日本の保守が苛立っているのは、アメリカが日本を裏切りかねないからだ。「チャンネル桜」の水島総社長はアミテージを名指しで批判している。日本が窮地に立たされているにもかかわらず、そこに手を差し伸べようとしない知日派アメリカ人の変節を、槍玉に挙げたのだった。アミテージが9月29日付の読売新聞に投稿した「日本外交に対する懸念と提案」において、「安倍首相は靖国に行くな」「尖閣諸島の領有権は棚上げできないか」と述べたことに対して、猛反発をしたのである。民主党のオバマ政権にとどまらずに、共和党の関係者までもが、そのような発言をするわけだから、日本の保守派が怒るのはあたりまえだ。このままでは、日本は中共に呑みこまれかねない。安倍首相を始めとする自民党も、そうしたアメリカの前には無力である。ようやく手にした政権を手放さないためには、アメリカの言うなりになるしかないのだろう。江藤淳は平成9年に世に出した『国家とは何か』で、「保守すべきは国であり、国民の生活と富であり、希望であるはずなのに、そうではなくて、保守党内閣自体が守るべき対象となった」と嘆いていた。安倍首相もその過ちを繰り返すつもりなのだろうか。消費増税によって日本の景気は足を引っ張られ、デフレに逆戻りする。そこにTPPである。アメリカと中共とが示し合わせて、日本弱体化を目論んでいると勘ぐられても、それは仕方がないことだろう。それにいきり立っているのが日本人のナショナリズムであり、火に油を注いでいるのがアメリカなのである。
←アメリカの変節は許せないと思う方はクリックを