このたびブログを2006年から使用してきたBroachというところから引越してきました。今後ともよろしくお願いいたします。 さてだいぶ前のことになるのですが珍しい魚に出会う機会がありましたのでご紹介いたします。 写真の「オオヒシマトウダイ」Grammicolepis brachiuscula Poey, 1873がそれです。
このオオヒシマトウダイは、マトウダイ目に含まれるのですが、ヒシマトウダイ科にふくまれ、マトウダイとは縁遠い種類です。 この写真を見ますとどうしても長いサオのようなものから延びるひらひらした奇妙なものが目に付きます。この長いのはどうやら臀鰭の棘のようで、成長するとこれは短くなるようです。これの役目は不明ではありますが、擬態の一種なのでしょう。カンムリキンメダイ目魚類のフシギウオ科の幼魚にも似た感じのものがあり興味深いものです。 もうひとつ興味をそそられるのは体側にある大きな棘です。本種を触るとかなり固く細長い鱗に覆われており、その鱗の形状だけでも驚くべきものなのですが、体側から何か棘のようなものがはえています。これはどうやら骨板だそうですが、稜鱗としている文献もありました。しかしこの特徴も大きな個体ではなくなってしまうようです。 本種はかなり広域に分布し、南アフリカ~ハワイのインド・太平洋、ニューイングランド~スリナムOrギアナ沖にかけての大西洋、スペイン沖、モロッコ沖の東大西洋、台湾などに生息しています。日本でも駿河湾、熊野灘、土佐湾に生息しているようですが、ネットで探してもあまり情報を収集できません。生息場所が水深400~1000mほどまでとやや深く、そのため採集されることも多くないものと思われます。ヒシマトウダイ科の魚は世界で3種が知られていますが、日本には本種とヒシマトウダイの2種が知られるのみです。
今回の個体は熊野灘産で、三重県の二階堂さんから頂きました。ありがとうございました。