テレビ朝日でドラマ「生きる」を観た。
黒澤明監督作品の映画「生きる」のリメーク。脚色は市川森一。
映画で志村喬が演じた市役所市民課長役を松本幸四郎が担当する。
ゴミの不当廃棄場所を何とかしてほしいと市民たちが市役所に陳情に来る。
市民課長は、土木課へと言い、その後公園課、環境課等々、陳情はたらい回しにされてしまう。
役所の無気力な業務体質が描かれている。
市民課長(松本幸四郎)は、健康診断で膵臓ガンと宣告されて余命6ヵ月であると医師から言われる。
役所仕事を無遅刻無欠勤できた市民課長は「生きる」ことについて考えはじめる。
ゴミの廃棄所となっていた場所を市民のための公園にすることに奮闘していく。
市民課長の通夜の席上で、市職員達が「課長と公園について」の意見を各自が述べはじめる。
そうしている内に、雪降る公園で一人歌を歌いながらブランコに乗る課長を目撃したという巡査がやってきた。
あまりに楽しそうに歌う市民課長に、巡査はつい声をかけそびれたという。
「命みじかし、恋せよ乙女…」。
公園のブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を歌いながら死んでいく市民課長。
松本幸四郎と志村喬がダブって見える有名なシーンでドラマは終わった。
役所における業務体質を鋭く描く話。
現在の行政においても当てはまるところがある。
黒澤明監督は、そのような点を考慮して問題を提起した「生きる」であった。
(9月10日記 池内和彦)