今日は午後から「東京しごとの日2011」の普及啓発イベントに参加した。
「経営戦略としてのワークライフバランス・人を活かす企業が伸びる」と題して、学習院大学経済学部教授の脇坂明さんが基調講演。休憩後、「今こそ、ワークライフバランス社会を考える」として小室淑恵さん((株)ワークライフバランス代表取締役社長)、清水朋宏さん(イクメン雑誌 FQ JAPAN発行人)、油谷百合子さん(パシフィックコンサルタンツ(株)事務管理部)がパネリストとなり、講演者・脇坂さんがコーディネーターを務めるパネルディスカッションが行われた。
これまでも機会があれば、ワークライフバランスの啓発イベントには出席したいと思ってきたし、2年ほど前にも参加したことがある。当たり前だけれど、仕事も家庭も自分の生活も大事だから。そして特に病を得てからは、治療も生活の大きな軸として両立させることが大切だと強く思うようになった。
ワークライフバランスというと、どうしてもすぐに育児や介護の話になるようだけれど、こうしてがんと共生する患者が増えれば、当然これもワークライフバランスの対象となろう。
朝日新聞の医療関係のネット記事で「患者を生きる」というシリーズがあるが、5月以降のテーマは「がんと就労」である。どれほど皆さんが仕事と治療との狭間で苦労されているかに、胸を突かれる。
今回、読者の声で、埼玉県の長谷川美子さん(53歳)が次のような声を寄せていた。
「3度の手術や40回の抗がん剤治療を経て、復職したばかりです。まさか自分が「がんを抱えて働く」当事者になるとは、想像すらしていませんでした。切実に望むのは一定期間、同じ職場、同じ職種での短時間勤務を保障する制度の整備です。患者が制度を円滑に利用できるようにするためには、医療者側の理解と協力も欠かせません。ワークライフバランスという言葉が広まり、育児休暇や介護休暇が少しずつ拡大しつつあります。同様に、がん治療と仕事の両立をサポートする仕組みも、積極的に議論されてよいのではないでしょうか。 社会とつながっていることは、生活費や医療費などの経済的な問題に加え、闘病生活を続ける上で精神的なプラスの効果も大きいです。患者個人の努力だけではどうにもならない問題も多くあります。社会全体で考えて欲しいと思います。」
同感である。
私はおかげさまで、病気休暇を取らせていただきながら、引き続き細々とフルタイムで働いている。本当に恵まれていると思う。心底感謝している。
けれど、私のような恵まれた患者ばかりではないことも重々承知している。
だからこそ、である。経済的な問題だけではない。社会とのつながり、社会から忘れてしまわれる存在になることに対する心理的な問題なのだ。
今日のシンポジウムは、当然ながらがん患者の就労をワークライフバランスに絡めて話されたわけではなかったけれど、個人の多様性を活かし、能力を発揮できる社会を目指すのなら、人を活かす企業が延びるというなら、働きたいがん患者が自分の生活(治療、健康)と仕事のバランスをとりながら働き続けることのできる社会、働きたいという意欲と能力を持った患者を弱者として切り捨てない社会、であってほしいと強く思う。
小室さんはとても明解な話しぶりで、ついにはコーディネーター役の脇坂先生が食われてしまったと感じさせるほどで、素晴らしかった。元気を沢山頂いた。そう、私も体調のため残業はできない、通院のため週4日しか働けない、ではなくて、その限られた時間の中で中身の濃い仕事が出来るように、あれこれ自分をメンテナンスする時間ができるようになったのだ、これってお得な毎日なのだ、というように自分の中で前向きに意識改革をしなければ、と思う。
一昨日、薬剤投与の夜はやはり眠れずじまい。結局、2時間ほどウトウトしたかどうかという感じだった。諦めてリビングで録画したドラマを見る、というのもなんだかなあ、である。
そして、昨日も気持ち悪さで絶不調。食欲もいまいち。薬を飲むために最低限は食べて水分だけは入れる。吐き気とお腹をかきまぜられた感じと口の中の不快感で、水分も味がよくわからない。ガムを噛んでも味が違う。
今日の夜あたりからはだんだん楽になってくるだろう、ということで思い切って都心まで出てきた。外に出ることで気分が変わって、良いのかもしれない、と。
ところが、なんと、電車に乗ってまもなくして携帯が振動した。車内だし、どうしようと思っているうちに切れてしまった。見た覚えのない局番の電話。でも会社の代表電話のような番号。また本を読み始めた途端、今度は+81・・・の表示。間違いない。国際電話だ。ホームステイ中の息子に何かあったのだ・・・と思うと胸がギュッっと締め付けられるような感じがして慌てて電話をとった。
案の定、引率の英語の先生からの電話だった。「お任せください、何もなければ一切電話はしません。」という話だったので、事故にでもあったか、怪我でもしたか、と声が上ずった。 タイミング悪く急行に乗っており、トンネルの中で声がよく聞き取れず、何度も言い直して頂く始末。
ホームステイ先のお子さんがプールの水を溢れさせ、地下にある息子たちの部屋が水浸しになり、その修理のために別の家に引っ越した、という。新しいお宅は車で10分ほど離れたところで、ご両親と高校生・中学生の男の子3人、女の子1人の6人家族だそうだ。ご両親とも先生でこれまでもホストファミリーをされたことがあり、とても感じのいい方でした、とのこと。いずれにせよ、家の修理が息子たちの滞在中に終わるかどうかはわからないけれど、最初のファミリーは息子たちをとても気に入ってくださり、少しでも早く戻ってこられるように努力したい、と言ってくださっているという。また週末のバーベキュー等のイベントには一緒に参加してくださるということで、これで関係が切れるわけではなさそうだ。
一緒に行っている坊ちゃんのお母様にもメールで「驚きましたね」と連絡したところ、出先で電話をとれなかったとのことでご存知なかった。メールで詳しい内容をお知らせしたところ、返信があり、息子さんに国際電話をかけたが、「いろいろあった」しか言わないので状況がわかってほっとしました、とのこと。高1男子って・・・という感じである。
その後、旅行会社からも電話連絡があった。荷物も皆水浸しになったのでしょうか、と聞いたが、詳細はわからない。5cmも水が溜まったということだから、かなりの量だろう。それでも何はともあれ2人とも元気にしている、とのことだから、もうお任せするしかない。新しいファミリーのプロフィールも送ってもらった。高3、高1、中3の男の子と中1の女の子。さぞかし賑やかなことだろう。
それにしても、彼らは何というトラブルメイカー、というか・・・、行く先々でトラブルがついて回る息子たちである(この前の震災時に、彼らはとあるテーマパークで一夜を明かしたのだ。)。
「経営戦略としてのワークライフバランス・人を活かす企業が伸びる」と題して、学習院大学経済学部教授の脇坂明さんが基調講演。休憩後、「今こそ、ワークライフバランス社会を考える」として小室淑恵さん((株)ワークライフバランス代表取締役社長)、清水朋宏さん(イクメン雑誌 FQ JAPAN発行人)、油谷百合子さん(パシフィックコンサルタンツ(株)事務管理部)がパネリストとなり、講演者・脇坂さんがコーディネーターを務めるパネルディスカッションが行われた。
これまでも機会があれば、ワークライフバランスの啓発イベントには出席したいと思ってきたし、2年ほど前にも参加したことがある。当たり前だけれど、仕事も家庭も自分の生活も大事だから。そして特に病を得てからは、治療も生活の大きな軸として両立させることが大切だと強く思うようになった。
ワークライフバランスというと、どうしてもすぐに育児や介護の話になるようだけれど、こうしてがんと共生する患者が増えれば、当然これもワークライフバランスの対象となろう。
朝日新聞の医療関係のネット記事で「患者を生きる」というシリーズがあるが、5月以降のテーマは「がんと就労」である。どれほど皆さんが仕事と治療との狭間で苦労されているかに、胸を突かれる。
今回、読者の声で、埼玉県の長谷川美子さん(53歳)が次のような声を寄せていた。
「3度の手術や40回の抗がん剤治療を経て、復職したばかりです。まさか自分が「がんを抱えて働く」当事者になるとは、想像すらしていませんでした。切実に望むのは一定期間、同じ職場、同じ職種での短時間勤務を保障する制度の整備です。患者が制度を円滑に利用できるようにするためには、医療者側の理解と協力も欠かせません。ワークライフバランスという言葉が広まり、育児休暇や介護休暇が少しずつ拡大しつつあります。同様に、がん治療と仕事の両立をサポートする仕組みも、積極的に議論されてよいのではないでしょうか。 社会とつながっていることは、生活費や医療費などの経済的な問題に加え、闘病生活を続ける上で精神的なプラスの効果も大きいです。患者個人の努力だけではどうにもならない問題も多くあります。社会全体で考えて欲しいと思います。」
同感である。
私はおかげさまで、病気休暇を取らせていただきながら、引き続き細々とフルタイムで働いている。本当に恵まれていると思う。心底感謝している。
けれど、私のような恵まれた患者ばかりではないことも重々承知している。
だからこそ、である。経済的な問題だけではない。社会とのつながり、社会から忘れてしまわれる存在になることに対する心理的な問題なのだ。
今日のシンポジウムは、当然ながらがん患者の就労をワークライフバランスに絡めて話されたわけではなかったけれど、個人の多様性を活かし、能力を発揮できる社会を目指すのなら、人を活かす企業が延びるというなら、働きたいがん患者が自分の生活(治療、健康)と仕事のバランスをとりながら働き続けることのできる社会、働きたいという意欲と能力を持った患者を弱者として切り捨てない社会、であってほしいと強く思う。
小室さんはとても明解な話しぶりで、ついにはコーディネーター役の脇坂先生が食われてしまったと感じさせるほどで、素晴らしかった。元気を沢山頂いた。そう、私も体調のため残業はできない、通院のため週4日しか働けない、ではなくて、その限られた時間の中で中身の濃い仕事が出来るように、あれこれ自分をメンテナンスする時間ができるようになったのだ、これってお得な毎日なのだ、というように自分の中で前向きに意識改革をしなければ、と思う。
一昨日、薬剤投与の夜はやはり眠れずじまい。結局、2時間ほどウトウトしたかどうかという感じだった。諦めてリビングで録画したドラマを見る、というのもなんだかなあ、である。
そして、昨日も気持ち悪さで絶不調。食欲もいまいち。薬を飲むために最低限は食べて水分だけは入れる。吐き気とお腹をかきまぜられた感じと口の中の不快感で、水分も味がよくわからない。ガムを噛んでも味が違う。
今日の夜あたりからはだんだん楽になってくるだろう、ということで思い切って都心まで出てきた。外に出ることで気分が変わって、良いのかもしれない、と。
ところが、なんと、電車に乗ってまもなくして携帯が振動した。車内だし、どうしようと思っているうちに切れてしまった。見た覚えのない局番の電話。でも会社の代表電話のような番号。また本を読み始めた途端、今度は+81・・・の表示。間違いない。国際電話だ。ホームステイ中の息子に何かあったのだ・・・と思うと胸がギュッっと締め付けられるような感じがして慌てて電話をとった。
案の定、引率の英語の先生からの電話だった。「お任せください、何もなければ一切電話はしません。」という話だったので、事故にでもあったか、怪我でもしたか、と声が上ずった。 タイミング悪く急行に乗っており、トンネルの中で声がよく聞き取れず、何度も言い直して頂く始末。
ホームステイ先のお子さんがプールの水を溢れさせ、地下にある息子たちの部屋が水浸しになり、その修理のために別の家に引っ越した、という。新しいお宅は車で10分ほど離れたところで、ご両親と高校生・中学生の男の子3人、女の子1人の6人家族だそうだ。ご両親とも先生でこれまでもホストファミリーをされたことがあり、とても感じのいい方でした、とのこと。いずれにせよ、家の修理が息子たちの滞在中に終わるかどうかはわからないけれど、最初のファミリーは息子たちをとても気に入ってくださり、少しでも早く戻ってこられるように努力したい、と言ってくださっているという。また週末のバーベキュー等のイベントには一緒に参加してくださるということで、これで関係が切れるわけではなさそうだ。
一緒に行っている坊ちゃんのお母様にもメールで「驚きましたね」と連絡したところ、出先で電話をとれなかったとのことでご存知なかった。メールで詳しい内容をお知らせしたところ、返信があり、息子さんに国際電話をかけたが、「いろいろあった」しか言わないので状況がわかってほっとしました、とのこと。高1男子って・・・という感じである。
その後、旅行会社からも電話連絡があった。荷物も皆水浸しになったのでしょうか、と聞いたが、詳細はわからない。5cmも水が溜まったということだから、かなりの量だろう。それでも何はともあれ2人とも元気にしている、とのことだから、もうお任せするしかない。新しいファミリーのプロフィールも送ってもらった。高3、高1、中3の男の子と中1の女の子。さぞかし賑やかなことだろう。
それにしても、彼らは何というトラブルメイカー、というか・・・、行く先々でトラブルがついて回る息子たちである(この前の震災時に、彼らはとあるテーマパークで一夜を明かしたのだ。)。