PCの調子がおかしく、今日はイラッとしている椎名さんです。
今回は9月に我が家にやってきてまだ紹介できていなかったハゼ科の魚をご紹介。ゴビオネルス亜科・チチブ属のシモフリシマハゼ。福岡県の筑後平野産。
アカオビシマハゼ。福岡県福津市産。臀鰭に赤い線が入る
三重県産アカオビシマハゼの臀鰭
チチブ属のうち、長いこと「シマハゼ」とされていたものが実は2種含まれていたのはこのぶろぐの読者ならご存知かもしれない。そのうちの一種がシモフリシマハゼであり、1989年に標準和名がついた。もう一方のアカオビシマハゼも、同じ文献の中で標準和名がつけられたものである。ややこしくなるので、どちらの種も「シマハゼ」の名前がつかないことになった。この2種はよく似ているものの、アカオビシマハゼは臀鰭に赤色の縦帯があり、頭部側部にかけて白色斑があるのに対し、シモフリシマハゼは臀鰭に赤色縦帯がなく、白色斑が頭部側部から腹面にかけて密集しているのが特徴であり、これがシモフリシマハゼという標準和名の由来となっている。
福岡県産シモフリシマハゼ
アカオビシマハゼは汽水域から海域を中心にした分布であり、周辺に河川がない岩礁域にも多く生息するが、シモフリシマハゼは主に河川の汽水域にすみ、やや塩分の低いところを好む。。河川の汽水域などでカキ殻を割ったりするとどちらかが出てくるようであるが、このシモフリシマハゼはほぼ淡水に近いところで採集したものであり、同じ場所にはオイカワやイトモロコ、シマドジョウ類が見られた。椎名さんはこれまで海域、または淡水域で採集をしてきたため、獲れるシマハゼ類も(少なくても写真による同定では)アカオビシマハゼばかりであったが、今回ようやくシモフリシマハゼをお迎えすることができた。ただし残念ながらこの個体を採集したのは私ではなく、採集にお付き合いしていただいたHN「プラナリア」さんである。ありがとうございました。
黒い砂とシモフリシマハゼ
さて、大事に持って帰って来たシモフリシマハゼ。餌付きはよいかわるいか、最初は隔離ケースの中にいて餌をなかなか受け付けなかったが、アルカリ性を高める砂「グレイコースト」を敷いた水槽に入れたところ、もう餌をバク食いである。塩分はほとんど入れていないが、わずかにライブシーソルトを溶かした水を足している(ほかの淡水魚水槽でも、ライブシーソルトを使用して飼育している)。隠れ家として塩ビパイプを入れている。ハゼの仲間、特にチチブ属などはそういうのの中に潜んでいることが多く、生息環境を再現している。ちなみにチチブ属の魚は飼育したことがある方ならお分かりであろうが、性格がきつくほかの魚との混泳は難しい。いちおう注意してほしい。日本における分布域は北海道~九州(タイプ産地は日本の海)、海外では中国、朝鮮、ソ連極東部にすむ。
なお筆者はほかにチチブとアカオビシマハゼを飼育したことがある。ヌマチチブは霞ヶ浦水系では普通種だが、飼育経験はない。ほか日本にはナガノゴリ、シロチチブ、ショウキハゼというのがいるが、これらはお目にかかったことさえない。ショウキハゼ、いつか採集するぞ。
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