウ水産 石田拓治さんより。いつもありがとうございます&本年もよろしくお願いいたします。
さて、2025年も開けてからもう1週間たつが、筆者はまだお休みらしいお休みはもらえていない。基本的に朝に帰ってきて、そのまま夕方に仕事へ行くというパターン。ヒトデが足りないのだそうである。
今回は昨年末に撮影した魚の撮影。アジ科・イトヒラアジ属のテンジクアジである。テンジクアジは日本では古くからCarangoidesとは別物とされてきたが、Fishbaseなどにおいては2020年代までCarangoidesにふくめられてきたものである。なおよく知られているように、Carangoides属は現在世界で2種のみが知られている。それ以外にかつてCarangoides属に含められてきた魚は、様々な属に移動されたり、新しい独立した属に含められたりした。
テンジクアジは基本的に南方系のアジであるが、幼魚は本州から九州の太平洋岸、年によっては日本海岸にも姿を見せる。これらの地域で釣れることもあるのだが、釣りあげられてすぐのときは体が金色をしているのである。しかし死んでしまって長い時間がたった個体や、冷凍してしまったものは金色が消えてしまうようである。ただし写真の個体についても体の一部に金色が残っている。胸鰭周辺に残っているのがそれであり、この金色を体中にまとっている姿を想像してほしい。
同じイトヒラアジ属の魚で、属の標準和名になっているものにイトヒラアジというのがいる。イトヒラアジも南方の種で、秋に本州~九州の沿岸に出現し、釣れることがあるのもテンジクアジと同様である。個体数はイトヒラアジのほうが多いように思える。テンジクアジはこれまで何千、何万と魚に触って来た(と自負している)のだが、過去2回触ったのみである。以前は鹿児島県の伊東さんのところから届いたものであった。このイトヒラアジもまさにその個体である。
テンジクアジの背鰭基部
イトヒラアジの背鰭基底
テンジクアジとイトヒラアジの見分けについては、背鰭軟条部を見るのがベストであろう。イトヒラアジでは背鰭基底に黒色点が並んでいるが、テンジクアジは背鰭基底にはそのような斑点がない。また、軟条数についてもこの2種においては違いが見られ、イトヒラアジでは17~19であるが、テンジクアジでは20~22と、イトヒキアジよりも多いので見分けることができる。なお魚類検索においては側線直走部は曲走部より長いのがテンジクアジ、短いのがイトヒラアジという見分け方も紹介されているのだが、残念ながらこの形質はあまりあてにならないようである(成魚ではともかく、なのかもしれないが、少なくともこのくらいのサイズの幼魚では使えないよう)。なおイトヒラアジ属は日本に分布する2種のほかにCarangichthys humerosusというのも知られている。
テンジクアジは食用魚でもあるのだが、残念ながら今回の個体は食用にはできなかった。今回のテンジクアジは宮崎県の荒武さんを経由し、Wadaさんよりいただいたもの。おふたりにはいつも協力していただき、魚を集めている私はいつもお世話になっている。ありがとうございます。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくおねがいいたします。本年は我が家は喪中なので静かなお正月。なお私は仕事は今朝が仕事納め、今日もこれから真岡で仕事初めです。写真はムラサキウミヘビ。写真の使いまわしでごめん。というか、ウミヘビ科のストックが少なすぎる椎名さんである。
さて、もう早いもので年末である。椎名さんは2023年は南の島、四国、九州を1回ずつ楽しんだものの、2024年はそのようなブルジョワな生活にお別れを告げた。実際に今年は採集にはほとんど行けておらず、海に採集に行くことは結局いちどもなかった。その最大の要因といえるのは、仕事が忙しくなったためだ。本来10人くらいの人手が必要なところ、8人、いまや7人でまわしている状態でなかなかお休みがとれないのだ。
今年は採集にいくための時間がとれなかった鬱憤は主に書籍の購入に費やした。いくつか購入したい本があったが、今年購入した本はそのほとんどが中古であり、新しい本は「琵琶湖の魚類図鑑」と「日本の深海魚図鑑」の2冊だけである。琵琶湖の魚と日本の深海魚ではあきらかに後者のほうが分厚くなるべきであったのだが、実際には琵琶湖の魚類図鑑のほうがページ数が多く、なかみが充実している。日本の深海魚図鑑については、もっと分厚く、もっと値段が高くてもいいので、内容をもっと充実させるべきだったかもと思うと、ちょっともったいないところがあった(椎名さんの大好きなアシロ科などをもっと充実させてほしかったというところが本音)。古書では「太平洋有用有毒魚類図鑑」や「魚類図鑑 南日本の沿岸魚」などをメルカリで入手。さらにヤフオクではJordan and Snyderによる、日本のハゼ科魚類のレビューもゲット。21新種が記載されており、その中にはイソハゼやヤミハゼなど、おなじみの種も含まれている。
淡水魚採集では栃木県でギバチやタナゴが採集できたが、これらは初採集である。このほか福岡にも行ったが、イトモロコやヤマトシマドジョウ種群などが採集できたものの、行くたびに魚の数が少なくなっているのが気になるところである。
購入した魚については、今年も初めて食した魚が多かった。今年初めて食したのはカッポレ、チカ、モンダルマガレイ、ホンフサアンコウ、ハワイウツボ、ニジョウサバなど。そしてなんといってもフタイロハナスズキが印象に残った。赤色と黄色の色彩が美しく、食べるのがもったいなかったが、実際に食してみると極めて美味であった。やっぱり、赤と黄色の魚って美しいし、美味しいですよね!
今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
ハタ科の魚、とくにアカハタ属の魚は美味しい、そして大型になるものも多く、日本においては小型のアカハタから2mをこえるタマカイまでほとんどの種が食用になっている(ただし稀少なものやアカマダラハタなどのようなシガテラ毒魚はのぞく)。椎名さんもたくさんのアカハタ属を食してきたが、その中でもまだ入手していないものもいる。そのうちのひとつがこのツチホゼリである。
写真のツチホゼリは幼魚で普通ならリリースサイズのようであるが、弱っていたため我が家にやってきてくれた。体は灰色っぽく、全身に黒い斑点があるのが本種の特徴。成魚は地味なハタなのだが、幼魚のうちは鰭が明瞭に黄色で美しい。
インド洋に生息するものに近縁種の「キビレハタ」というのがいる。これはインド洋のアンダマンやチャゴス諸島に生息している個体をもとに「インド洋の魚類」という書籍のなかで和名がつけられたものである。この種は青と黄色でルリハタのごとく毒々しい色彩なのであるが、体長(BL)570mmでもこの色彩なのはすごい。インド洋産の個体をもとにつけられた和名であっても標準和名として扱われる種もいるのだが(ちなみにアンダマンアジやチャイロマルハタなどもインド洋産のものに和名がつけられている)、この「キビレハタ」という名前は現在は別のハタ科の魚の標準和名として使用されているために、このツチホゼリに似た種の標準和名としては使うことができない。
ツチホゼリは刺身で食したが残念ながら写真が行方不明に・・・。今回のツチホゼリはHN「魚のげぼ」さんより。ありがとうございます。ということで今年も色々な魚を食べたり、触ったりすることができた。ありがとうございました。なお、明日か明後日に今年のまとめ記事をアップする予定。
こんばんは。今日は12月28日。大家志津香さん&藤田奈那さんお誕生日おめでとうございます。完全に内田眞由美さん誕生日忘れててごめん。おめでとうございます。しかし昨日、ついに村山ゆいり(なぜか変換できない)さんが卒業発表。残念。
さて、きのうTwitter(意地でも今の名称は使わない)の淡水魚界隈がまたざわざわしている。サンフィッシュ科の特定外来生物であるオオクチバス・コクチバスである。河川や湖沼の生態系を大きく改変しかつ復元不可能なダメージを与えてきたことでお馴染みの両者と、放流行為を行うアングラーであるが、そんなアングラーが数多くの迷惑行為や破壊行為をしている。迷惑行為というのは、ゴミの問題であるとか、迷惑駐車などである。破壊行為としては違法な放流のことで、放流というのは決して迷惑行為ではなく、テロにも等しいものである。
一方、日本釣振興会というところが、環境省の人との会議で、意見書なるものを送ったとのことであるが、これがまた凄いのだ。以下に一部引用。鉤括弧がついているのが意見書を公開した釣具界という業界新聞を引用したもので、下が私のコメントである。
「(前略)現在でもオオクチバス等が釣り人の密放流によって増え続けているといわれています。しかし、全国でオオクチバスやブルーギルは10年近く前から大幅に減少しています。昨年、今年の2年間、当振興会主催で、全国300箇所近い河川、湖沼において、水質及び魚類生息調査を行いましたが、その結果でもオオクチバスを含む淡水魚が激減しています(後略)」
魚類の減少はオオクチバスやブルーギルのせいというよりは、淡水魚の生息環境悪化が最大の理由とされる。しかしながら、そのような場所では生存できる魚は種、数ともに少なく、丈夫というよりも頑丈なオオクチバスやブルーギルだけが残るというのが大きいだろう。そして広大な湖である琵琶湖にも大きなダメージを与えたオオクチバスやブルーギルがもし小さな池に入ったらどうなるか。すぐに在来の生物を食い尽くし、やがて増えすぎても、餌がなくなり消えてしまう。
後述の放流の他、最近は自然災害の増加により、増水の際に池が河川につながることもある。小さな池などについては、希少な生物がいようがいまいが、外来をしっかりモニタリングしておくべきだろう。
「ちなみに20数年前バスフィッシングが最盛のころ、全国で50冊以上あったバス釣り情報誌は現在では1冊しかありません」
これはここ10年くらいな出版不況の影響が強いのではなかろうか。筆者が知る限り、ネットが発達した結果従来の雑誌は深刻な危機にある。私の知る限りでもフィッシュマガジンや、コーラルフィッシュ、楽熱などは無くなったし、来年はF1速報も定期刊行を止めると聞いている。
「平成17年、特定外来生物が制定されて以来、当振興会は(略)移植禁止やルールの遵守を強く訴えています。ただ今回の検討会でオオクチバス等の密放流が横行していると報告されています。しかし当会では法律施行後19年が経過をしておりますが、自然界で他の場所へ移植放流した違反者は一人もいないと認識しております」
いや、私が知る限り一人はいる。ただ仲間がかわいいがために庇っているのかもしれないが…。
なお、日本釣振興会というのは、営利企業ではなく、公益財団法人である。公益財団法人というのは「自法人の利益の追求だけでなく、社会にさまざまな好影響を与えることを目的に活動する団体」である。下記リンク(インディード)も参照のこと。
たしかに自団体だけでなく、バス釣りやバス釣りに欠かせない竿やリールなどの販売もとにも好影響を与えるが、その狭い界隈だけに利益はもたらされるものの、社会には良い影響を与えていないように思える。琵琶湖の漁業者は長いこと外来魚との戦いを強いられてきたし、霞ヶ浦においてもワカサギなどの漁業に悪影響を及ぼしている理由のひとつがオオクチバスを含む外来魚による捕食圧とみても間違いないだろう。
さらにコクチバスについては、栃木県水産試験場がGoogleフォームを使用したウェブアンケートを行っている。コクチバスの駆除についてどう思うか、という話である。どうやら、アユを食い荒らすためアユの多い場所を集中的に駆除するという考えなのだそうだが、私はすべての河川のコクチバスを駆除してほしいと思っている。閉鎖的な(もちろん、自然水域につながっていないこと)釣り堀ならともかく、河川や湖で釣り場とそれ以外とをわけるゾーニングなんてできないので、全てのコクチバスを河川から排除しなければならない。
なお筆者はニジマス釣りどころかバス釣りも一切しないので、オオクチバスの写真は水族館の写真でごまかす。ごめん。
いまさらながら先月末に入手した魚のご紹介。ヨウジウオ目・ヤガラ科・ヤガラ属のアオヤガラ。
アオヤガラの吻
アオヤガラの見た目はアカヤガラに似ているが、体色はよりくらい色で、海や水族館などでは青く見えるのがその名前の由来であろうと思う。筆者は海で毎年のようにアオヤガラを見ているが、なぜか釣りで入手したことはなかった。アオヤガラという魚はこの写真のように吻が長く、餌を素早く食べることができないのであろうか、餌釣りではなかなか釣れないのだ。一方ルアー釣りなどでは頻繁に釣れるものであり、私がこれまで入手したアオヤガラというのは大体がルアーで釣れたものであった。
2012年のアオヤガラ
漁法としては定置網や先述のようなルアー釣りで得られるほか、延縄、時として底曳網漁業においても漁獲される。底曳網で漁獲されるヤガラ科、といえばアカヤガラであることが多いようだが、たまにアカヤガラが漁獲される深さにもおりてくるようだ。前回(2012年)には底曳網で漁獲されたアオヤガラを入手しているのだが、そのときは標本にしたため、食することはできなかった。今回は刺身で食し、美味であったのだが、残念ながら写真が行方不明になってしまったので、今回は料理の紹介はなし。今回のアオヤガラも魚喰民族 石田拓治さんより。ありがとうございました。
ことし8月に購入したヒメダテハゼは元気。ニシキテッポウエビと一緒に飼育しており、共生を水槽で再現。水槽はジェックス製の卓上OF水槽「グラステリアAGS」。しっかり蓋をできて便利であります。背部にヒーターなども設置可能。
ヒメダテハゼとニシキテッポウエビにクリスマスプレゼント。いつもよりも多くの餌を。ちなみにこの水槽にはこのコンビのほかにミナミイソハゼとゴテンカエルウオもおりますので、ゴテンカエルウオのために海藻70も与えている。カエルウオ類に海藻70を与える際には与える前に水でふやかしてから与えると食いがいい(ことが多い)。
もう12月も終わり。来週で今年もお終いです。今日は昨年我が家に来ていたが紹介できなかった魚。フグ目・フグ科・モヨウフグ属のカスミフグ。
カスミフグの尾鰭
カスミフグはモヨウフグの仲間で、全長30cmをこえるというが、ふつうはもっと小さいだろう。全身に特に目立つ縞模様や白い斑点はないので、ほかのモヨウフグ属の多くの種とはそれにより識別できる。色自体はグレーで地味なのだが、そこがいい。この写真からは全くわからないのだが、口元や眼は黄色くてそれなりにきれいである。尾鰭の色彩は地色が黄色っぽいが縁辺が黒いという色彩になる。これについては上記の写真でも確認できるだろう。また鰓孔の周りが妙に黒っぽいものも特徴である。
カスミフグの体表の小棘
カスミフグの体表には小棘がたくさん見られる。東南アジアなどの釣りウェブログではこのカスミフグを釣りあげた様子の写真が掲載されており、それはハリセンボンのごとく棘を立てていることが多い。なんか手触りがよさそうである。モヨウフグ属の種ではそのほとんどの種でこのような小さな棘を見ることができるようだ(ケショウフグなど見たこともない種もいるが、それはどうだっただろうか)。以前入手したモヨウフグも、小棘の1本1本が大きく、まるでハリセンボン科のように見えた。ただこの棘の有無は属レベルの階級の定義にならないらしく、トラフグ属やサバフグ属では種によって棘があったり、なかったりである。たとえばシロサバフグやクロサバフグ、ドクサバフグでは背面の小棘が明瞭だが、カナフグでは見られなかった。これについては今年の3月に記事にしたので見てほしい。
スジモヨウフグ
さて、モヨウフグ属といえば避けては通れぬ(?)交雑のお話。椎名さんの手元に戻ってきたHPエリートデスクを使ってGoogle先生を召喚し、カスミフグで画像検索を行うと、一部どうしても怪しいものが見られる。見た目はカスミフグなのだが、背中に薄い縦線が入っているというものである。これは何を意味しているのかだが、スジモヨウフグと交雑したものなのか、それともカスミフグにもこのような模様が現れることがあるのかということで定かではない。より詳しく調べてみたいところではある。ちなみにスジモヨウフグの分布域は西-中央太平洋 (ハワイ諸島を含む)に限られ、インド洋は極東部から採集されているのみ、カスミフグはインドー西太平洋(紅海を含む)に見られるもので若干の違いがある。国内においてはカスミフグ・スジモヨウフグともに「日本産魚類検索第三版」では琉球列島しか記されてはいないが、スジモヨウフグは和歌山県から採集されているし、カスミフグも本州~九州から(証拠標本の有無はともかく)得られている。ちなみにこの個体は宮崎県で採集された成魚の個体である。基本的には沿岸の浅場に生息するが、カスミフグなどは汽水域からもよく採集されるようである。筆者も汽水域でモヨウフグ属の幼魚(ワモンフグ、サザナミフグ、スジモヨウフグ)をよく採集したものである。またいつか採集して飼育したいものである。
ちなみに本種は有毒とされるが毒性の詳細については不明。釣れても食用とはせず、飼育してかわいがるか、逃がしてあげたい。この個体は宮崎県のWadaさんから標本用に譲り受けた魚である。いつもありがとうございます。
今日はおしごとなので簡単に。アシロ科のヨロイイタチウオの唐揚げ。ヨロイイタチウオは小さいのはあまり利用されておらず投棄されることもあるが、肉と骨の離れがよいため、唐揚げにして美味しく食べられる。鹿児島県産。田中 積さんいつもありがとうございます。
このぶろぐにひさしぶりに登場のアジ科・イトヒキアジ属のイトヒキアジ。背鰭の写真は2022年にも登場していたが、全身の写真はじつに2013年以来の登場である。また写真もすべて幼魚または若魚の個体であり、大型の成魚は初めての登場である。
イトヒキアジはインドー太平洋域はもちろん、カリフォルニアからペルーまでの東太平洋、大西洋沿岸にも分布している。暖海に生息する種ではあるが、日本近海では北海道をふくむほぼ全沿岸から記録があるらしく、また日本海側ではピーター大帝湾でも獲れているらしい。
2013年に撮影したイトヒキアジの幼魚
イトヒキアジの幼魚は背鰭・臀鰭の鰭条が長く伸びることで有名である。クラゲに擬態しているともいわれ、筆者も2013年に静岡県の港で2匹のイトヒキアジの幼魚が海表面を泳ぐ様子を見ている。長い鰭条は青く光っているように見えて美しいものであった。定置網などで漁獲されたものは、黒っぽく見えた。もう少し成長すると鰭条はやや短くなり、最後は1本のみが長くなった後、やがて短くなってしまうようだ。全長は80cmほど、最大で1mほどになることもあるらしい。
ウマヅラアジ属のウマヅラアジ
従来イトヒキアジ属は本種のほか、ウマヅラアジと、西アフリカに生息するアレクサンドリアポンパノの計3種が知られるとされた。しかしながら近年のアジ科の系統解析により、ウマヅラアジとアレクサンドリアポンパノは別属Scyrisとされた。この属はキュヴィエがつくったものだがやがて使われなくなり、最近になって復活した。ウマヅラアジは東アフリカから仏領ポリネシア、インドー中央太平洋、アレクサンドリアポンパノはその名が示すようにエジプトの地中海沿岸で漁獲され、ほかに西アフリカにも分布する。しかし西大西洋や東太平洋など、ウマヅラアジ属が分布しない海域もあり、そのような地域ではヒラマナアジ属Seleneに置き換わるようだ。この属は大西洋と東太平洋の産であり、日本人にはあまりなじみがないが、観賞魚の業界で「ルックダウン」と呼ばれるものにはこの属のものが何種か含まれているようだ。
ウマヅラアジの上顎を前から見たところ
イトヒキアジの上顎を前から見たところ
イトヒキアジとウマヅラアジの違いとしては頭部の形が違う。イトヒキアジでは眼前縁で突出するが、ウマヅラアジではわずかに凹む。しかし上唇の形状でも見分けることが可能である。ウマヅラアジよりも、イトヒキアジの上唇は丸みをおびていてあまり高く突出しない。一方ウマヅラアジでは高く突出した形状になる。新大陸周辺の沿岸にすむものなどではもっと高く突出するものもいるらしい。
イトヒキアジの刺身
イトヒキアジもほかのアジ科の魚と同様に食用魚とされている。刺身は脂が非常によくのっている。脂がよくのり美味しい!と書きたかったが、たしかに美味ではあるのだが、脂ののりが強すぎて一度に多くは食べることができなかった。身は白くて美しいのに・・・。難しいところ。
イトヒキアジのフライ
いっぽうこちらはフライ。身が多くて脂も気にならない。ふわふわで美味しく、家族には大好評であった。このほか焼き物や煮物などで食しても美味しいのではないかと思われる。今回のイトヒキアジは長崎県「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。