創作日記&作品集

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物語のかけら11 第二部

2007-04-24 16:39:15 | 創作日記
王妃1「イローナが王を殺した」
王妃2「イローナが王を殺した」
王妃1「(泣きながら)私の王を殺した」
王妃2「私は消える」
王妃1「ずーと消えてしまいよ」
王妃2が王妃1をにらむ。そして、身をひるがえす。
兵士が駆けつけてくる。イローナがかけつけた兵士に取り押さえられる。
王妃1「この女は魔女よ。手足の指を引き抜いて、生きたままの火あぶりがいいわ。お祭りよ、ワインを飲みながら最高のショーが見られるわ」
兵士がイローナを引きずる。イローナの持っていた短刀が床に落ちる。
王妃1「王を片づけなさい。王の死はできるだけ隠すこと。いい」
兵士たちがうなづき、部屋から出ていく。
王妃1「もう出てきていいよ」
部屋の陰から王妃2が現れる。
王妃2「何処にいるの?黄色い人」
王妃1「黄色い人」
王妃2「ああ、二人で一人なんていやになった」
王妃1「そう、私もよ」
王妃1がイローナが落とした短刀をひらう。王妃2の胸を刺す。王妃2が短刀を胸から抜き、王妃1を刺す。双頭の蛇が互いに咬み合う。そして、お互いの頭を呑み込む。
王妃「私は、あなたが一番嫌い」
王妃「私も、あなたが一番嫌い」

大衆の歓声の中、十字架にかけられるイローナ。
「魔女だ」の声。
イローナが歌い始める。火が放たれる。
「イローナは僕のために歌っている」
優は炎の中のイローナを見上げた。イローナも優を見つめて歌う。
イローナ「また、会いましょう」
優「そう、きっと会える」