昨日から2月です。
写真の魚はフィリピンスズメダイ。スズキ目・スズメダイ科・ソラスズメダイ属の魚。ソラスズメダイの仲間はサンゴ礁に生息する魚で、インド—中央太平洋に広く生息し、アメリカ西海岸や大西洋には生息しない。「フィリピン」と名前についていてフィリピン固有種のようにも思えるが、本種はインド洋のモルディブからフィジーまでの海域に生息し、日本でも琉球列島に生息している。
体は黒っぽいが尾鰭の黄色が鮮やかで、背鰭や臀鰭にも黄色があるが、これらは老成魚では消失するよう。老成個体でも薄ら黄色か、白くのこることもある。幼魚の鰭の黄色は極めて目立つ。スズメダイの仲間は成魚よりも幼魚のほうが美しいことが多く、本種もその例の一つといえよう。Fishbaseではインド洋のモルディブの個体の写真が掲載されているが、インド洋のものは太平洋のものよりも何となくだが、黄色が鮮やかなように見える。インド洋のニシキヤッコだって黄色が強い。
標本でフィリピンスズメダイをほかのソラスズメダイ属と見分けるのはあまり難しくない。本種がほかの日本産のソラスズメダイ属のほか多くの種とちがうところは、眼下骨に鱗が並ぶこと。この特徴をもつソラスズメダイ属は日本で2種しかいないとされる。もう1種のアサドスズメダイは薄い灰色の体で、背鰭と尾鰭の付け根が少し黄色くなる。
フィリピンスズメダイの胸鰭基部にある大きな黒色斑は明瞭で他種と間違えることは少ないといえよう。アサドスズメダイはフィリピンスズメダイの胸鰭基部にある大きな黒色斑がなく、胸鰭基部上方に小さい黒色斑がある程度である。アサドスズメダイも琉球列島のサンゴ礁で見られる種であるが、あまり釣れた話は聞かない。ただ一度だけ奄美大島で釣れたのをいただいてきたことがある。それくらいだ。
肛門から内臓が少し出てしまっている。水深数mほどのサンゴ礁域に生息し、あまり深場に生息する種ではない。Fishbaseに掲載されている本種の生息水深は1~12mほどである。今回の個体は以前ご紹介ししましたルリスズメダイ同様、鹿児島県の喜界島で釣れたもの。喜界島の「がほー部長」さんに送っていただきました。いつもありがとうございます。