いやー、ずいぶんと寒くなって来たものです。こちら栃木県南部は金曜朝1.5℃でございます!
「魚紹介」は3回連続でアジ科の魚のご紹介。アジ科・ナンヨウカイワリ属のクロヒラアジ。やはり従来はヨロイアジ属とされていた種で、現在は本種とナンヨウカイワリのみが属するナンヨウカイワリ属のメンバーである。クロヒラアジは以前この「魚のぶろぐ」でも少しだけ紹介したことがあったが、そのときは複数のアジの紹介の際に少し触れただけ。今回はしっかりと見ていきたい。
クロヒラアジ横帯
ナンヨウカイワリの体側。ナンヨウカイワリの黄色斑はクロヒラアジにはない
クロヒラアジは体側の横帯が明瞭で、現在シマアジと称されるもののタイプBによく似ている(死ぬと個体によっては不明瞭になる)。同じ属のナンヨウカイワリとは、体側に黄色斑がないことで見分けられる。なお、日本産魚類検索第三版では、ナンヨウカイワリについて「体に暗色横帯がなく...」とあるのだが、実はナンヨウカイワリにも生時に体側に横帯が入ることがあるので、横帯の有無で種同定はしないほうがよいだろう。
クロヒラアジの頭部
ナンヨウカイワリの頭部
もうひとつの見分け方としては頭部の形状があげられる。ナンヨウカイワリはクロヒラアジに比べると吻が尖っている。クロヒラアジは頭部がやや丸みをおびていて、吻端と眼が近い位置にあるように見える。
クロヒラアジは南アフリカからハワイ諸島までのインド—太平洋(紅海を含む。タイプ産地は紅海。イースター島にはいない)に広く分布し、わが国でも山口県日本海岸、相模湾以南の太平洋岸に広く分布している。しかし高知県のような温暖な海域ではともかく、日本海岸や関東においては冬季水温が低くなると死んでしまう、いわゆる「死滅回遊魚」である。2009年にはツバメコノシロやナンヨウカイワリが多く釣れ、某魚図鑑の某BBS(某がおおくてごめん)をにぎやかにしたのだが、クロヒラアジが釣れたという話は聞かなかった。おそらくクロヒラアジのほうがナンヨウカイワリなどよりも南方に多いのであろう。ハワイや琉球列島ではサーフからの投げ釣りやルアー釣りでの獲物である。
前回クロヒラアジを入手したのは2007年8月。やはりナンヨウカイワリと同様に「ふれあいパーク大月」(通称ふれぱ)のふれあい市で購入したものである。そのときはおなじアジ科で、当時同じ属の魚だったリュウキュウヨロイアジと一緒に販売されていた。それ以降はリュウキュウヨロイアジはちょくちょく入手することができ、食べることもできていたのだが、なぜかクロヒラアジについては縁がなかった。今回ようやく長崎県からクロヒラアジが届き、食することができたのだった。
今回はナンヨウカイワリと同じくお刺身にして食べた。美味しかったが、ナンヨウカイワリとことなりやや癖のようなものがあった。やや個性的といえるかもしれない。刺身のほか、塩焼きにしても美味しかっただろう。このクロヒラアジもほかのアジ類同様、長崎 マルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんから。いつもありがとうございます。
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