魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

シマハギ

2022年01月19日 20時47分00秒 | 魚紹介

去年最初に入手したのは鹿児島 丸万 田中水産からのハナハタでした。そして今年も。ニザダイ科のシマハギです。

シマハギは体に5本(眼を通るものを含む)の横帯と、尾柄部の黒い点が特徴の魚であるが、このほかに大きくなると腹部に細い縦線が入ることや、胸鰭の付け根には小さな黒い点があることでも見分けられる。ニザダイ科の魚には70cmくらいにまで育つような魚もいるが、シマハギは大体20cmほどと、同じクロハギ属のクロハギやカンランハギなどと比べると小型である。日本においては房総半島以南の太平洋岸、沖縄、小笠原諸島にまで生息している。模様がオヤビッチャににており、海ではたまにオヤビッチャといることもある。

ニザダイの仲間は脂がよく乗り、食用として美味しいものが多い。ニザダイの仲間を食するのはおよそ2年ぶりくらいだが、本種も脂がのっていて刺身にして美味であった。残念ながら本種は小型種であり、大きくならないので1匹からはあまり身がとれない。

シマハギは観賞魚としても飼育される。南西諸島の浅いタイドプールでは毎年見られるお馴染みの魚だ。しかし非常に素早い動きをするため、なかなか網にはおさまらないだろう。見た目もたしかにきれいではあるが、水槽内の飾りについたコケなどを食べてくれるのである。ただしコケはよく食べてくれるものの、あまり餌食いはよいとはいえず、幼魚であっても配合飼料を口にしないような個体もいて、飼育はやや難しい。

シマハギはインド洋の南アフリカ沿岸~新大陸の西岸にまでいる。ただし日本の図鑑の多くで本種の分布域に含められている「西アフリカ」というのは根拠不明のようである。ハワイ諸島には生息する、とされていることが多いが、Acanthurus triostegus sandvicensisという別亜種にすることもある。ハワイ諸島のシマハギは胸鰭基部から下方に伸びる細い線がはいる。将来的には種とされるかもしれないが、現状は何とも言えない。一方でモーリシャスやレユニオンなどではAcanthurus polyzonaという別種が知られる。この種はシマハギに似ているが体側の横線が細く数が多い。モーリシャスやマダガスカルから観賞魚として入ってくるが、採集業者がほとんどいない海域の産なので、まれに入ってきてもニザダイの仲間とは思えないほど高価な魚である。

今回のシマハギは鹿児島県 田中水産社長の田中 積さんから。いつも、ありがとうございます。

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新しいサンゴ

2022年01月17日 22時21分24秒 | 魚介類飼育(海水)

今年はじめて新しいサンゴを水槽にいれました。フラグサンゴとそうでないのを一つ。購入元は通販専門店「REEF-TRIGGER」さん。以前私が作っていた某サイト運営しているころからSNSなどで交流していただいたのだが、購入ははじめて。サンゴだけでなく魚などの取り扱いもある。オーストラリア産のほか、沖縄ソフトコーラルもあり。代引き・振込対応。

まずはコモンサンゴの一種であるコンフサ。コモンサンゴの一種でポリプが大きい。SPSと呼ばれるサンゴの仲間では比較的飼育はしやすい方とのこと。以前別のお店で購入したものはうまく飼育できある程度伸びていたが、赤いコケに覆われてだめになってしまったので、今回はその防止策として定期的なバクテリアの導入をしてみたい。天然海水も近いうち購入しようと思っている。マザーコーラルをお店でフラグにしたのを販売しているのだが、お店の写真よりも枝ぶりが立派でうれしい。さらに梱包方法も見たことがないようなものであった。この方法だと枝などが折れにくいが、手間はかかってしまうだろう。この梱包について知りたい方はぜひとも購入してみてほしい。もちろん着状態は真冬でも素晴らしい。

こちらはモルディブシコロサンゴ。「モルディブ」という名前だが産地としてはオーストラリア産。四国で釣っても「アマミスズメダイ」、鹿児島で釣っても「ナガサキスズメダイ」みたいなものだろう。「モルディブシコロサンゴ オレンジ」として販売されていた。我が家では緑色のシコロサンゴ(種不明、コーラルタウンさん)、サオトメシコロサンゴ(NMCさん)と、トンガ産シコロサンゴ(ラパスさん、チャーム館林さん)がほかにいるが、形が面白いのでつい集めたくなるサンゴ。産地が海底火山噴火でダメージを受けたよう、大丈夫だろうか。前回のモルディブシコロサンゴはやはりコケの一種でダメージを受けてしまったので、今回はコンフサ同様にこの点に注意したい。

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ハナビラウオ

2022年01月14日 13時52分44秒 | 魚紹介

この魚はハナビラウオという。メダイの仲間によく似たルックスをしている。分類的にはスズキ目イボダイ亜目エボシダイ科スジハナビラウオ属の魚になる。「ハナビラウオ属」というのは(少なくとも今は)ないようである。なおイボダイ亜目には先述のメダイ(イボダイ科)も含まれていて、よく似ている見た目なのも納得か。

スジハナビラウオ属の魚は日本から4種知られる。以前にもご紹介したクラゲウオとスジハナビラウオ、そして現物を見たことがないシマハナビラウオである。この3種との見分け方は難しくはない。両眼間隔の間にまで鱗があるのが前3種であるが、ハナビラウオは両眼間隔の間には鱗がほとんどない。黄色く示したのが鱗域と無鱗域の境目である。またハナビラウオの側線鱗数は120ほどあるのに対してほかの種は44~70(種により差がある)と少ない。メダイとの見分け方は背鰭を見るとよい。背鰭前方に鰭膜のない、短いが顕著で硬い背鰭棘があるのがメダイ。ハナビラウオの背鰭棘はややふにゃっとしている。

ハナビラウオは沖合に生息している。特に幼魚はクラゲについて泳ぎ、クラゲを捕食するという。それによって隠れ家と餌の両方を手にすることができる、ということだろうか。幼魚は丸っこく体高が高い、色彩は銀色であるが成長すると真っ黒い体になり体高も低くなる。大きいものは水深1000m以浅の深海に生息する底生魚となるが、底曳網やたまに定置網でも漁獲される。日本海沿岸ではそこそこ多く見られる魚である。

ハナビラウオの刺身。刺身の味は...うーん、という感じ。刺身醤油で食べたが醤油が全くしみこまない。

バターと一緒にホイル焼き。これは美味しかった。焼いたり煮たりしたほうが美味しい魚、といえるかもしれない。

この個体は兵庫県産。桶生裕介さん(城崎温泉おけしょう鮮魚)より。ありがとうございます。

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ケブカガニ

2022年01月12日 15時25分29秒 | 甲殻類(昆虫等をのぞく)

前回のイワガニに続いてカニシリーズ。

写真のカニは高知で採集したケブカガニ。高知県の海の潮だまりには多数のカニが潜んでいる。このケブカガニは早朝の磯遊びで出会うことができたもの。その体毛?のせいで見つけにくい(そもそも擬態のためにこのような毛がはえているのだから当然といえるが)。沖縄でも夜の潮だまりで本種を確認した。沖縄においてはカニの種類も多いが、ほかの有毒生物の種類も多く、夜磯採集は注意が必要。分布域は相模湾以南の太平洋岸、九州北西岸、琉球列島で、海外ではインド—西太平洋のサンゴ礁域にひろくすむ。

ケブカガニは昔はオウギガニ科とされたが、現在はケブカガニ科とされている。手元にあった1980年代の本とはだいぶ分類が変わってしまっていて難しい。もちろん魚類もそうなのだが、カニなどは魚類ほどにはいい本が手に入れやすくないからか、古い80年代の本が今でも重要な文献となる。

沖縄においては「ハサミの先端が黒いのは毒ガニ」であるという言い伝えがある。もちろん実際にはハサミの先端が黒くても毒がないもの、逆に黒くなくても有毒のものがいるが、このケブカガニの場合は残念ながらこの言い伝えが当てはまってしまっているようだ。もちろん毒性は餌によって左右されると思われるが、琉球列島でカニを食べる際は市場で売っているものだけを食べるのが安心である。

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イワガニ

2022年01月08日 17時46分49秒 | 甲殻類(昆虫等をのぞく)

房総半島で見たカニの一種。イワガニ科のイワガニ。イワガニは日本沿岸に広く分布し、黒い体と赤みを帯びたハサミが格好いいカニである。潮だまりの浅い場所に見られ、房総半島ではヒライソガニやイソガニと同様で、浅い潮だまりではごく普通にみられるカニの一種である。

イワガニの胸部腹甲には寄生虫のフクロムシの仲間が確認された。こう見えて甲殻類の仲間ということで驚きである。ハサミが結構大きく、挟まれるとちょっと痛い。

以前は静岡の防波堤でも本種を確認している。写真は残念ながらピンボケであるが、防波堤の隙間に数匹が隠れていて、時々釣り餌を釣り人からもらい、たくましく生きているようだ。なお、鋏脚が赤いが、標準和名アカテガニというのはまた別のカニである。

このように日本のあちこちの磯で見られる種だが、従来はアメリカから流れ着いた外来種とされていた。1890年以前には日本で採集された記録がなかったとされる。イワガニは房総半島や静岡の磯ではみたが、高知の海では見たことがない。高知県の潮だまりではミナミイワガニという種類に置き換わるようである。このミナミイワガニに似たものには非常に鮮やかな色彩のものがアメリカの西岸に生息していて格好いい。

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