房総半島で見たカニの一種。イワガニ科のイワガニ。イワガニは日本沿岸に広く分布し、黒い体と赤みを帯びたハサミが格好いいカニである。潮だまりの浅い場所に見られ、房総半島ではヒライソガニやイソガニと同様で、浅い潮だまりではごく普通にみられるカニの一種である。
イワガニの胸部腹甲には寄生虫のフクロムシの仲間が確認された。こう見えて甲殻類の仲間ということで驚きである。ハサミが結構大きく、挟まれるとちょっと痛い。
以前は静岡の防波堤でも本種を確認している。写真は残念ながらピンボケであるが、防波堤の隙間に数匹が隠れていて、時々釣り餌を釣り人からもらい、たくましく生きているようだ。なお、鋏脚が赤いが、標準和名アカテガニというのはまた別のカニである。
このように日本のあちこちの磯で見られる種だが、従来はアメリカから流れ着いた外来種とされていた。1890年以前には日本で採集された記録がなかったとされる。イワガニは房総半島や静岡の磯ではみたが、高知の海では見たことがない。高知県の潮だまりではミナミイワガニという種類に置き換わるようである。このミナミイワガニに似たものには非常に鮮やかな色彩のものがアメリカの西岸に生息していて格好いい。