ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.12.20 人生は福袋

2010-12-20 20:00:46 | 読書
 福袋が好きである。

 何が入っているかわからない、そのわくわく感。そして期せずして欲しかったものが入っていたときの幸福感。一人家に帰ってドキドキしながらこっそり開けるときの気分の高揚感。

 最近では、不況の影響か、買い手がうるさくなったのか目が肥えたのかそうそう酷いものを入れたりせずに、むしろ必ずこれが入っていますよ、と中身のクリアな福袋が増えている。それはそれでちょっと楽しみが半減してしまう、と思うのは私だけだろうか。

 もちろん、売り手は在庫一掃も兼ねているだろうから、全ていいものばかりではない。ガッツポーズをしたり、がっかりしたり、一喜一憂だけれど、人生って福袋のようなものだ。

 最近、角田光代さんの「福袋」(河出文庫)を読んだが、奇しくも同じようなことが書いてあった。

  (以下引用)※ ※ ※ ※

「ひょっとしたら私たちはだれも、福袋を持たされてこの世に出てくるのではないか。福袋には、生まれ落ちて以降味わうことになる全てが入っている。希望も絶望も、よろこびも苦悩も、笑い声もおさえた泣き声も、愛する気持ちも憎む気持ちもぜんぶ入っている。福と袋に書いてあるからってすべてが福とはかぎらない。袋の中身はときに、期待していたものとぜんぜん違う。安っぽく、つまらなく見える。他の袋を選べばよかったと思ったりもする。それなのに私たちは袋の中身を捨てることができない。いじいじと身につけて、なんとか折り合いをつけて、それらが肌になじむころには、どのようにしてそれを手にしたのだか忘れてしまっている。安っぽいものもつまらないものも、それはただそこにある。自分だけに持たされたものとしてそこにある。」

   ※ ※ ※ ※(引用終了)

 私の人生の福袋にこの後どんな隠し玉が入っているかは“神のみぞ知る”だけれど、少なくとも、高校・大学と沢山の友人に恵まれ、部活も目一杯楽しみ、ちょっとは勉強もして、数は決して多くなかったけれど恋もして、就職して、仕事もいろいろやらせてもらって、結婚して、一人息子を授かって、病気にもなって・・・と。予定外、想定外のこともいろいろあったけれど、やっぱりいい人生だった、と言って幕引きを出来たら本望だ。

 来年も運だめし、必ず一つは福袋を買わなければ、と思う。
 息子はここ何年来、毎年ある百貨店の鉄道模型の福袋を買っている。今年はあいにく初売りの日に青春18きっぷで地方から延々と時間をかけて帰京することになっているので、買いにいけない。私が、「毎年買っているのだから・・・・」と交渉し(こういうところが哀しくも実にオバサンであるが・・・)翌日までお取り置きの約束をとりつけた。3日に家族そろって買い出しに行く予定にしている。

 今日は、日中とても暖かい日だった。昨日に引き続き、元気が継続し、無事に1日が終わる。一年で一番日が短い季節だけれど、毎年書き始める時期がどんどん後ろに倒れていた年賀状書きも順調に進捗し、今日、明日にはコメントも書き終わりそうだ。

コメント
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