魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

マホロバハタ

2025年03月13日 19時17分48秒 | 魚紹介

つい先日我が家にやって来た沖縄の魚。ハタ科・アカハタ属のマホロバハタ。昔はEpinephelusの標準和名はマハタ属とされたが、マハタは別属Hyporthodusに含められたため、Hyporthodus属の標準和名がマハタ属。一方Epinephelusの標準和名はアカハタ属とされたのだった。このマホロバハタは2021年に新種記載されたハタである。ホウセキハタやオオモンハタなどと誤同定されていたものであるが、そのへんが2021年に分類学的再検討が行われ、その結果本種は新種記載された。一方ホウセキハタについてはEpinephelus chlorostigmaとされてきたが、この種はインド洋にのみ生息する種とされ、ホウセキハタの学名はEpinephelus japonicusとされた。

マホロバハタは日本においてはおもに琉球列島に生息しているが、九州南部からの記録もあり、ホウセキハタとは分布だけでは識別することはできない。結構この2種は同定が難しいのである。しかし慣れてしまえばそれほど見分けに難儀するような種でもないだろう。

マホロバハタの腹部

ホウセキハタの腹部

この2種の見分けでもっともわかりやすいのは腹部の斑点の有無であろう。マホロバハタでは腹部にも瞳より細かい斑点が多数入るが、ホウセキハタでは腹部にはそのような斑点がほとんどないので見分けることができる。

マホロバハタの胸鰭

ホウセキハタの胸鰭

この2種については胸鰭の斑紋によっても識別することができる。マホロバハタの胸鰭には細かい明瞭な斑点が多数みられるが、ホウセキハタの胸鰭は赤みを帯びた色彩で、胸鰭に斑紋はないかあっても不明瞭であった。また胸鰭基部にも斑紋は少ないようである。この胸鰭の斑点の有無というのは、体に斑点があるハタ科魚類を見分けるのに重要な形質となりうるので、しっかりとチェックしてみてほしい。

さて、マホロバハタの同定&観察を行ったあとは食する。

マホロバハタのおさしみ。手前(腹部側)は普通に皮をひいた刺身。奥(背部側)は皮をひかず鱗だけ落としたあと、皮をあぶった刺身。こうすると皮下にうまみがあるハタ科魚類の特徴を生かすことができる。今回のマホロバハタは長崎 マルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。ちなみに最初私はオオモンハタと誤同定をしていた。そんなオオモンハタとの見分けについてはまた別媒体で書こうと思っている。

なお例の「魚釣り」という中国人による盗用コンテンツオンリーのサイトであったが、これについては「美渚ちゃんの釣り日和」という名称にかわり、ページレビューもいつのまにか消滅しているため中国人がやっているとなかなか分からなくなってしまった。しかしながらやっていることは変わらない。さらに調査した結果、「WEB魚図鑑の部屋」においてもこのページについて警告を出していたことが判明した。ちゃんと、そういう対策はしていたようで少し安心。

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アカガレイ

2025年03月07日 11時36分24秒 | 魚紹介

最近入手した魚。つくば市内のディスカウントストア「トライアル」で購入したカレイ科の魚。実はつくばのトライアルには魚屋さんがテナントに入っていて、ディスカウントストアとは思えないほど魚のそろえがよい。過去に「マツカワ」や「アサバガレイ」などを購入したのもここであるが、何気にアサバガレイを入手できたのはここだけだったりする・・・。

今回のカレイはアカガレイ属のアカガレイである。アカガレイは北日本太平洋岸や山陰以北の日本海岸に分布する種で、おもにカレイ刺網や底曳網漁業などで漁獲される普通種である。椎名さんもアカガレイを食べたのはもちろん今回が初めてというわけではなく、過去2回ほどネタにしている(それでも「魚のぶろぐ」初出は2016年だったりするのだが)。なおこの日のトライアルにはマツカワとババガレイも並んでいたのだが、いずれも安易に購入できるお値段ではなく、今回はアカガレイをチョイス。しかしながらそれでも安価なわけではなく、500円硬貨1枚では買えないのである。

前回のアカガレイは北海道産であったが、今回のアカガレイは福井県産である。先述のようにアカガレイはけっこう南、山陰地方まで見られ、しばしば漁獲されるのである。

アカガレイの無眼側

アカガレイの名前の由来は無眼側の色彩である。無眼側は白いとされるが、赤みをおびるところがある。これにより全体的に白っぽいソウハチとは容易に見分けられるだろうが(ほか眼の位置や胸鰭軟条が分岐するか不分岐かでも見分けられる)、同じ属の魚であるウマガレイやドロガレイとは歯の形や体高、頭部有眼側の鱗の分布などで見分けるしかないだろう。

アカガレイは重要な食用魚である。煮つけ、唐揚げ、干して焼くと美味しいが、新鮮なものは刺身が美味しい、とされている。ということでアカガレイの刺身を楽しみたかったのだが残念ながら今回のは「子持ち」ということで母のリクエストで煮つけとなったのである。アカガレイの身はやわらかく、卵はぷりぷりしていていずれも美味しい。尼岡邦夫氏の「日本産ヒラメ・カレイ類」という本では「塩漬けされた卵巣は珍味」との記述がある。食べてみたいが、プリン体は大丈夫だろうか。気になる。

 

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「魚釣り」からブロックされる

2025年03月05日 22時03分29秒 | 魚類とインターネット

お仕事が忙しい。今日はなんとかお休みをもらえたが、毎週毎週某所にいくのは疲れた。写真は我が家の淡水魚水槽のひとつ。アクアシステムのオールガラス水槽で、中にアリアケギバチがいる。残念ながら写真では尾鰭しか映っていない。

さて、悲しいお知らせがある。これまで2回にわたって問題をレポートしてきたFacebookの「魚釣り」なるページであるが、本日、ついに見ることができなくなった。理由はこの「魚釣り」の運営者が自分らの過ちに気が付いたのか、あるいはFacebookを運営するMeta社 CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏のもとに抗議が殺到し、ザッカーバーグ氏が削除したというわけでは決してなく、「魚釣り」運営者からブロックされただけであった。「魚釣り」にボロサクラダイなどがアップされみなさん驚いていたが、もとをたどれば「WEB魚図鑑の部屋」というFacebookグループからの無断転載されたものなので驚くべきことでもなんでもないのである。

この「魚釣り」、いくつかの投稿にはリンクが貼られているが、そのリンク先では怪しい動画サイトにつながることがある。これは当然ながらどこかのYoutubeチャンネルからパクってきたものであるが、この「魚釣り」が悪質なのは、そのパクってきた動画に新たに広告をつけている点で、筆者が確認しただけでも三井住友銀行とか、日本の大手企業の広告がついてしまっているが、この広告費用は本来オリジナルのコンテンツ作成者に支払われるべきであるし、その転載元を明かす義務もある。しかしながらこの「魚釣り」はそんなことを一切していない。

中国にはこの動画サイトと同じ系統のサイトが数1000もあり、それは(おそらく)ひとつの広告代理店により運用されている。そのサイトによれば自らを「世界最大の海外中国人セルフメディア事業者」と謳っているが、やはりそこは中国であり、この国の事情が事情なので、オリジナルコンテンツに乏しい。そのためYoutubeや、同じように中国の「Tiktok」などから動画をもってくるしかないという現状がある。この広告代理店の作る動画サイトへのリンクを掲載しているFacebookのページは10とか100とかそんな数字ではなく、もう数100規模で存在している。日本語のみでこれであり、おそらく海外のも含めると1000以上あるのではないだろうか。

結局ブロックされたということは、椎名さんの存在は「魚釣り」にとってはやばい存在であるという認識がなされており、「魚釣り」に都合が悪いからブロックされたのではないかと私は考えている。この「魚のぶろぐ」は日本政府にもどこの国の政府とも、どこの機関とも関係がない単なるマイナーな、場末ぶろぐであるが、そういうところまで監視の目が届いてしまったということになる。というわけで、今後はこのぶろぐでは「魚釣り」の問題をアップするのは厳しくなった。ただ同ページの監視についてはまた別のアカウントで監視していくつもりではある。

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バラチゴダラ

2025年03月01日 16時32分01秒 | 魚紹介

3月に入りました。

相変わらず仕事が忙しく、どうしようもない。さて、今回の魚はタラ目・チゴダラ科・チゴダラ属のバラチゴダラ。確実に同定できるものとしては、私が触った2種目のチゴダラ属の魚である(エゾイソアイナメはチゴダラのシノニムとして消えてしまった)。チゴダラ属の中でも比較的新しく1989年に新種記載されたもので、学名をPhysiculus chigodaranusというが、種小名はチゴダラにちなむものなのだろう。この種は1989年にチゴダラ属や、ナガチゴダラ属の分類学的再検討の中で新種として記載されたものの1種だというが、その文献を見ることは叶っていない。この属は40種ほどが知られチゴダラ属の中で最も多くの種をふくむ属といえるだろう。

第2背鰭と臀鰭、胸鰭、尾鰭が赤みを帯びている。このことから「バラチゴダラ」という標準和名になるのであろうか。底曳網で漁獲されたものであるため、残念ながら鱗はほとんど脱落してしまっていた。なお比Fishbaseにおけるコモンネームで「Rosy cod」なる名前のチゴダラ属魚類は、学名でPhysiculus roseus Alcock, 1891と呼ばれるもので、ベンガル湾からオーストラリア、インドネシア、ニューカレドニア、台湾などに分布する。本種は鹿児島県のものをタイプ標本とし、ほか土佐湾や三重県尾鷲でも記録されている。またFishbaseによれば台湾からの記録もあるという。「日本産魚類検索」によれば生息水深は不明ではあるが、ヨロイイタチウオやキュウシュウヒゲ、オオメハタ属が混獲されていたことから、200~250mくらいではないかと思われる。おそらく鹿児島県内で盛んにおこなわれている、タカエビ漁の副産物であろう。

第1背鰭の形状は日本産チゴダラ属と違って、糸状に伸びている。以前このぶろぐでも紹介したソコクロダラなども背鰭が糸状に伸長しているが、ソコクロダラは臀鰭起部が背鰭起部の直下よりもだいぶ後方にあるため見分けられるようである。本種などチゴダラ属は原則、臀鰭起部は背鰭起部の直下にある。

腹面発光器は三角形で、左右の腹鰭基部を結ぶ線に達するとされるが、この個体は微妙なところである(写真も暗くなってしまった)。ただし、チゴダラのものとは違う独特な形状のものであることから、バラチゴダラと同定してもよいのだろう。今回バラチゴダラは2匹入手。鹿児島魚市 丸万 田中水産の田中 積さんに送っていただいた。いつもありがとうございます。なおバラチゴダラの食レポについては、また今度。

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こん活開始?

2025年02月25日 14時45分59秒 | 昆虫・クモ

相変わらず色々と忙しい。ヒトデの問題は少し解消されてはきたが、それでもまだまだ足りない。さて、今日は庭を歩いているとこんなのが。ガの仲間のマエアカスカシノメイガかもしれない。ガの仲間には冬季に活動するフユシャクなどもいるが、この種はフユシャクの仲間ではない。そういえばフユシャクなんて見たことないんだよなあ・・・。ということでこん活、今年もスタートなのかしらん。

こちらはカマキリ科のなんかの卵。チョウセンカマキリか、ハラビロカマキリとかその辺だと思うのだが、みなさんのご意見もコメントいただけたらとうれしい。ただし「魚のぶろぐなのに昆虫の記事ってどうなの」というご意見は一切無視しますのであらかじめご了承願います。

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「魚釣り」トラブルについて

2025年02月12日 21時37分22秒 | 魚類とインターネット

多忙につき、ぶろぐ更新が疎かになっている。申し訳ない。

さて、この間話題にした中つ国のFacebookページ「魚釣り」であるが、その画像の出所が不明なもののうち、いくつかの出所が判明した。某魚図鑑の部屋、というFacebookグループからであるというのだ。しかし筆者は残念ながらこの事実を確認するすべを持っていない。実は残念なことに、このグループや、その図鑑関係者から関連サイトについて、ブロックされているのだ。これまではChromeのシークレットモードを使えばアクセスすることはできたが、現在はそのやり方は封じられてしまった。
 
あのグループについては2021年ごろにはまだブロックはされていなかった。2021年の暮れの某日そのグループを見たら、中つ国の系の人がいっぱい写真をアップしていた。そして、管理人某氏はそれを消そうとしなかった。それが現状につながっているのではないかと、私は睨んでいる。その後、私はブロックされた。ブロックすべき相手を間違えているような気がするのだが。
 
カネがない、リソースがない、スパムではないと思ってた。しかし、そんなことはもはや言い訳にならない。いまや中つ国の人のような名前の人物が一人、ページやグループ関係者に入っていただけで疑わねばならない時代が来てしまった。
 
世界の人と仲良く、とか、人物が特定の国籍を持っているというだけで差別してはいけない、というのは正しいことであるし、ごもっともである。しかしながら悲しいことに現状、中つ国という国の人を信用できなくなったのもまた事実である。なお例によって、写真は本文とは関係がない。写真の魚はサビハゼといい、Sagamiaなる属学名で相模湾にいっぱいいるというのだが、私はいまだに見たことがない。というか市川美織ちゃん、31歳おめでとうございます。2016年の年末の「夢の紅白選抜」で松井珠理奈を抑えて10位になったのはもはや伝説である。
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AI動物動画

2025年02月03日 16時06分38秒 | 魚類とインターネット

早いものでもう2月。職場は相変わらず大忙し。やはりヒトデが足りないのだそうで。

さて、最近Facebookを見ていると、妙に目につくのが、AI技術を使った生き物の動画。Facebookのリールムービーである。

主に北極海の生物、例えばホッキョクグマやアザラシ、シロイルカなどが怪我をして、治療を受けている動画だとか、クジラがフジツボやら貝やらに覆われて、それをはがして助けようとしている動画である。こういう「動物感動ポルノ」というのはもともと世界中で見られたものであるが、従来から、これらの中には「ヤラセ」の動画も数多く含まれているという批判もなされている。ようは、動物をだしに金儲けをしているということであり、みながシェアする感動動画の正体は動物虐待で小銭を稼ぐyoutuberやらインフルエンサーと同じようなレベルの人間たちであった。

注目を集めるために「偽の動物救出動画」を作成することが世界中のSNSで流行中 (Gigazine)

https://gigazine.net/news/20241004-fake-animal-rescues-posting/

 

一方で今Facebookで流行っているのはAIにより製作された動画である。これならば動物が傷つくことがないからいいんじゃない、という意見もあるのだが、私としてはこれは逆に動物たちのリアルさがなくなり、また別の意味で危険だと思うのであるこのような動画をみて感動している人たちは、これがリアルな世界だと思い込んでしまうかもしれないし、逆にこれらは良いことと思い込み、実践してしまうかもしれない。

もちろん、体に網が引っかかってしまったシロイルカを助けるのは良いことだと思うし、海洋をただようごみは生物多様性の観点からも、食品衛生上も問題になるといわれ久しいが、クジラの体からフジツボを剥がしたりするのは良いことと思えないし、ましてやホッキョクグマにフジツボが寄生するとも思えない。もし万が一、いや億が一にもそのようなことがあり、そんなホッキョクグマを助けようとすればその人はホッキョクグマのご飯になる可能性もある。野生動物というのは、種、としては水族館や動物園の動物と同じであっても、実際には違う動物なのである。

最近は日本の海水浴場においても「人にかみつくイルカ」というのがいて、それにある人、まあ「動物搾取反対」を訴えるゔぃーがにずむの実践者であるが、その人はこのイルカの例を持ち出し、「動物園や水族館は動物との距離感をおかしくさせる」と述べた。正しいことだと思うが、私はそれにAIの存在をつけ加えたい。野生動物との距離感は大事である。そうでないと必ず人も動物も不幸になる。AIは野生動物に対して大きな脅威になりつつある。Facebookには、本物と偽物、区別がしにくいようなものもすでに出現している。早いうちになんとかしなければ

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CVE+

2025年01月30日 23時30分08秒 | 魚介類飼育(海水)

ご無沙汰です。久しぶりにお休みということで、今日は消耗品の調達。「コーラルタウン」さんに豪「コーラルエッセンシャル」の添加剤が入っていたので購入。同社添加剤はいつか使ってみたいと思っていたのですが高価でなかなか手がでず。しかし今回は手が届きそうなお値段でしたので、いつ使うんだ、今でしょ!と10年前に流行ったネタが頭に思い浮かび、購入したというわけである。これにより色揚げや活性が期待できるとのことで、楽しみ。

店舗は今年の夏前に移転とのこと。Googleマップによると移転先は稲敷郡阿見町阿見621-1で、大体現店舗から10分ほどとのこと。現在はだいぶ店舗は完成しているようで、楽しみ。

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スギ

2025年01月21日 18時40分39秒 | 魚紹介

忙しくて書くネタがほとんどなく久しぶりのぶろぐ更新。1属1種の大型魚、スギ科のスギ。

スギはコバンザメによく似ているが、コバンザメ科はコバンザメ科、スギ科は本種のみの1科1属1種。コバンザメ科もスギ科もアジ科に近縁とされている。スギは頭部背面の小判があれば、もうそのまんまコバンザメであろう。スギは以前大型の個体を入手していたのだが、今回はより小型の個体。なんとまな板の上に乗るようなサイズなのである。標準体長335mmというのは、これまで見てきたスギとしては最小の個体で、これだけ小型だと当然ながら比較的安価なものである。しかし燃料代の高騰で運賃もだいぶ上がってしまっている。はやく燃料安くしてくれー。政治家の皆さん、期待してますよ。

ちなみにこのスギは前回の沖縄産「ふかやーまじく」ことキビレアカレンコと同じ便で我が家に到着。沖縄ではスギを養殖していることで有名であるが、これは長崎県産のよう。ほぼ全世界の暖かい海に生息するスギであるが、日本においても日本海・太平洋・東シナ海に見られるが、瀬戸内海では少なく、オホーツク海には見られない。ただし日本海についてはロシアのピーター大帝湾からも記録があるという。

スギのお刺身。かつてスギは「くろかんぱち」なる名称で販売されていたが、現在はそう呼んではいけないことになっている。しかし実際に味はカンパチなど、ブリ属に近いように思う。ぎとぎとでない、程よい脂がのり美味である。今回は短いが、忙しいのでこの辺で。今回のスギもマルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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キビレアカレンコ

2025年01月12日 15時41分51秒 | 魚紹介

今年に入って、初めて購入した魚がこちら。タイ科・キダイ属のキビレアカレンコ。本種は小笠原諸島、琉球列島、沖縄トラフ、台湾からフィリピンにかけて分布している種である。

椎名さんがキビレアカレンコを入手したのは今回が初めてではなく、通算3回目である。しかしながら過去2回は冷凍であったり、標本にしたりしていたので、なんだかんだいっても新鮮な個体をじっくり観察できるのは今回が初めてだったりする。

キビレアカレンコはその存在自体は古くから知られていたが、新種として記載されたのは2007年と比較的新しいものである。新種記載論文は国立科学博物館の「New Fishes of Japan : Part 1」と銘打たれ大々的に発表されたものであり、とくにハゼ科のなんやかんやの種が新種記載された。ほかタビラ類の新亜種記載であったり、リュウキュウヘビゲンゲなんかもこのNFOJ1によって記載されたものであった。これは2008年、2009年、2011年、2012年も続き、多量な魚の新種(ないし新属・新亜種)が記載された。何気にゴンズイやオキナワキチヌ(NFOJ2)、ワニゴチ(NFOJ3)なんかもこのシリーズで新種記載された。もちろん、膨大なお金を費やしたのであろうが、それでもフリーで論文をダウンロードできるのでありがたい限りである。

キダイ

さて、日本産のキダイ属は2種が知られている。もう1種はキダイで、これは青森県、山形県および福島県~九州南岸、種子島・屋久島までの日本海・太平洋・東シナ海沿岸に分布するが、琉球列島には生息していない。つまり九州以北のキダイと、琉球列島および小笠原諸島のキビレアカレンコという具合で、明確に分けられているようである。

キダイの背部。黄色斑が薄らではあるが存在する

キビレアカレンコの背部。黄色斑はない

この2種を見分けるのは(慣れれば)難しくない。キダイでは体側の背部に薄い黄色斑が出るが、キビレアカレンコではでない。また背鰭の色も異なり、キダイでは赤みを帯びた色彩で、キビレアカレンコは明らかに黄色っぽい。なお「日本産魚類検索第三版」においては、「背鰭と臀鰭では色が濃い」とあるが、この個体も臀鰭の色は特に濃いわけではなかった。実際に原記載論文の中にも「臀鰭の鰭条は基部に沿って一様に赤みがかかった黄色で、ほかは透明」とある。この個体もうっすら赤みがある程度である。

なお、従来は明らかに臀鰭の色が濃いキビレアカレンコを入手している。多くの図鑑でも掲載されているのはこのタイプである。しかしどうも大型個体ではこの臀鰭の色彩が薄れてしまう傾向にあるようである。全長30cmを超えるようなものは、そうなるのかもしれないが、30cmをこえるようなものでも、臀鰭が明らかに美しい発色を示すものがおり、必ずしも成魚は薄くなるというわけでもないようである。

キビレアカレンコの体を傾けて写真を撮影するとこのような模様が現れる。青白い縦線が非常に美しい。一方体側の後背部の模様は縦線ではなく、斑点のようになっている。ヒレコダイみたいな模様である。格好いい。

さて、キダイといえば煮つけや焼き物でも美味しい魚なのだが今回は大きいのが2匹も手に入ったのでお刺身に。かなり甘さを感じたもので、非常に美味しい。沖縄ではマダイは(ほぼ)分布しないので、赤い高級魚といえばハマダイ類なのであるが、キビレアカレンコも「まち漁」で多数獲れるとのこと。沖縄では「ふかやーまじく」(深場のタイ科魚類)と呼ばれる。このキビレアカレンコも「魚喰民族」マルホウ水産 石田拓治さんより。いつもありがとうございます&本年もよろしくお願いいたします。

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テンジクアジ

2025年01月07日 13時59分34秒 | 魚紹介

さて、2025年も開けてからもう1週間たつが、筆者はまだお休みらしいお休みはもらえていない。基本的に朝に帰ってきて、そのまま夕方に仕事へ行くというパターン。ヒトデが足りないのだそうである。

今回は昨年末に撮影した魚の撮影。アジ科・イトヒラアジ属のテンジクアジである。テンジクアジは日本では古くからCarangoidesとは別物とされてきたが、Fishbaseなどにおいては2020年代までCarangoidesにふくめられてきたものである。なおよく知られているように、Carangoides属は現在世界で2種のみが知られている。それ以外にかつてCarangoides属に含められてきた魚は、様々な属に移動されたり、新しい独立した属に含められたりした。

テンジクアジは基本的に南方系のアジであるが、幼魚は本州から九州の太平洋岸、年によっては日本海岸にも姿を見せる。これらの地域で釣れることもあるのだが、釣りあげられてすぐのときは体が金色をしているのである。しかし死んでしまって長い時間がたった個体や、冷凍してしまったものは金色が消えてしまうようである。ただし写真の個体についても体の一部に金色が残っている。胸鰭周辺に残っているのがそれであり、この金色を体中にまとっている姿を想像してほしい。

同じイトヒラアジ属の魚で、属の標準和名になっているものにイトヒラアジというのがいる。イトヒラアジも南方の種で、秋に本州~九州の沿岸に出現し、釣れることがあるのもテンジクアジと同様である。個体数はイトヒラアジのほうが多いように思える。テンジクアジはこれまで何千、何万と魚に触って来た(と自負している)のだが、過去2回触ったのみである。以前は鹿児島県の伊東さんのところから届いたものであった。このイトヒラアジもまさにその個体である。

 

テンジクアジの背鰭基部

 

イトヒラアジの背鰭基底

テンジクアジとイトヒラアジの見分けについては、背鰭軟条部を見るのがベストであろう。イトヒラアジでは背鰭基底に黒色点が並んでいるが、テンジクアジは背鰭基底にはそのような斑点がない。また、軟条数についてもこの2種においては違いが見られ、イトヒラアジでは17~19であるが、テンジクアジでは20~22と、イトヒキアジよりも多いので見分けることができる。なお魚類検索においては側線直走部は曲走部より長いのがテンジクアジ、短いのがイトヒラアジという見分け方も紹介されているのだが、残念ながらこの形質はあまりあてにならないようである(成魚ではともかく、なのかもしれないが、少なくともこのくらいのサイズの幼魚では使えないよう)。なおイトヒラアジ属は日本に分布する2種のほかにCarangichthys humerosusというのも知られている。

テンジクアジは食用魚でもあるのだが、残念ながら今回の個体は食用にはできなかった。今回のテンジクアジは宮崎県の荒武さんを経由し、Wadaさんよりいただいたもの。おふたりにはいつも協力していただき、魚を集めている私はいつもお世話になっている。ありがとうございます。

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2025年元旦

2025年01月01日 15時57分40秒 | 未分類

あけましておめでとうございます。本年もよろしくおねがいいたします。本年は我が家は喪中なので静かなお正月。なお私は仕事は今朝が仕事納め、今日もこれから真岡で仕事初めです。写真はムラサキウミヘビ。写真の使いまわしでごめん。というか、ウミヘビ科のストックが少なすぎる椎名さんである。

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2024年を振り返る

2024年12月31日 15時19分17秒 | シーズン総括

さて、もう早いもので年末である。椎名さんは2023年は南の島、四国、九州を1回ずつ楽しんだものの、2024年はそのようなブルジョワな生活にお別れを告げた。実際に今年は採集にはほとんど行けておらず、海に採集に行くことは結局いちどもなかった。その最大の要因といえるのは、仕事が忙しくなったためだ。本来10人くらいの人手が必要なところ、8人、いまや7人でまわしている状態でなかなかお休みがとれないのだ。

今年は採集にいくための時間がとれなかった鬱憤は主に書籍の購入に費やした。いくつか購入したい本があったが、今年購入した本はそのほとんどが中古であり、新しい本は「琵琶湖の魚類図鑑」と「日本の深海魚図鑑」の2冊だけである。琵琶湖の魚と日本の深海魚ではあきらかに後者のほうが分厚くなるべきであったのだが、実際には琵琶湖の魚類図鑑のほうがページ数が多く、なかみが充実している。日本の深海魚図鑑については、もっと分厚く、もっと値段が高くてもいいので、内容をもっと充実させるべきだったかもと思うと、ちょっともったいないところがあった(椎名さんの大好きなアシロ科などをもっと充実させてほしかったというところが本音)。古書では「太平洋有用有毒魚類図鑑」や「魚類図鑑 南日本の沿岸魚」などをメルカリで入手。さらにヤフオクではJordan and Snyderによる、日本のハゼ科魚類のレビューもゲット。21新種が記載されており、その中にはイソハゼやヤミハゼなど、おなじみの種も含まれている。

淡水魚採集では栃木県でギバチやタナゴが採集できたが、これらは初採集である。このほか福岡にも行ったが、イトモロコやヤマトシマドジョウ種群などが採集できたものの、行くたびに魚の数が少なくなっているのが気になるところである。

購入した魚については、今年も初めて食した魚が多かった。今年初めて食したのはカッポレ、チカ、モンダルマガレイ、ホンフサアンコウ、ハワイウツボ、ニジョウサバなど。そしてなんといってもフタイロハナスズキが印象に残った。赤色と黄色の色彩が美しく、食べるのがもったいなかったが、実際に食してみると極めて美味であった。やっぱり、赤と黄色の魚って美しいし、美味しいですよね!

今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

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ツチホゼリ

2024年12月29日 23時09分24秒 | 魚紹介

ハタ科の魚、とくにアカハタ属の魚は美味しい、そして大型になるものも多く、日本においては小型のアカハタから2mをこえるタマカイまでほとんどの種が食用になっている(ただし稀少なものやアカマダラハタなどのようなシガテラ毒魚はのぞく)。椎名さんもたくさんのアカハタ属を食してきたが、その中でもまだ入手していないものもいる。そのうちのひとつがこのツチホゼリである。

写真のツチホゼリは幼魚で普通ならリリースサイズのようであるが、弱っていたため我が家にやってきてくれた。体は灰色っぽく、全身に黒い斑点があるのが本種の特徴。成魚は地味なハタなのだが、幼魚のうちは鰭が明瞭に黄色で美しい。

インド洋に生息するものに近縁種の「キビレハタ」というのがいる。これはインド洋のアンダマンやチャゴス諸島に生息している個体をもとに「インド洋の魚類」という書籍のなかで和名がつけられたものである。この種は青と黄色でルリハタのごとく毒々しい色彩なのであるが、体長(BL)570mmでもこの色彩なのはすごい。インド洋産の個体をもとにつけられた和名であっても標準和名として扱われる種もいるのだが(ちなみにアンダマンアジやチャイロマルハタなどもインド洋産のものに和名がつけられている)、この「キビレハタ」という名前は現在は別のハタ科の魚の標準和名として使用されているために、このツチホゼリに似た種の標準和名としては使うことができない。

ツチホゼリは刺身で食したが残念ながら写真が行方不明に・・・。今回のツチホゼリはHN「魚のげぼ」さんより。ありがとうございます。ということで今年も色々な魚を食べたり、触ったりすることができた。ありがとうございました。なお、明日か明後日に今年のまとめ記事をアップする予定。

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なんかまたバス業界がざわざわしてきたので

2024年12月28日 16時42分48秒 | 環境問題

こんばんは。今日は12月28日。大家志津香さん&藤田奈那さんお誕生日おめでとうございます。完全に内田眞由美さん誕生日忘れててごめん。おめでとうございます。しかし昨日、ついに村山ゆいり(なぜか変換できない)さんが卒業発表。残念。

さて、きのうTwitter(意地でも今の名称は使わない)の淡水魚界隈がまたざわざわしている。サンフィッシュ科の特定外来生物であるオオクチバス・コクチバスである。河川や湖沼の生態系を大きく改変しかつ復元不可能なダメージを与えてきたことでお馴染みの両者と、放流行為を行うアングラーであるが、そんなアングラーが数多くの迷惑行為や破壊行為をしている。迷惑行為というのは、ゴミの問題であるとか、迷惑駐車などである。破壊行為としては違法な放流のことで、放流というのは決して迷惑行為ではなく、テロにも等しいものである。

一方、日本釣振興会というところが、環境省の人との会議で、意見書なるものを送ったとのことであるが、これがまた凄いのだ。以下に一部引用。鉤括弧がついているのが意見書を公開した釣具界という業界新聞を引用したもので、下が私のコメントである。

(前略)現在でもオオクチバス等が釣り人の密放流によって増え続けているといわれています。しかし、全国でオオクチバスやブルーギルは10年近く前から大幅に減少しています。昨年、今年の2年間、当振興会主催で、全国300箇所近い河川、湖沼において、水質及び魚類生息調査を行いましたが、その結果でもオオクチバスを含む淡水魚が激減しています(後略)

魚類の減少はオオクチバスやブルーギルのせいというよりは、淡水魚の生息環境悪化が最大の理由とされる。しかしながら、そのような場所では生存できる魚は種、数ともに少なく、丈夫というよりも頑丈なオオクチバスやブルーギルだけが残るというのが大きいだろう。そして広大な湖である琵琶湖にも大きなダメージを与えたオオクチバスやブルーギルがもし小さな池に入ったらどうなるか。すぐに在来の生物を食い尽くし、やがて増えすぎても、餌がなくなり消えてしまう。

後述の放流の他、最近は自然災害の増加により、増水の際に池が河川につながることもある。小さな池などについては、希少な生物がいようがいまいが、外来をしっかりモニタリングしておくべきだろう。

「ちなみに20数年前バスフィッシングが最盛のころ、全国で50冊以上あったバス釣り情報誌は現在では1冊しかありません」

これはここ10年くらいな出版不況の影響が強いのではなかろうか。筆者が知る限り、ネットが発達した結果従来の雑誌は深刻な危機にある。私の知る限りでもフィッシュマガジンや、コーラルフィッシュ、楽熱などは無くなったし、来年はF1速報も定期刊行を止めると聞いている。

「平成17年、特定外来生物が制定されて以来、当振興会は()移植禁止やルールの遵守を強く訴えています。ただ今回の検討会でオオクチバス等の密放流が横行していると報告されています。しかし当会では法律施行後19年が経過をしておりますが、自然界で他の場所へ移植放流した違反者は一人もいないと認識しております」

 

いや、私が知る限り一人はいる。ただ仲間がかわいいがために庇っているのかもしれないが…。

なお、日本釣振興会というのは、営利企業ではなく、公益財団法人である。公益財団法人というのは「自法人の利益の追求だけでなく、社会にさまざまな好影響を与えることを目的に活動する団体」である。下記リンク(インディード)も参照のこと。

https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/what-is-public-interest-incorporated-foundation

 

たしかに自団体だけでなく、バス釣りやバス釣りに欠かせない竿やリールなどの販売もとにも好影響を与えるが、その狭い界隈だけに利益はもたらされるものの、社会には良い影響を与えていないように思える。琵琶湖の漁業者は長いこと外来魚との戦いを強いられてきたし、霞ヶ浦においてもワカサギなどの漁業に悪影響を及ぼしている理由のひとつがオオクチバスを含む外来魚による捕食圧とみても間違いないだろう

さらにコクチバスについては、栃木県水産試験場がGoogleフォームを使用したウェブアンケートを行っている。コクチバスの駆除についてどう思うか、という話である。どうやら、アユを食い荒らすためアユの多い場所を集中的に駆除するという考えなのだそうだが、私はすべての河川のコクチバスを駆除してほしいと思っている。閉鎖的な(もちろん、自然水域につながっていないこと)釣り堀ならともかく、河川や湖で釣り場とそれ以外とをわけるゾーニングなんてできないので、全てのコクチバスを河川から排除しなければならない。

なお筆者はニジマス釣りどころかバス釣りも一切しないので、オオクチバスの写真は水族館の写真でごまかす。ごめん。

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